国民経済計算確報
(写真=Thinkstock/Getty Images)

OECD(経済協力開発機構)やIMF(国際通貨基金)の2015年以降の日本の財政赤字の予測を見ると、日本の財政赤字は改善方向には向かっているが、税収の大幅な増加を考慮すると、2014年からの改善幅が小さいように思われる。世界的に日本の財政状況の分析に利用されることの多いOECDやIMFが発表している日本の財政収支のデータは、内閣府が発表している国民経済計算確報の制度部門別資本調達勘定がもととなっている。

2015年以降の財政収支の改善幅が小さく予測されているのは、IMFやOECDの予測に足もとの日本の財政状況をしっかり反映されていないからであると考えられる。

国民経済計算確報は原則一年遅れで発表されるため、現時点では2013年までの結果しかない。2013年までの国民経済計算確報の日本の財政赤字は、IMFやOECDが発表している数字と比べるとそれほど違いがない。

OECDやIMFは2014年の国民経済計算確報の結果がまだないため、2013年までの結果をもとに、2014年以降の財政収支の推計をしていると考えられる。

しかし、その推計モデルは、アベノミクスの効果などにより、2014年から急激に改善している財政収支の現状を含んでおらず、日本の財政赤字を実態よりかなり悪く予測している可能性が高い。

日本の財政収支の足もとの実態を見るのに、国民経済計算確報の財政赤字とほぼ一致するのが日銀が発表している資金循環統計がある。

資金循環統計は四半期に1回発表されているので、2015年4-6期までの財政赤字がわかる。日銀の資金循環統計ベースで日本の一般政府の財政赤字(資金過不足)は2015年4-6月期までの1年間で3.8%となっており、2013年4-6期の8.0%と比べるとほぼ半分、2014年4-6期の5.6%からも更に改善していることがわかる。

2013年からの変化で、日銀資金循環ベースで財政赤字4ポイント程度改善しているの対して、OECDの予測は2ポイント未満となっている。15年12月に14年の国民経済計算確報が公表されることになるが、資金循環統計の結果を考慮すると、財政赤字は大幅に縮小することが見込まれる。

OECDやIMFの予測に使っている推計モデルは過去の結果の影響がかなり強いと考えられるため、2014年の国民経済計算確報の公表後に見直され、15年以降の財政赤字の予測もかなり縮小するとみられる。

OECDやIMFのデータは、世界的に財政状況の分析に利用されることが多いため、日本の財政状況に対するグローバルな見方が改善を認める方向に変化してくる可能性がある。緊縮財政ではなくリフレ政策によって財政を改善させるアベノミクスの大きな成果としても認識されるだろう。国際機関の予測はラグがあり、直近のデータが反映されにくいため、国内機関が発表しているの指標をしっかりと把握することにより、より正確な日本の財政の姿が見えることがわかる。

会田卓司(あいだ・たくじ)
ソシエテジェネラル証券 東京支店 調査部 チーフエコノミスト

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