投資,ポートフォリオ
(写真=Thinkstock/Getty Images)

FRB(米連邦準備制度理事会)が利上げに踏み切ることはほぼ確実視されている。そうしたなかで気になるのが、資産ポートフォリオへの影響だ。2008年以降リーマンショックによる金融恐慌と世界同時不況を防ぐため、米国は3度にわたる大胆な量的金融緩和(QE)を実施した。その結果、「緩和マネー」が膨張し株式相場に流れ込み、さらにあふれ出した「緩和マネー」は、より高い利回りを求めて、資源国・新興国を目指した。目先予想される米国利上げはリーマンショック後のマネーフローにどのような変化を及ぼし、資産ポートフォリオにどんな影響を与えるのだろうか。


バーナンキの意図せざる実験から学んだもの

利上げに先立ち米国の金融政策の変更が世界経済にどのような影響をもたらすのか、ある実験が行われた。もっとも、当事者は実験を行う意図など持ち合わせていなかったであろうが、結果としてそれは来たるべき利上げが世界経済に何をもたらすかの壮大な実験となった。

2013年、バーナンキFRB議長(当時)は早期の量的緩和縮小開始を示唆する発言を行った。これを受けて米国の長期金利は急騰、一部の新興国から緩和マネーが流出し、新興国通貨の急落のみならず米国も含め先進国でも株価が急落することとなった。そもそもバーナンキは大恐慌の研究者としても知られ、米国が1936年から37年にかけて実施した利上げに対し批判的な評価を下していることから、バーナンキは利上げがマーケットに与える影響については誰よりも精通していたはずである。

従って、彼の発言は決して失言であったとは思えない。この経験から多くの投資家は米国利上げは世界経済に少なからぬ影響を及ぼすリスクが存在することを学んだはずだ。


過去の大恐慌で何が起こったか

ちなみに、1929年10月24日「暗黒の木曜日」と言われる米国株の暴落が起こった。この時の状況が現在と酷似しているという指摘もある。20年代の米国は石油、自動車など新たな産業の成長とともに不動産に対する投資が盛んとなった。そしてあふれ出したマネーは欧州や南米向け投資へと向かい、工業生産がピークを迎えた後に余剰資金は株式市場へなだれ込んだ。

米国は投機抑制を図るため1928年2月から1年6カ月の間に2.5%の利上げを行った。そして29年10月24日、ウォール街で株価が大暴落する。さらに31年には欧州でも金融危機が発生、信用収縮は農産物価格の暴落という形で世界中に広がり世界恐慌へと突入することとなった。

もちろん、当時と現在では米国の産業構造や経済規模が異なることもあり、同じことが起こるとは限らない。しかし、国際的なマネーフローが崩壊する可能性も否定できないことも確かである。


8月の急落は今後起こりうる可能性を先取りしたものか

今年8月、いわゆる中国を震源とした「チャイナショック」で世界中のマーケットが急落に見舞われた。中国の景況感の悪化と米国利上げに対する警戒感がその要因とされている。いずれも突発的な材料ではなかったはずだ。誰もが中国景気の減速は知っていたし、米国が利上げへと金融政策を転換させたがっていることも知っていた。

いわゆる織り込み済みの材料であったはずだが、それでもマーケットは反応した。今回のケースでも市場では米利上げを織り込み済みとの見方が広がっているが、実はまだ十分に織り込んでいないのかも知れない。

大恐慌では利上げによる信用収縮が農産物価格の暴落をもたらしたが、次の米国利上げによる信用収縮は資源価格の暴落をもたらす危険性を内包している。8月の急落は今後起こりうる可能性を先取りしたものであったのかもしれない。だとすれば、資産ポートフォリオがこの時にどのような影響を受けたのか、改めて検証し直すべきであろう。それがポートフォリオを健全に保つ有効な方法だ。


米国から溢れ出した「緩和マネー」が逆流する可能性

来たるべき米国利上げは8月相場の再来となる可能性があることについては上述した。現在の国際的なマネーフローの構造が崩壊する危険性を軽視してはならない。すなわち、米国から溢れ出した「緩和マネー」が逆流する可能性である。「緩和マネー」の恩恵を受けてきた新興国や資源国が影響を免れることは難しいだろう。

もちろん、実際の相場はそう簡単ではない。資金の供給元は米国だけではないからだ。米国が利上げに踏み切っても日本、そして欧州はまだまだ金融緩和を継続する。そう考えると国際的なマネーフローが完全に崩壊してしまう可能性は少ないのかも知れない。とりわけ今度の利上げについては早くからその是非について取り沙汰されている。


何が起こるのかは神のみぞ知る

多くの投資家が米国利上げに関心を持ち警戒していることは事実だ。だからこそ、多くのアナリストや評論家が米国利上げについて語っている。しかし、よく考えて欲しい。彼らはあなたの損失を穴埋めしてくれるわけではない。あなた自身が投資の果実を得、そして責任を取る必要があるのだ。彼らはポジショントークとして自身の利益のため相場を誘導しようとしている可能性だってあるのだ。それが許される世界であり百戦錬磨のプロも素人もハンデなしで同じ土俵で戦うのが投資の世界だ。

不安なときには休む。とりわけ利上げと言った大きな材料が待ち構えていることが分かっているのだから、無理にポジションを取る必要など全くない。自信のあるときにだけ投資することを許されているのが、個人投資家の特権なのだから。

あえて言おう、米国利上げであなたのポートフォリオにどのような影響がでるかは神のみぞ知るところだ。当事者であるFRBですら影響を図りかねてなかなか実行にうつせないでいることからも、それは察することができる。この問いかけに明確に答えられる人ほど、実はあなたが信用してはいけない人なのかも知れない。(ZUU online 編集部)

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