IPO投資におすすめの証券会社の選び方
IPO投資を検討している方が、証券会社を選ぶ際に注目したいポイントは以下の3点です。
IPOの実績
IPOは申し込んだからといって必ず株式を購入できるわけではありません。一般的なIPOの当選確率は1~2%ほどです。IPO投資に当選するためには、いくつもの抽選に応募する必要があるためIPO投資の実施数は重要でしょう。
IPO実施数は証券会社により異なります。2021年の年間IPO実施数は、SBI証券が122件であったのに対し、GMOクリック証券はわずか1件です。また、IPOの主幹事数の多さにも注目してください。IPOの主幹事会社はより多くの株数を引き受けるため、当選確率も上がります。
抽選方式
IPOの抽選方式は、証券会社によって異なります。IPOは、申し込むだけでは意味がなく、当選して初めて利益を期待できます。そのため、抽選方式は重視すべき点です。
完全平等性の証券会社も多いですが、岡三オンライン証券やSBIネオトレード証券は、自社で多額の取引を行う顧客や多額の株式を保有する顧客の当選確率が上がる仕組みを採用しています。
NISA対応有無
NISAは利益が非課税になるお得な制度ですが、裏を返すと、損したら非課税のメリットを受けられません。そのため、大きな利益を得やすいIPO投資は、NISAと相性がいいです。
IPO投資で100万円の利益が出た場合、NISA口座では税金はかかりませんが、一般口座や特定口座では約20万円もの税金が発生します。
主要ネット証券では、楽天証券とPayPay証券がNISAでのIPO投資に対応していません。
IPO投資に関するアンケート結果
Q1. IPO投資で使用している証券会社は?
IPO株投資を利用している証券会社 |
|
回答数 |
% |
SBI証券 |
26 |
0.4333 |
楽天証券 |
11 |
0.1833 |
野村證券 |
6 |
10.00% |
松井証券 |
5 |
0.0833 |
大和証券 |
2 |
0.0333 |
SMBC日興証券 |
2 |
0.0333 |
マネックス証券 |
1 |
1.67% |
GMOクリック証券 |
1 |
1.67% |
みずほ証券 |
1 |
1.67% |
CONNECT(コネクト) |
1 |
1.67% |
サクソバンク証券 |
1 |
1.67% |
その他 |
1 |
1.67% |
Q2. IPO投資の証券会社を選んだ理由は?
IPO株投資の証券会社を選んだ理由 |
|
回答数 |
% |
取引手数料の安さ |
30 |
0.5 |
実績(IPO数の多さ) |
40 |
0.667 |
実績(IPO主幹事数の多さ) |
28 |
0.467 |
実績(IPO時の上がり幅) |
27 |
0.45 |
当選確率 |
21 |
0.35 |
口座数 |
13 |
0.217 |
その他 |
2 |
0.033 |
Q3. IPO投資の各証券会社の満足度は?
NISAの各社満足度(5段階評価) |
|
満足度 |
SBI証券 |
3.81 |
楽天証券 |
3.55 |
野村證券 |
3.00 |
松井証券 |
3.40 |
大和証券 |
3.50 |
SMBC日興証券 |
5.00 |
マネックス証券 |
5.00 |
GMOクリック証券 |
3.00 |
みずほ証券 |
4.00 |
CONNECT(コネクト) |
2.00 |
サクソバンク証券 |
2.00 |
その他 |
3.00 |
IPO投資とは
IPO投資とは、株式市場に新たに上場する会社の株式を購入することをいい、上場後の値上がり益を目的とする投資手法です。該当銘柄が公開価格より高い株価で取引されている傾向にあることから、多くの個人投資家が利用しています。
IPO投資のメリット
IPO投資のメリットには、以下の3つが挙げられます。いずれも株式投資で稼ぐための重要なポイントなので、一つずつ確認していきましょう。
- 購入時の取引手数料が不要
- 初心者でも利益が得やすい
- 資金効率がいい
購入時の取引手数料が無料
上場株式の売買をする際は取引手数料がかかりますが、IPO投資は購入時の取引手数料がかかりません。ただし、購入した株式を売却する際は、取引手数料が発生するので注意しましょう。
