証券会社のロボアドバイザーサービスには「投資一任型」と「助言型」があります。
|
投資一任型
|
助言型
|
メリット
|
賢いAIが投資までやってくれる
|
アドバイスをもらえる
|
デメリット
|
助言型よりも手数料が高い
|
最後は自分で決めないといけない
|
おすすめの人
|
・すべての投資をAIにお任せしたい人
・忙しくて自分で投資する時間がない人
|
・最終的には自分で意思決定をしたい人
・投資したいけど自分一人だと不安な人
|
大手ネット証券会社で投資一任型のロボアドバイザーサービスがあるのは、SBI証券・楽天証券・マネックス証券の3社のみです。
ロボアドバイザーがある証券会社の選び方
自分はどちらのロボアドに興味があるのかを確認した上で、以下の3つの観点に注目して選びましょう。
・運用手数料が安いか
・いくらから始められるか
・投資一任型なら運用実績も見よう
運用手数料は安いか
ロボアドバイザーサービスを利用するには、運用手数料がかかります。例えば、運用手数料が1%のロボアドに100万円を1年間運用してもらう場合は、単純計算で1万円(税抜)の費用が発生するので無視できない金額でしょう。助言型よりも投資一任型のロボアドバイザーの方が運用手数料は低いことが一般的です。
|
SBI証券
|
楽天証券
|
auカブコム証券
|
岡三オンライン証券
|
松井証券
|
マネックス証券
|
投資一任型
|
年率0.66%(税込)
|
固定報酬型:最大年率0.715%(税込)
成功報酬併用型:最大年率0.605%+運用益の5.5%(税込)
|
-
|
-
|
-
|
年間1.0075%程度(税込・ファンド信託報酬含む)
|
助言型
|
無料
|
無料
|
毎月1,100円+運用益の11%(税込)
|
無料
|
無料
|
年率0.33%(税込)
|
いくらから始められるか
気軽にロボアドバイザーサービスを利用したい方は、最低投資額が低い証券会社を検討してみてください。
ロボアドバイザーサービスにより、最低投資額は異なります。1000円から利用可能な証券会社もある一方で、楽天証券の投資一任型ロボアドバイザー「楽ラップ」は、実は10万円からしか利用できません。手軽に始めたい人にとっては重要な観点となります。
|
SBI証券
|
楽天証券
|
auカブコム証券
|
岡三オンライン証券
|
松井証券
|
マネックス証券
|
投資一任型
|
1万円
|
1万円
|
-
|
-
|
-
|
1,000円(積立額は月1,000円から)
|
助言型
|
100円(積立投資)
|
100円(積立投資)
|
指定なし
|
100円(積立投資)
|
100円(積立投資)
|
5万円(積立額は月1万円から)
|
投資一任型なら運用実績も見よう
ロボアドバイザーはAIが自動で投資を行いますが、その運用実績は証券会社により差があります。将来も、過去の運用実績通りになる訳ではないですが、着実に資産を増やしたい方は注目すべき点でしょう。何に投資しているかも重要なポイントです。多くの証券会社が、株式や債券への投資対象の比率が異なるいくつかの運用コースを用意しています。
|
SBI証券
|
楽天証券
|
auカブコム証券
|
岡三オンライン証券
|
松井証券
|
マネックス証券
|
運用実績
|
-3.43%(2022年4月7日〜12月30日)
|
15.55%〜67.18%(2016年7月4日〜2022年12月31日)
|
-
|
-
|
-
|
|
超初心者でも投資を始められる
多くのロボアドバイザーでは主に投資信託や海外ETFへの投資を実行・提案します。こうした金融商品の投資先を自分で選ぶことはできるでしょうか?例えば楽天証券では、投資信託が2,631、海外ETFが390銘柄(2023年1月27日現在)用意されています。これだけの中から購入する銘柄を選択するのは、選び方のわからない初心者にはハードルが高いでしょう。
投資一任型なら、投資のことを何も知らなくても問題ありません。目的に合わせた銘柄を自動で組み合わせて、自動で取引してくれます。金融市場の状況に合わせた比率の見直しやリバランスも自動で行います。
助言型の場合は、投資を通じて知識を得ることもできるでしょう。目的に合わせた提案を行ってくれるので、安定性を重視するときはどのように銘柄を組み合わせるのか、収益を大きくしたいときはどのように変更するのかなど、ロボアドバイザーからの提案を通じて学習できます。
ロボアドバイザーを活用することで、手軽に効率よく投資を始めましょう。
人間の弱点をカバーしてくれる
