最近の上場企業の世界時価総額ランキングでは、GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)に代表されるアメリカ企業がずらりと並び、株式投資においては、アメリカが依然有望であることを感じさせる。とはいえアメリカ勢だけにトップ10が独占されているわけでもない。
アメリカ勢以外でトップ10に入っている国を探って見よう。
上場企業の世界時価総額ランキング
会計事務所世界大手のプライスウォーターハウスクーパース(PwC)が発表した2020年3月末時点の時価総額ランキングは以下のとおりだ。
<上場企業の世界時価総額ランキング 1〜10位>
1位(1兆6020億ドル):サウジアラムコ(サウジアラビア)
2位(1兆2000億ドル):マイクロソフト(アメリカ)
3位(1兆1130億ドル):アップル(アメリカ)
4位(9710億ドル):アマゾン(アメリカ)
5位(7990億ドル):アルファベット(アメリカ)
6位(5220億ドル):アリババ(中国)
7位(4750億ドル):フェイスブック(アメリカ)
8位(4690億ドル):テンセント(中国)
9位(4430億ドル):バークシャー・ハサウェイ(アメリカ)
10位(3460億ドル):ジョンソン・エンド・ジョンソン(アメリカ)
※順位に続くかっこ内は時価総額
トップ10にランクインしている企業がある国にはアメリカのほか、国営石油会社サウジアラムコを有するサウジアラビアと、電子商取引(EC)大手のアリババとインターネット大手のテンセントを有する中国がある。
11〜20位に目を移すと、スイスや台湾の企業もランキングに入ってくる。
<上場企業の世界時価総額ランキング 11〜20位>
11位(3220億ドル):ウォルマート(アメリカ)
12位(3160億ドル):ビザ(アメリカ)
13位(3060億ドル):ネスレ(スイス)
14位(2800億ドル):ロシュ(スイス)
15位(2770億ドル):JPモルガン・チェース(アメリカ)
16位(2720億ドル):プロクター・アンド・ギャンブル(アメリカ)
17位(2560億ドル):中国工商銀行(中国)
18位(2430億ドル):マスターカード(アメリカ)
19位(2370億ドル):ユナイテッドヘルス(アメリカ)
20位(2350億ドル):TSMC(台湾)
セオリーとしてはアメリカ株だが、分散を意識することも重要
海外株式への投資を検討する際に、ランキング上位に連ねる企業を多数有するアメリカを有力候補にすることは、セオリーとしては間違ってはいないだろう。しかし、最初から投資対象をアメリカ企業だけに絞ると、アメリカ以外の国の有力企業への投資の好機を逃すことにつながる可能性もある。
中長期的な投資で確実に資産を増やしていくためには、視野を広くもち、さまざまな国の成長企業に着目することも重要だ。
2020年の世界経済を脅かしている新型コロナウイルスも、視野を広くもつことの重要性を改めて投資家に実感させた。何か大きな出来事があるとマーケットの状況は大きく変わる。であれば、やはり投資対象は分散させたほうがよいだろう。特定の国や業種に偏った投資手法は、時に自らの首を絞めることにもつながってしまう。
ユニコーンランキングから有望国を考える
視野を広げるという意味では、上場企業の世界時価総額ランキングだけではなく、ユニコーン(時価総額10億ドル以上の非上場企業)のランキングに着目するのも面白いだろう。
ユニコーン企業は、すぐに投資先として選ぶことはできなくても、将来的に上場する可能性が十分にあるうえ、何よりどの国がどの分野で勢いがあるのかを分析するのに役立つ。
民間調査会社のCBインサイツの最新データ(2020年6月時点)によれば、ユニコーン企業の時価総額トップ10は以下のとおりだ。アメリカや中国のほか、インド企業やシンガポール企業もランクインしている。
<ユニコーン時価総額ランキング>
1位(750億ドル):Toutiao(中国)
2位(560億ドル):Didi Chuxing(中国)
3位(360億ドル):ストライプ(アメリカ)
4位(333億ドル):スペースX(アメリカ)
5位(180億ドル): Airbnb(アメリカ)
6位(180億ドル):Kuaishou(中国)
7位(160億ドル):ワン97コミュニケーションズ(インド)
8位(150億ドル):エピックゲームズ(アメリカ)
9位(150億ドル):DJIイノベーション(中国)
10位(143億ドル):グラブ(シンガポール)
「より成長が期待できる市場」を常に考える視点を
このように少し視点を変えれば、新たな可能性に気づき、これまでとは違った投資戦略を構築することができる。具体的には、アメリカだけではなく、中国をはじめとしたアジア企業の可能性に気づくことができるだろう。
こうしたランキングを参考に、これまで見逃していた成長地域への投資を検討してみてはいかがだろうか。
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