日銀金融政策(11月):景気判断は変更なし、強気一辺倒の姿勢はやや修正

◆(日銀)現状維持

日銀は11月18~19日に開催した金融政策決定会合において、現行の金融政策を維持した(賛成8反対1)。引き続きマネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう、長期国債・ETF等の資産買入れを継続する。なお、議案に反対した木内委員はこれまで同様、マネタリーベースならびに長期国債が45兆円ペースで増加するよう資産買入れを行うべきと主張したが、反対多数で否決された。

声明文における景気の総括判断は、「輸出・生産面に新興国経済の減速の影響がみられるものの、緩やかな回復を続けている」と、従来の判断を据え置いた。個別需要項目も変更無し。ただし、予想物価上昇率については、従来からの「やや長い目でみれば、全体として上昇しているとみられる」という表現の前に、「このところ弱めの指標もみられているが」との文言を追加した。景気と物価の先行きについては、それぞれ「緩やかな回復を続けていく」、「当面0%程度で推移する」とし、変更は無かった。

会合後の総裁会見にて黒田総裁は、2期連続のマイナスとなった7-9月期の実質GDP成長率について、「マイナスの主因は在庫」であり、「最終需要は全体として回復」しており、「景気が緩やかな回復を続けているとの評価に沿ったもの」であると前向きに評価。従来同様、「所得から支出への前向きな循環メカニズムは、しっかりと作用し続けている」との判断を示した。

一方で、設備投資に関しては、「出方がやや遅れている」、「十分出てきていない」などと、足元のモメンタムが力強さを欠くことを認めるとともに、賃金上昇率についても、「やや鈍いという感は否めない」との判断を示し、それぞれ先行きを十分に注視していく姿勢を示した。

また、声明文中にある予想物価上昇率の件に関しても、様々な指標の中で、いくつか弱含んだ動きがあることを認めたものである旨を説明するなど、全体的には強気スタンスを維持しつつも、弱さを認める部分が増えてきている。

これらは、それぞれが日銀の重視する「物価の基調」に影響を与える項目であるため、設備投資・賃金・予想物価上昇率の今後の動向が追加緩和の判断に大きな影響を与えそうだ。目先はこれらに関する重要な情報を含む日銀短観12月調査(12月14日公表予定)の内容が注目される。

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