株式投資
(写真=Thinkstock/Getty Images)

今回は「ノーポジション投資法」をご提案します。ノーポジションとはリスク資産をまったく持っていない状態を指します。ポジショントークという言葉を聞かれたことがあると思いますが、当事者が「こうなればいい」という立場で発言する場合、本人のメリット分を割り引いて聞くべきですね。

それは個人の資産運用についても言えるのではないでしょうか。たとえば株式を大量に持っていると「上がる」意見を過大に評価し、「下げたところを買いたい」場合は「買いたい弱気」に傾き、悪い材料をことさらにアナウンスするような傾向です。

リスク資産を持つと、含み益が乗っているときはいい気分になって油断し、含み損を抱えると必要以上に悲観しがちです。そして、その額が大きくなればなるほど「どうしよう?」とおろおろし、一気に取り戻そうと無茶をし、取り返しのつかない大損をしてしまうようなこともあります。

そこで一切のリスク資産を持たない状態にあえて自分を置き、冷静な判断力を取り戻そうというわけです。

それを「ノーポジション投資法」と名付けてみました。この考え方で資産運用力を向上させましょう。

「ノーポジション投資法」の考え方

リスク資産を持つとたいていは上がれば嬉しい、下がれば面白くないという具合に価格に振り回されます。

しかし、リスク資産にはだいたいの妥当価格があるものです。株式なら代表的な指標としてPBR(株価純資産倍率)や、1株当たり利益に対して株価が何倍まで買われているかを表すPER(株価収益率)、配当利回りなど。不動産投資なら年間収益×20年分を基準に買値を検討してみるといった感じです。

そうした数値でおよその妥当価格がつかめると、買値、売値にあまり悩まずに済むわけですが、私たちは株価の変動にウエイトを置きがちです。というのも日々のニュースは圧倒的に株価変動に焦点を当てた情報量のほうが多いからです。

朝は「ニューヨーク市場が上がった下がった」に始まり、「日経平均が高値で始まった」「大幅安となっている」「終値は小幅安でした」「史上三番目の大幅高で引けました」という具合です。

こうした高安情報は振り子のようなもの。次第に催眠術にかかったように上げ下げばかり気にする心理になっていきます。そして株価上昇が続くとリスク許容、株価下落に悲観しリスクオフし、儲けから遠ざかっていきます。

利益を得るには対象資産のだいたいの適正価格を自分なりに想定し、上下にブレ過ぎたときに売買するに尽きます。それを完遂する冷静な判断力を身につけるにはノーポジジョン状態に身を置くことが非常に有効なのです。

ポジションを持たない平穏な気持ちで検証する

一度、まったくリスク資産を持たない状態に身を置くと、ホッとし、心に平穏が訪れます。そして、「何をあくせく日々、株価に大騒ぎしていたのだろう?」と不思議になります。心が楽観悲観、いずれにも傾かないフラットな状態を取り戻したら、以下の3点を検証します。

①執着していた銘柄の適正価格を検討する

ノーポジ状態では、どの企業の株価がどう動こうと自分とは関係ありません。そんな状態に身を置き、改めて自分が持っていた銘柄を見直しましょう。保有していたときより適正価格がずっとつかみやすいはずです。

そして、買っていい価格、売るべき価格はいくらか? 同業種と比べてPER、PBRは高いか低いか? 今後の業績の伸び率はどうか? と比較検討してみるのです。執着が消え、他の銘柄の割安感をつかむきっかけになるかもしれません。

②そもそも論を思い出す

「そもそもは何のための資産運用なのか?」という自らへの問いかけも重要です。現金で持つより少しでも利回りを上げたくてリスク資産にシフトしたのなら、利回りが上がっているか検証が必要です。株で損して利回りどころでないなら、徹底した利回り投資に回帰すべきですね(※利回り投資については次回のコラムで詳しくご紹介します)。

手持ち資産の成長性が見込めないとの理由で、飛距離狙いで新興市場株やIPO銘柄に投資したなら、やたらと手を広げず、投下資本の限度額を決め、一打一打の効果測定をしっかり行いたいですね。

③フラットな状態で本当にそのリスク資産が魅力的なのかを見極める

株式投資は情報量が多いうえ、ネットやメディアの活用で時価もつかみやすいのでビギナーも始めやすいものです。FXもPCやスマホ端末などが使える人にはチャンスを感じる投資対象でしょう。

しかし、どんな投資にも向き不向きがあります。不動産実物投資が合う人もいれば、REIT(不動産投資信託)のほうが向いている人もいます。自分のニーズに合う投資対象は何がいいのか? 本当にそのリスク資産が魅力的な対象なのかをよく検討してエントリーしたいですね。そうすれば後で「ああ、しまった!」ということが少ないはすです。

というわけで、資産運用にも年に一度の大掃除が必要です。是非、いいパフォーマンスを上げるためのノーポジション投資法を実践してみてください。次回は「利回り投資法」についてご紹介します。

【著者略歴】木村佳子(きむら・よしこ)
生活経済情報研究所 ㈱ビューズ代表、日本取引所JPX/女性講座グランドマスター。個人の生活経済、金融リテラシー、ストラテジーをテーマに民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催するセミナー等での基調講演を務めるかたわら、NPO法人日本IRプランナーズ協会理事、日本チャート分析家協会、一般社団法人くらしとしごと生活者フォーラム代表理事などの要職も務める。一級FP技能士(国家資格)。日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP。公的面では各省庁の審議会委員、専門委員などを務める。

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