金融課税一体化,マイナンバー,ジュニアNISA
(写真=Thinkstock/Getty Images)

少子高齢化が進行する中、政府は家計金融資産の効率的活用が経済活力維持の鍵であるという考え方から、税制改正を通じて「貯蓄から投資へ」の誘導を進めようとしている。2016年1月から変わる注目の制度を紹介したい。

金融所得課税の一体化が本格始動

2016年の税制改正でまず注目されるのが、課税方式の均衡化と損益通算の範囲の拡大を柱とする「金融所得課税の一体化」だ。

これまで、公社債や公募公社債投信といった「公社債等」の譲渡益は原則非課税だったが、16年以降、税制上の取扱いが上場株式や公募株式投信など「上場株式等」と同様の取扱いに統一され、原則、確定申告による納税が必要となる。

さらに16年以降は「上場株式等」と「公社債等」の損益通算が可能となり、「上場株式等」や「公社債等」の譲渡損と、収益分配金等との損益通算ができるようになる。加えて「上場株式等」の受け入れに限定されていた特定口座で、「公社債等」の取扱いが可能になる。原則として、「公社債等」の譲渡(償還)益は、確定申告が必要となるが、「源泉徴収あり」特定口座を利用すれば、確定申告が不要になる。

なお、特定口座に係る経過措置として、15年12月31日時点までに金融機関で購入しそのまま継続して保有される「公社債等」は、原則として16年1月1日にその金融機関に開設している特定口座に受け入れることが可能となる。

マイナンバー制度導入が及ぼす影響は?

16年1月からスタートする税に関する制度といえば、マイナンバー制度もある。住民票を有する全ての住民に対して、1人1つずつ、12桁の数字が配布され、社会保障・税・災害対策の分野において、複数の機関で管理する個人情報の管理効率化等に活用される仕組みだ。新たな制度は、家計のさまざまなシーンに影響が及ぶ可能性がある。

例えば、本業以外に副業をしているサラリーマンの場合、副業収入が20万円を超えると、各会社から交付された給与所得の源泉徴収票や雑所得(原稿料、アフィリエイト収入、外国為替証拠金取引など)の支払調書を合算して確定申告しなければならない。

本人に交付される源泉徴収票や支払通知書は、マイナンバーの記載が不要だが、各企業が税務署に提出する給与支払報告書や支払調書には記載が義務付けられている。税務署がマイナンバーを使って名寄せすれば、個人の本業と副業を合わせた全収入を容易に捕捉できる。

税務署の確定申告データは、従業員の居住する市区町村に通知され、住民税の課税・徴収に利用されて、企業が毎月従業員に支払う給与から個人住民税を差し引いて納税する「特別徴収」か、従業員が市区町村から送付される納税通知書に従って納税する「普通徴収」が適用される。

会社が特別徴収を行っている場合、本業の給与と副業収入を合算した分の住民税の納税額が、市区町村から会社に通知されたら、本業以外に収入があることがわかってしまう。例えば、従業員が給与所得の扱いになる副業をやっていれば、本業分と副業分を合算した分の住民税納付額が会社に通知される(給与所得以外の雑所得分は、普通徴収を選択すれば通知されない)。

実際に影響が出てくるのは、2017年(16年度分)の確定申告からだが、こっそり副業をしている従業員にとっては深刻な問題かもしれない。

学資保険をカバーするジュニアNISA

「ジュニアNISA」は、2016年から始まる未成年のための少額投資非課税制度だ。年間80万円までの投資資金による上場株式等の配当金や売却益等が非課税となる。

ジュニアNISA口座を開設するためには、事前に親権者が口座を開設した上で、「未成年口座」を開設する必要がある。なお、未成年口座の名義人が成人したら、自動的に成人向けNISA口座が開設される。

配当所得や譲渡所得が非課税対象となる投資商品は、上場株式、上場投資信託(ETF)、上場投資証券(ETN)、不動産投資信託(REIT)、株式投資信託。ただし、ジュニアNISA口座で保有する上場株式等の配当金を非課税とするためには、受取方法を「株式数比例配分方式」とする必要がある。

ジュニアNISA口座で購入した上場株式等はいつでも売却可能だが、売却益を非課税にするためには非課税期間(購入の年から最長5年間)の間に売却する必要がある。5年経過後に引き続きジュニアNISA口座で翌年の非課税枠80万円を利用し、80万円の限度額の範囲内でそのまま保有し続けることも可能だ。子供が20歳になるまで非課税保有を継続できることが可能な点で、学資保険のライバルと呼ばれている。

ただし、安心度の高い学資保険と比較して、ジュニアNISAは、元本割れのリスクが付きまとう。学資保険とジュニアNISAのポートフォリオで、教育資金の運用を考えた方がよさそうだ。

このように「貯蓄から投資へ」の誘導を図る2016年からの税制改正。これをプラスとみるか、マイナスとみるか。家計にとっても思案のしどころだ。

笹原 英司
宮崎県出身、千葉大学大学院医学薬学府博士課程修了(医薬学博士)。デジタルマーケティング全般(B2B/B2C)および健康医療/介護福祉/ライフサイエンス業界のガバナンス/リスク管理関連調査研究/コンサルティング実績を有し、クラウドセキュリティアライアンス、在日米国商工会議所などで、Health-Techスタートアップに対するメンタリング活動を行っている。

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