店舗を持たないインターネット専業の「ネット銀行」を利用している人も多いでしょう。ネット銀行を利用する理由の一つは金利の高さなのではないでしょうか。

メガバンクなど従来型の銀行の普通預金で限りなくゼロに近い低金利が続く中、最大で100~200倍もの差がつく金利を提供するネット銀行が注目されるのは当然ともいえるでしょう。

最近では従来型の銀行の中にも「インターネット専用支店・専用口座」を設立し、あたかもネット銀行のような運用を行っているところもあります。

この記事では、ネット銀行およびインターネット専用支店・専用口座(以下、あわせて「ネット銀行」と言います。)の金利について、一般の銀行との差や優遇される条件、チェックしておくべきポイントなどを紹介します。

ネット銀行の金利や手数料に注目したい理由

貯金
(画像=PIXTA)

ネット銀行はメガバンク等よりも金利が高い傾向

現在は各メガバンク等の普通預金金利は0.001%(税引前)程度とほぼゼロ金利に近い状況になっています。ただネット銀行の金利は、メガバンクや従来型の店舗を持つ銀行と比べて一般的に高いという傾向があります。

店舗を持たず預金通帳も発行しないなど人件費や店舗運営費用がかからないネット銀行は、削減分のコストを預金者サービスに反映させているといわれています。その最大の強みともいえるのが高金利で、メガバンクだけでなく、ネット銀行同士での差別化策としても競争力を発揮し合う武器となっているようです。

振込手数料やATM手数料がメガバンク等と比べお得な場合も

さらに金利だけではなく、ネット銀行の強みは振込手数料やATM手数料にも反映されています。メガバンクや店舗を持つ従来型銀行と比較してみると、場合によってはかなりお得になることが多いです。

ATMで振込をすると、振込先の銀行や支店、振込方法、振込金額などによって金額は変わるものの、基本的に必ず振込手数料がかかります。しかも振込手数料の金額は高いため、回数が多ければかなりの金額になってしまうでしょう。一方、ネット銀行はウェブサイトで振り込めるのでATMを使わなくても済み、振込先や回数にもよりますが無料で済むケースもかなりあります。

ネット銀行の金利はどの程度か?

仮に0.1%ならば0.001%と比べその差は100倍

では、ネット銀行の金利はどの程度なのかを確認してみましょう。

普通預金や定期預金など開設している口座の種類にもよりますが、中には普通預金でも0.1%(税引前)レベルの高金利が適用されるネット銀行もあります。0.001%(税引前)というメガバンクなどと比べてみると、その差はなんと100倍と大きく違ってきます。場合によっては0.15~0.2%(税引前)という高金利の普通預金を提供しているネット銀行も存在します。

これだけ高金利ならば迷うことなくネット銀行を選びたいところですが、その前に知っておかなくてはならないこともあります。高金利の適用を受けるには、預金者が一定の条件を満たす必要がある場合があることです。

金利をチェックする際には適用条件も同時に確認

ネット銀行において高金利を適用してもらうための条件には、どのようなものがあるのでしょうか。代表的なものをいくつか紹介します。

1.普通預金と定期預金の違い

普通預金か定期預金かという点は、金利に差が付く基本的な要素といえるでしょう。

銀行は預金を貸付資金として運用することで利益を生み出しているため、預入期間がある定期預金の金利は普通預金に比べると一般的に高くなっています。基本的には、預ける金額と期間によって金利が決まります。

一方、預入期間がなく、預金者がいつでも引き出すことができる普通預金は、銀行にとっては定期預金と比べて貸付資金としての運用がしづらい傾向にあります。そのため、金利も必然的に低くなり、定期預金の金利とは差が生じます。

また、定期預金は預入期間として設定された満期日まで預金を引き出さない条件をもとに、高めの金利を提供する仕組みですので、満期日以前に引き出す場合は通常中途解約手続きが必要となり、一般的に金利は下がることになります。

2.定期預金の最低預入金額

定期預金には基本的に、最低どれだけの金額から預け入れができるかという「最低預入金額」というものが定められています。銀行や定期預金の種類によって最低預入金額は違い、メガバンクであっても1円から預け入れが可能な定期預金も多いです。また、中には上限金額を定めている銀行や定期預金もあります。

ネット銀行についても、定期預金の最低預入金額は各銀行によって異なります。1円から預け入れできる銀行もあるものの、1万円からなどという銀行もかなり多くなっています。預ける期間によって最低預入金額が異なる銀行もあり、満期が1週間や2週間と短期であれば最低預入金額は10万円以上などと高額になるケースもみられます。

3.一定以上の預金残高

普通預金の預金残高が一定以上あれば、金利がアップするネット銀行もあります。また通常の金利に加え、預金残高に応じて特別金利を追加した利息を受け取れるなど、優遇しているケースもあります。

4.給与や年金の振込口座に指定

普通預金口座を、毎月の給与や、国民年金・厚生年金・共済年金などの公的年金の指定振込口座にすることで特別金利が適用されるネット銀行もあります。中には、一定のキャッシュバックを受けられるケースも存在します。

5.会員制のステージランク

銀行の利用度やグループの電子マネー・クレジットカードの利用頻度などにより、ステージランクが決まる会員制プログラムを導入しているネット銀行もあります。一般的にランクは数段階に設定されていて、最高ランクになるとかなり金利が上がります。

6.グループ証券の口座と連動

最近目立ってきたのは、同一金融グループに属する証券会社の口座と連携することにより高金利を付与するサービスです。グループ証券会社の証券口座を開設し、連携することで、かなりの高金利を受けられる場合もあります。

