誰にでも平等に与えられた「時間」という有限の資源をどう活かすかはその人次第。「時間は有限」「時は金なり」といった言葉が示すように、時間の大切さは誰もが理解しているだろう。

過ぎてしまった時間を取り戻すことはできないし、時間を直接的に買うことはできないが、お金を支払うことで間接的に買ったり、時間価値を高めたりすることはできる。特に、1時間あたりの時間価値が高い富裕層は「時間錬金術」に長けているといえる。

あくまで一例だが、経営者であれば、自分でなければできない仕事に集中するために秘書を雇うと説明するとわかりやすいだろうか。経営者に限らず、時間を生み出すためにお金を支払うことで、自分の1時間あたりの価値を高めることは誰にでもできる。その方法を紹介しよう。

まずは自分の時間価値を知ることから始めよう

時計
(画像=Daria Minaeva / Shutterstock.com)

時間を価値として換算するには、自分の収入を時給換算するとわかりやすい。年収1,000万円で1日8時間×年間220日働いている人なら、時給は約5,682円だ。「時間の仕入れ価格」がこれを下回っていれば、時間価値を高められたことになる。時給換算した自分の収入よりも安く済ませることができたり、将来的に大きな成果を得ることができれば、時間錬金術は成功だ。

職住近接の費用対効果の出し方

時間を買う代表的な方法が職住近接だ。物理的な生活範囲を狭めることによって、移動時間を削る。経営者やサラリーマンなど、就労形態を問わず活用できる方法だ。

例えば通勤に往復2時間かけている人が、職場の近くに引っ越したとしよう。通勤時間は1時間短縮できた。1ヵ月に20日出勤するとして、20時間の削減だ。家賃は月3万円増えた。この人は自由な時間を1時間あたり1,500円で買ったことになる。

究極の職住近接は就業場所に住むことだ。自宅の隣にアパートを建てる大家や、店舗の2階を住居として暮らす商店主などがその例といえる。億単位の年収があり、多数の補助者を雇う士業者も、開業したての頃は自宅を事務所にしていたという人が多い。開業当初という大切な時間を目一杯業務に充てられたことが、その成功に関係しているのかも知れない。

得意な人や機械にやってもらう

家事代行は昔からあるサービスだが、利用率は2011年時点で2%と非常に低い。最も多い理由は価格の高さだ。価格とは相対的なものである。代行してもらうことによってかかる費用を上回る時間価値を生み出せれば、有効な時間の買い方をしたといえる。1時間1,500円くらいから依頼できるケースなど、利用のハードルは下がっており、検討の余地はある。

家事に限らず、個人間のスキルや時間の売買を仲介するプラットフォームは数多く存在する。ちょっとした相談や日曜大工的な作業まで、依頼できる内容は多い。一人で悪戦苦闘するよりも、対価を払って知見や技術の提供を受けたほうが、時間を有効に使えるだろう。

ほかにも機械が代行できることも多い。食器洗い乾燥機やロボット掃除機、全自動洗濯乾燥機などがその例だ。1日15分の時間短縮は、年間で90時間にもなる。仮に時給2,000円で計算すると、時間価値は18万円だ。削減できる時間でどれくらいの価値を生み出せるのか考えてみていただきたい。

時間価値の高め方

時間価値を高める方法としては、集中できる時間を買うためにホテルや学習スペースを借りて作業をする、日中のパフォーマンスを高めるために睡眠の質を高める (そのために、良質な寝具を購入する) などの方法が挙げられる。これらは、時間あたりの「質を高める」と言い換えることもできるだろう。

お金を掛けない方法もある。ジムでランニングをしながらオーディオブックを聞くなど、ながら (~しながら) 手法で時間あたりの質を高められる。

時間の先行投資も時には必要

時には「時間の仕入れ価格」が自分の時給を上回ることがあってもよいだろう。特に先行投資として仕事や学習、交流にかける時間を買うという判断は重要だ。人との出会いや学びは、今すぐには芽がでることは無いが、将来大きな実を結ぶことがあるからだ。数年後に得たい時給をイメージし、それに見合った金額を先行投資する。将来の富裕層には、このような決断が役に立つことがある。

一番重要なのは買った時間で何をするか、何にお金を掛けると効果が高まるかを最初に考えておくということ。人によって何を大事にしているかは異なるし、その時々によっても変わってくるだろう。

そして、対価はかならずしも金銭である必要はない。家族や友人など大切な人と過ごす、ストレス発散のために趣味を持つという選択肢もある。要は、支払ったお金以上の価値を手にできれば良いわけだ。(提供:大和ネクスト銀行


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