なお、IPO投資は抽選への事前申込みが必要となりますが、申込手数料も無料です。そのため、売却するまで手数料がかからない点も大きなメリットといえるでしょう。
初心者でも利益を得やすい
IPOでは、新規上場する株式を購入できる公募価格が事前に決められています。市況や会社の業績によって株価が変動する上場株式とは違い、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析といった分析をしなくとも利益が得られやすい傾向にあります。そのため、銘柄分析ができない投資初心者にとっては大きなメリットといえるでしょう。
また上場日にはIPO抽選で落選した人たちや新規上場する銘柄に期待する人たちも多く、注目度合いや需要に応じて高値が付きやすい傾向にあります。
対象年度 |
上場銘柄数 |
上昇銘柄 (上昇率) |
2017年
|
88
|
80(90.9%)
|
2018年
|
90
|
81(90.9%)
|
2019年
|
82
|
73(89.0%)
|
資金効率がいい
株式購入後すぐに売却するケースが多いIPO投資は、資金が拘束される期間が短い傾向があります。数ヵ月から数年の投資期間がある中長期投資に比べて、運用資金が増えるため、資金効率が高まるでしょう。
なお、IPO銘柄を購入する際は、証券口座に準備金を入金しなければなりません。証券会社によって準備金の入金タイミングが異なるため、事前に資金拘束される期間を確認しておくことが大切です。資金効率を高めたい人は、入金が購入申込日までと設定されているauカブコム証券などを活用するとよいでしょう。
IPO投資のデメリット
値上がりが期待できるIPO投資ですが、押さえておかなければならないデメリットがあります。IPO投資を始める前に確認しておきましょう。
公募割れのリスクがある
約90%の銘柄の値上がりが期待できるIPO投資ですが、人気がない銘柄は公募割れする可能性があります。公募割れとは、IPO銘柄の公募価格より初値価格が下回り、損失が出てしまう状態です。
公募割れとなるIPO銘柄は多くありませんが、投資家の注目度や上場時期によっては初値価格が安くなるケースがあります。SBIネオトレード証券が2020年3月に取り扱った23銘柄のうち16銘柄が実際に公募割れを起こしています。
IPO投資をする際は、必ず儲かると考えることなく、慎重に銘柄を選びましょう。
IPO準備金が必要
IPO投資をする際は準備金を証券口座に入金しなければなりません。入金額は「希望価格(申込金額)×株数」、成行注文の場合は上限価格が基準となるのが一般的です。
準備金の入金タイミングは、証券会社ごとに異なるので注意が必要です。なお、複数の証券会社からIPO申し込みをする際は、auカブコム証券などのように購入申込日まで入金を必要としない証券会社を選択すると資金効率が高まるでしょう。
IPO銘柄の買い方
IPO投資をする前に全体の流れを把握しましょう。 IPO投資は約1ヶ月の短いスケジュールで手続きが進みます。 ここでは、SBI証券の実際の取引画面に沿って解説します。
ステップ(1)ブックビルディングの申し込み
IPO投資を始める際は、ブックビルディングの申し込みが必要です。ブックビルディングとは、機関投資家の意見をもとに決定された仮条件を投資家に提示し、需要を判断したうえで公募価格を決める方式です。
まずはブックビルディング期間中に価格と株数を指定したうえで申し込みます。公募価格が入力した金額より高かった場合は、抽選対象外となってしまうので注意が必要です。IPO銘柄を購入できる確率を少しでも高めたい人は、上限金額に設定しましょう。
ステップ(2)証券口座への入金
公募価格が決定したら、証券口座へ準備金を入金しましょう。必要な準備金は、「希望価格(申込金額)×株数」で計算します。準備金の入金タイミングは、購入申込時やブックビルディング申込時など、証券会社ごとに異なるので公式ホームページで事前に確認しておきましょう。
SBI証券では、ブックビルディング申込内容に表示されている「公募価格×株数」を抽選日までに入金します。なお、抽選日に入金が確認できなければ、抽選対象外となってしまう場合もあるので期日内に入金しましょう。