ネット銀行を選ぶ際に金利以外でチェックすべきポイント

ネット銀行のメリットは高金利というだけではありません。金利以外にも注目したいポイントがあるため、チェックしておきましょう。

利用手数料

銀行を使う際に必ずといっていいほどかかるコストが、利用手数料です。主に振込手数料と入出金などのATM利用手数料となりますが、ネット銀行ではこういった手数料についても比較的お得に設定されている場合が多いです。プログラムにエントリーしたうえで振込などの銀行取引を行うと、ポイントを付与してくれるネット銀行もあります。

1.振込手数料

振込先の銀行や支店、振込方法、振込金額などによって金額は変わるものの、振込する際に通常は必ず振込手数料がかかります。ATMの入出金手数料と比べるとかなり高めで、回数が多ければそれなりの出費となってしまいます。

一般的な銀行の場合、ATMが設置されている銀行内口座への当該ATMを使った現金による振込ならば、3万円未満で220円、3万円以上で440円程度というのがほぼ基本的な金額です。他行への振込となると、3万円未満で440円、3万円以上であれば660円とかなり高額になるため注意が必要です。

ただ、基本的にパソコンやスマホを使いウェブサイトで振込を行うネット銀行は、振込手数料がかなり低い傾向になっています。自行宛ては通常無料、他行宛てでも条件付で月3~5回程度は無料としているところが多くなっています。

一般的にそれ以上回数が増えると有料になりますが、それでも1回の振込料が100~200円程度とかなり安く設定されています。中には、会員ステージランクが上がると、他行あて振込手数料が月15回まで無料になるというネット銀行もあります。

2.ATM利用手数料

現金の入金や出金には銀行やコンビニなどにあるATMを使うことが多いでしょう。このATMの入出金手数料の金額はさまざまな要素によって変わってきます。それぞれの銀行で少しずつ違うものの、メガバンクなど一般的な銀行では以下のような場合で変化します。

最も基本的な要素としては「曜日」と「時間帯」が挙げられます。曜日は主に「平日」「土・日・祝日」に分かれ、平日の手数料は無料または低く抑えられ、土・日・祝日では高めとなります。

日中の利用を通常時間帯としている場合が多く、この時間帯の手数料は口座を開設している銀行に設置されているATMを使えば無料、コンビニATM でも安く済む傾向があります。その前後の早朝深夜時間帯になると、2倍程度まで上がるケースが目立ちます。

一方、ネット銀行では、基本的にコンビニATMなどの利用手数料を月に何回か無料にしているケースがあります。銀行によって無条件だったり一定の条件を指定していたりとさまざまですが、だいたい月に3~10回の利用手数料を無料にしているところが多くなっています。

振込手数料やATM利用手数料が無料となる回数は、上述した優遇を受けるための条件を満たすことで増やすことができるケースもあります。預金残高や取引回数などにより無料で利用できるサービスの回数は変わってきますので、事前に調べておくとよいでしょう。

利用しやすさと利便性

ネット銀行は振込や入出金、残高などを確認するためにわざわざATMに出向く必要がありません。24時間・365日、ネット銀行の専用ウェブサイトで申込や確認ができるため、手間や時間をとられず便利なことが大きな特徴といえます。上述のとおり現在ではネット専用銀行だけでなく、メガバンクをはじめ店舗を有する銀行の一部はインターネット専用支店・専用口座を運営しているため、利用先の選択肢も広がっています。

ネット銀行の専用ウェブサイトでは基本的に直近1~2ヶ月分の入出金明細を表示することが可能で、操作によりさらにさかのぼって確認できる場合も多くなっています。通常の振込にとどまらず、税金や各種公共料金の払い込みができる銀行も増えてきています。取引明細を紙で残したい場合はプリントアウトだけでなく、PDFやCSVファイルでダウンロードできる銀行も存在します。

アプリの機能や使い勝手

最近は多くのネット銀行がスマホアプリを使った運用を始め、預金者の利便性も一段とアップしています。いつでもどこでも簡単に取引状況の確認や振込ができるようになり、従来の銀行ではなかったような進化型サービスも導入されています。

例えば、家計簿アプリと連携して家計に関する入出金を一元管理できるものや、友人や知り合いとの間で割り勘計算・送金ができるサービスなどが登場しています。指紋認証やFace IDでログインできるアプリもあります。

またアプリとデビットカードを連動させ、画面上で利用明細の確認や利用限度額のリアルタイム変更などができるアプリもあります。このアプリを提供している銀行は、デビットカードの利用金額に応じて最大1%がキャッシュバックされたり、同行が指定するATMの入出金手数料が何回でも無料だったり、振込手数料を最大月3回無料にしたりといった優遇サービスも行っています。普通預金なのにもかかわらず、金利は0.2%(税引前)と従来型銀行の200倍なのも大きな魅力でしょう。

また、デビットカードを使うと、利用金額の一定割合を普通預金残高から自動的に積み立ててくれるサービスも提供しています。旅行など自分があらかじめ決めておいた目的や目標金額に向けて、一定割合が貯蓄に回る仕組みとなっています。意識しないうちに貯まっていくため、貯蓄のハードルを下げてくれるアプリといえるでしょう。

現在ではネット銀行を利用することで、高金利に加えて、様々なメリットの恩恵を受けることができます。手数料やアプリの使い勝手などのポイントにも注目して、サービスを比較してみてはいかがでしょうか。

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