◆追加緩和はいつか?

それでは、追加緩和のタイミングはいつか?

まず、展望レポート発表時か否かという点では発表時の可能性が高い。近年を振り返ると、2012年以降に追加緩和を決定した8回のうち4回、つまり50%は展望レポート発表時(中間評価を含む)であった。年間に決定会合回数(全14回)に占める展望レポート発表会(4回)の割合が29%に過ぎないことを考えると、展望レポート発表時の追加緩和確率が高いことがわかる。

展望レポートでは、経済・物価情勢を幅広く見直して説明するため、政策変更との相性が良いこと、また、展望レポートでは物価目標に向けた道筋を数字で示す必要性が生じるため、足元で乖離が目立つときには同時に追加緩和を行うことで説得力を持たせる誘因が働くためと考えられる。

さらに、来年1月からは決定会合の回数が現行の14回から8回に減り、その半分にあたる4回で展望レポートを発表することになる。従って、緊急時で無い限り、あえて展望レポートの無い会合で追加緩和を決定する動機は乏しい。来年、展望レポートを発表する決定会合は、1月29日、4月28日、7月29日、11月1日に予定されている。この中で可能性が高いのはいつだろうか?

まず、11月1日は可能性が低いと見る。既に物価目標達成時期の16年度後半にかなり食い込んでおり、金融政策が波及する際のタイムラグを考えると遅すぎる。残りの候補は、1月29日と4月28日、7月29日になるが、次に焦点となるのは「物価の基調改善」だ。

今後は、かねてより日銀が緩和効果を正当化する理由としている「物価の基調改善」が日銀の想定と乖離するリスクが高まると考えられる。日銀は「物価の基調」(需給ギャップや期待インフレ率、賃金、企業の価格設定など)が改善していることを主張する材料として、エネルギーを除く物価上昇率を用いる。

直近9月のコアコアCPI上昇率(食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合)は前年比0.9%、最近多用している生鮮食品とエネルギーを除く総合の上昇率は前年比1.2%と、確かにともに改善傾向にある。しかし、これから先は一筋縄にはいかないだろう。もうじき円安効果がほぼ一巡するためだ。最近の食品等を中心とする値上げには、過去の円安による輸入物価の転嫁という側面が強い。

しかしながら、ドル円レートの前年比上昇率(表紙図表参照)は既に低下してきており、このまま1ドル120円が続くと仮定した場合、11月には前年比の伸び(ドル高幅)が3.3%に縮まる。実際には、米利上げ(観測)から円安ドル高が進むと見ているが、それでも前年比で見た円安の度合いはこれまでよりも低減するため、今後は円安を価格に転嫁する動きが鈍る可能性がある。

また、「物価の基調」の構成項目である需給ギャップと期待インフレ率にも下振れリスクがある。今月中旬に発表予定の7-9月期GDPはマイナス化が予想されるほど弱く、景気の足踏みが需給ギャップの改善を阻害しているとみられる。さらに、9月の日銀短観において、企業の期待インフレ率には明確な下振れが確認されたが、足元の物価(総合)の低迷を受けて、12月短観ではさらなる低下も予想される。

金融市場の動き3