8月、9月と急落した株式市場も10月から回復し、11月も上値は重かったものの堅調な相場となりました。そうなるともはや塩漬けとなることもなく、結果論ですが、「損切りせずに持っていればよかったということになるのです。相場が右肩上がりのトレンドであれば、しっかりと買い場で買っていれば、慌てる必要もないということになりそうです。
塩漬け株解消法と言うことで連載をしているのですが、連載開始当初と違って、日経平均で考えれば2000年以降に買った投資家は誰も「塩漬けとなっていない」可能性があるということなのです。唯一2015年の6月から8月に買った人が塩漬けとなったのではないかと思われるのです。ただ、これまで述べて来たように買うべきところで買い、売るべきところで売ることで塩漬けは回避できたと思います。
繰り返し述べていますが、もし塩漬けなってしまった場合に解消する一番いい方法は「買い値を忘れる」と言うことです。もちろん人間ですから何とか利益を出して売りたいと思うのではないでしょうか?ところが、利益になるという事だけに固執してしまうと損切りも出来ず、そもそも利益を出す売り場すらもはっきりとしないということになっていることが多いのです。
ですから、買い場を忘れて、「売りの形だから売る」「下落を示唆したから売る」と言うことで利益でも損失でも売るということが出来れば、同じように「買い場」を考えれば自ずと利益が出て来るということになります。
「システム売買」と言われるような機械に売り買いを任せてしまうやり方はまさにそうした「買い場で買い、売り場で売れる」のですから、しっかりとしたシステムであれば利益が出るということなのです。ただ、システム売買の場合は細かい調整が出来ないという欠点もあり、どちらが良いかと言えば、人間がしっかりと「売り場で売り、買い場で買う」と言うことが一番ではないかと思います。
実際にきちんと「買い場で買って、売り場で売って」いれば、多少の思惑の違いでは大きな損にはならず、利益が出るときにはしっかりと出るということになるのですから、総合的に考えれば、妙にジタバタするよりも楽にゆっくりと儲けることが出来るのです。特別な相場観とかテクニックも必要ないかもしれません。
ただ、実際の問題は買い場を探すということなのですが、もちろん株価の位置によって「買い場」の定義を変えたり、損切りのタイミングを変えたりする必要があるということなのです。つまり、ごく単純に考えて日経平均でも同じ「移動平均線」を基準に考えるときでも、5月のとき、8月、そして10月では違うということなのです。機械的にやってしまうと5月も8月も、そして10月も「かい離」などで見た場合には大きな違いはないのですが、実際にその後の結果は大きく違ってくるのです。
移動平均線と株価の関係で売り買いのシグナルを出すものに「グランビルの法則」と言うものがあるのですが、この法則に当てはめて売り買い、そしてそれを利用した「損切り」をしたとすると、単純に売り買いをしていけば結局は儲かるのですが、実際に自分でやって見ると、うまく損切りが出来なかったり、恐怖感に駆られて買い場で売ってしまったりと言うことになるものです。
実際に日経平均と村田製作所 <6981> での取り引きを考えて見ましょう。どちらも結果から言えば、いわゆる「グランビルの法則」で売り買いしてしっかりと儲かったということになるのですが、きちんと「法則通りに売り買いする」と言うことが塩漬けを作らない一番の方法と言うことになります。
チャートでは「B」が買い場、「S」が売り場となるのですが、実際にその場にいるとなかなか売れない、買えないものなので、本当にその日に売ることが出来るのかどうかと言うことなのです。特に、○をつけたところでしかりと売れるかどうかが、うまく行くか塩漬けとなるかの分かれ目と言うことになるのです。
清水洋介 証券経済アナリスト
大学卒業後、大和証券、ソシエテジェネラル証券、マネックス証券を経て投資情報サービス会社「ピクシスリサーチ」を設立(現・アルゴナビス)、「チャートの先生」「投資のプロ」として、講演やセミナー活動等を活発に行なっています。テレビや雑誌などでも投資についての解説、講義なども行なっています。(記事提供=
株主手帳
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