上場企業はアクティビストとどう向き合うべきか?

デュポンの例であれば、結果としては同社が勝利したものの、多くの議決権行使助言会社がペルツ氏を支持するなど、ウォール街ではアクティビストを受け入れることの方が、企業価値が向上すると見ていた面もある。また、それまで低迷していたGEの株価もペルツ氏出資の報道直後、大幅に上昇していた。

このように、ウォール街ではアクティビストが投資することイコール企業価値向上のチャンスと捉える傾向にある。しかしながら、重要なのはアクティビストが経営層に圧力をかける目的が、①比較的短期間に利益を求めるものと、②プライベート・エクイティファンドに近く、長期的な企業価値向上を目的として行うもの……のどちらであるかの見極めである。


グリーンメーラーか?救世主か?

もしも、そのアクティビストが、濫用的買収者ないしはグリーンメーラーなのであれば、その行為は株主の権利を濫用するのみで、結果的に企業価値を損ねるものとなりかねない。その場合、経営陣も徹底抗戦する必要があるだろう。

しかし、アクティビストが中長期的な視点に立って、その企業の価値を向上させるべく提案を行うのであれば、互いを尊重した対話が求められる。上場企業がそうした中長期的な視点に立った対話を拒絶するようなことがあれば、多くの投資家の失望を招き、株価下落を招くことになりかねない。


問題解決に向けた建設的な「目的を持った」対話を

日本では2014年2月に金融庁が「責任ある機関投資家」の諸原則、いわゆる日本版スチュワードシップ・コードを発表した。これは安倍政権が2013年6月に発表した「日本再興戦略」において「企業の持続的な成長を促す観点から、幅広い機関投資家が企業との建設的な対話を行い、適切に受託者責任を果たすため」導入することを求めたものだ。

日本版スチュワードシップ・コードは、投資先企業との建設的な「目的を持った」対話で問題解決に努めることを投資家に求めている。上場企業としても、こうした投資家であるアクティビストとの対話は避けられないものであり、むしろ積極的に議論すべき時代を迎えていると言えるだろう。 (ZUU online 編集部)

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