金融市場(11月)の動きと当面の予想
◆10年国債利回り
◇11月の動き
月初0.3%台前半からスタートし、月末は0.3%に。月の序盤は0.3%台前半でほぼ横ばい推移が継続。好調な雇用統計結果を受けて米利上げ観測が高まった9日にかけてわずかに上昇したが、翌10日には元に戻る。
さらにECBの12月追加緩和観測の高まりなどから13日には0.3%に低下、パリのテロに伴うリスク回避の債券選好もあって、その後も0.3%での推移が続いた。その後は高値警戒感から若干金利が上昇する局面もあったがトレンドにはならず、月末にかけて0.3%付近での推移となった。
◇当面の予想
今月に入り、ECBの追加緩和への失望に伴う海外金利上昇の余波を受けて、足元は0.3台前半に上昇している。今後は利上げに伴う米金利上昇が本邦長期金利にとっての上昇圧力になるが、日銀の大量国債買入れの下、債券需給はタイト感が強い。
さらに、最近のドル調達コストの上昇によって、高金利で円を入手した海外勢による旺盛な日本国債需要が見込まれるため、金利上昇余地は小さくなる。当面は横ばい圏内での動きに終始すると予想している。
◆ドル円レート
◇11月の動き
月初120円台半ばからスタートし、月末は122円台後半に。月初、イエレンFRB議長が改めて12月利上げの可能性を示唆したことなどからドル高が進み、6日には121円台後半に。さらに、好調な雇用統計結果を受けてドルが急騰し、9日には123円台前半に到達した。
その後は低調な米指標もあって一旦ドル売りが優勢となり、16日には122円台半ばとなったが、パリのテロの影響が限定的に留まったことで再び円売りが優勢となり、17日には123円台を回復。以降は利上げ後のペースが緩やかになるとの見立てからドルがやや弱含み、20日に122円台後半に下落、その後も122円台半ばから後半での一進一退が続いた。
◇当面の予想
今月に入り、一旦123円台に上昇したが、ECB追加緩和への失望による株安によってやや円が買われ、足元は122円台後半で推移。目先のカギは本日夜の米雇用統計となるが、かなり悪い結果にならない限り、12月の利上げがほぼ確実視されることでドルが一段高になると予想。
FOMCまでは125円までの上昇余地があると見ている。FOMCでは、利上げとともに今後の利上げペースが緩やかになることが改めて協調されると見込まれ、その後は利益確定のドル売りがやや優勢になるという展開を予想している。