ステップ(3)抽選結果の連絡・購入意思表示
抽選が完了すると、IPOの銘柄情報に当選や補欠当選、落選、抽選対象外と表示されます。購入意思表示期間に入ると、購入と辞退が表示されるので、該当するボタンをクリックします。
購入意思表示期限までに手続きをしなければ、当選が無効となってしまうので、購入を希望する際は期限内に手続きを進めましょう。なお、辞退を選択すると、拘束されていた準備金での取引や出金が可能となります。
ステップ(4)上場
上場日になると、証券取引所で自由に売買できます。購入したIPO銘柄を売却する際は、売却手続きを進めましょう。
なお、SBI証券では、上場日前営業日の翌日午前4時ごろから売却注文が可能です。一方、楽天証券やマネックス証券は上場日前営業日の午後5時ごろからとなっているため、購入した証券会社のホームページで確認しておきましょう。
IPO投資の注意点
利益が得やすく、資金効率のよいIPO投資ですが、購入前に以下の注意点を押さえておきましょう。
当選確率が低い
IPO投資ができるかは抽選結果によって決定します。IPO銘柄は、注目度が高まるにつれて当選確率が低くなり、「何十回も申し込んだのに一度も当選しない」といった状況も珍しくありません。
なかには、証券口座の資産残高によって当選確率が上がる証券会社も存在します。IPO投資をする際は、当選確率を高めなければ購入できない可能性があることを認識しておきましょう。
証券口座の資金が拘束される
IPO投資をする際は、「希望価格(申込金額)×株数」で算出した準備金を証券口座に入金しなければなりません。入金した準備金は、抽選で落選または辞退するまで他の株式を購入したり、出金したりすることができなくなります。つまり、投資資金が拘束されてしまうのです。
IPO投資にこだわるあまりに投資チャンスを失ってしまう可能性があるので注意が必要です。なお、準備金の入金を求められるタイミングは証券会社によって異なるため、申込前に確認しておくことが大切です。
IPO投資で当選確率を上げる方法
IPO銘柄を購入するには、当選確率を上げなければなりません。ここでは、PO抽選の当選確率をあげる方法を4つ紹介します。
証券会社の抽選方法を把握する
IPO抽選に完全平等性を取り入れている証券会社がある一方で、証券口座の資産残高や過去の落選回数によって当選確率を優遇している会社も存在します。そのため、証券会社の抽選方法に応じた対策がIPOの当選確率を高めることにつながります。
なお、資産残高が当選確率に影響しない証券会社で入金額を増やしても、IPOの当選確率は上がりません。運用できない資金を増やさないためにも、IPOの抽選方法を証券会社の公式サイトで確認しておきましょう。
複数の証券会社で申し込む
IPOが行われる場合、一つの証券会社だけではなく、複数の証券会社が同じ銘柄を取り扱うこととなります。そのため、IPOの当選確率を上げたいのであれば、複数の証券会社から抽選に申し込むとその分当選確率も上がるでしょう。
なお、IPOの申し込みは、証券会社に口座を持っている人しか参加できません。そのため、IPOの当選確率を上げるためにも、複数の証券会社で口座開設をしておくことをおすすめします。
証券会社の担当者と仲良くなる
もし、対面型の証券会社を利用している場合は、担当者と仲良くなっておくと有益な情報提供が受けられる場合があります。IPOの当選確率を高めるためにも店舗型の証券会社を利用してみるのもよいでしょう。
ネット証券での取引が主流となっている近年では、「証券会社の担当者が付いていない」「証券会社の人と話したこともない」という人も多いでしょう。
主幹事の証券会社がどこかを調べる
IPO銘柄の取扱数は、証券会社によって異なります。なかでもIPO銘柄の取扱株数が多いのが「主幹事証券会社」です。そのため、主幹事証券会社で申し込むと、他の証券会社で申し込む場合より当選確率は高まるでしょう。
主幹事証券会社は、各証券会社の公式サイトや投資情報サイトで確認できます。なお、主幹事証券会社に申し込みが集中する場合は、申し込み数が少ない証券会社で口座開設することも視野に入れておきましょう。
IPO投資に関するよくある質問
IPOの辞退でペナルティのある証券会社は?
SMBC日興証券、三菱UFJモルガンスタンレー証券、松井証券、岡三証券の証券会社で当選をしたにも関わらず、購入手続きを行わなかった場合はペナルティが発生しますので注意が必要です。
- SMBC日興証券...オンライン申込を1カ月間制限
- 三菱UFJモルガンスタンレー証券...オンライン申込を1カ月間制限
- 松井証券...6カ月間抽選対象から除外
- 岡三証券...オンライン申込を以後制限
複数の証券会社で同じIPO銘柄に申し込みをすることは出来る?
複数の証券会社から申し込むことができます。複数の証券会社から申し込むことで、IPO株の抽選における当選確率が上がります。
IPOの申し込みで資金拘束されるタイミングは?
IPO株取引に必要な資金が証券口座内で拘束されると、解放されるまでの間は通常の株式購入などにその拘束されている資金を充てることができません。IPO株取引における、入金と資金拘束のタイミングは、次のとおりです。
- 需要申告(抽選申込)時
- 抽選時
- 当選または補欠当選時
- 購入申込時
証券会社によってタイミングは異なります。また、入金と資金拘束のタイミングが同じ場合もあれば、異なる場合もあります。
IPOの100%完全平等抽選のメリットは?
100%完全平等抽選は、資金力やこれまでの取引実績など関係なしに、平等に1人1票の権利が与えられます。したがって、まとまった資金を用意できない人やIPO株取引が初めての人におすすめです。
ちなみに、「100%完全平等抽選」と「100%完全抽選」は似たような言葉ですが、異なる点があるため注意が必要です。どちらも機械的な方法によって抽選が行われる点は同じですが、100%完全抽選は資金が多ければ多いほど、抽選に申し込める権利が与えられるので平等ではありません。
慶應義塾大学商学部会計ゼミにて会計を学んだ後、東京海上日動火災保険株式会社に就職。企業が事業活動を行ううえでの自然災害や訴訟に対するリスク分析・保険提案を3年間行う。
1級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を活かし、取引先従業員に対するNISAやふるさと納税に関するセミナーの実施経験有。現在は、フリーランスとして保険や投資、税金などのお金に関する記事の執筆や個別相談・ライフプランニングの作成・実行支援を行っている。
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独立系ファイナンシャルプランナーとして執筆業を中心に活動中。金融記事を中心に300記事以上の執筆・編集・監修を担当。税金・社会保険・資産運用・生命保険・不動産・相続分野を得意とし、自身の経験に基づいたライティングを強みとしている。難しい金融知識を初心者にわかりやすく伝えることが得意。
AFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、を保有。その他の執筆記事・プロフィール一覧へ
関西学院大学で会計修士(専門職)を取得後、2016年から2019年までNTT西日本グループの財務部門で決算や内部統制、DXに従事。マレーシアでの留学経験を経て、2022年10月FP事務所ライフホーカーを開業し、現在に至る。NISAや確定拠出年金(企業型・個人型)を活用した資産形成を中心にコンサルティング、記事執筆、講演等を展開中。
保有資格に、1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)、AFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、ジェネラルCFO(日本CFO協会認定)など多数。その他の執筆記事・プロフィール一覧へ
SBI証券はSBIホールディングス傘下の主要なネット証券会社です。顧客預かり資産残高が20兆円を超え、ネット証券ではトップの額となるなど、日本国内トップクラスのネット証券会社です。
国内株式は業界内大手最安水準、投資信託取扱数2705本、外国株式は9か国に投資可能であり、その他にも、債券、FX、先物、CFD、金銀プラチナ、NISA口座、iDeCoなどなど、様々なサービスを展開する総合証券会社です。
つみたてNISAではクレジットカード決済の積立投資でポイントを得ることができます。iDeCoのセレクトプランは国内最安値水準のインデックスファンドに投資が可能です。
米国株式は最低取引手数料0円~と業界内最安水準です。また、住信SBIネット銀行では外貨購入の為替手数料が6銭、外貨積立では3銭の低コストであり、さらにSBI証券との外貨入出金が0円で可能です。米国株の取扱銘柄も多く、米国投資をする上では有力な候補となりうる証券会社です。
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