ロボアドバイザーに任せることで、自分の主観や感情が入らないようにできるメリットがあります。
金融商品は価格が上がることもあれば下がることもあります。そのような中で、計画したとおりに機械的に取引をするのは難しいものです。
・「この価格まで下がったら損切りしよう」と計画していたのに、いざその価格まで下がると「また上がるかも」と期待してしまい損切りできない
・毎月積み立てようと思っていたけど、価格が下がっていくのを見て買うのをやめた
このような経験をしたことがあるかもしれません。
ロボアドバイザーであれば、こうした感情に左右されることはありません。AIが投資ルールに従って運用を進めます。
注意点としては、運用状況に一喜一憂しないことです。ロボアドバイザーであっても損をすることはあります。その状況を見て運用を中止してしまっては、自分で運用しているのと大差がありません。自分のスタイルに合ったロボアドバイザーを選んだら、長い目で見て運用を任せてみましょう。
短期投資には不向き
多くのロボアドバイザー(特に投資一任型)は、長期的な観点から投資を行っています。ロボアドバイザーが投資を行う投資信託や海外ETFは、複数の株式や債券を組み合わせたものです。そのため1ヵ月で1.5倍や2倍に増えるといったことは現実的にはありえません。
レバレッジ型の投資信託など、短期投資に向いた商品も存在しますが、ロボアドバイザーは通常、そうした商品は運用しません。複利効果を生かすことで徐々に資産を増やしていくよう設計されています。このため、積立投資と組み合わせるのも良いでしょう。
短期投資に活用できるロボアドバイザーには、auカブコム証券の「信用ロボアド」があります。信用取引に対する助言を行ってくれるため、短期的に大きな利益を狙うことも可能です。ただし助言型であり、信用取引でもあるため、投資の初心者にはおすすめしません。
手数料が高い場合が多い
助言型のロボアドバイザーは無料で使えるサービスも多いですが、投資一任型のサービスは高い手数料がかかります。ロボアドバイザーの利用料とファンド信託報酬など、すべて合わせると年率1%ほどのコストがかかってきます。一方で、長期投資によく使われるインデックスファンドの場合、手数料(信託報酬)を年率0.2%以内に抑えることも可能です。
下の表は、100万円を元手に年率3%の利益で運用し、手数料が年率1%と0.2%の場合のシミュレーションです。ここでは簡易的に、翌年の開始時に手数料を減じることとします。
手数料 |
1%
|
0.2%
|
資産額
|
1年目
|
開始時
|
¥1,000,000
|
¥1,000,000
|
終了時
|
¥1,030,000
|
¥1,030,000
|
2年目
|
開始時
|
¥1,019,700
|
¥1,027,940
|
終了時
|
¥1,050,291
|
¥1,058,778
|
3年目
|
開始時
|
¥1,039,788
|
¥1,056,660
|
終了時
|
¥1,070,981
|
¥1,088,360
|
4年目
|
開始時
|
¥1,060,271
|
¥1,086,183
|
終了時
|
¥1,092,080
|
¥1,118,769
|
5年目
|
開始時
|
¥1,081,159
|
¥1,116,531
|
終了時
|
¥1,113,594
|
¥1,150,027
|
5年の運用で4万円近くの差となりました。運用が長期になればなるほど、この差は開きます。もちろん、ロボアドバイザーがインデックスファンドを上回る運用をしてくれれば利益が大きくなることはあります。しかしながら、将来の運用結果は未知なものに対して、高額な手数料はすでに決まっているものです。それだけ不利な条件であることは頭に入れておきましょう。
楽天証券のロボアドバイザー「らくらく投資」
楽天証券の「らくらく投資」は、無料で利用できる助言型のロボアドバイザーです。9つの質問に答えることで、5つの中から最適な投資コースを提案してくれます。それぞれのコースには専用のファンドが用意されており、そのファンドを購入する、という流れです。購入するファンドはNISA口座・つみたてNISA口座どちらにも対応しています。
ファンドは複数の金融商品を組み合わせたもので、状況に応じて自動で配分比率を調整してくれます。助言型ではありますが、始めた後はお任せにできるため、投資一任型に近い手軽さがあります。
購入するファンドはNISA口座・つみたてNISA口座どちらにも対応しています。
こちらのサービスはスマートフォン専用となっているため、注意してください。
松井証券のロボアドバイザー「投信工房」
松井証券の「投信工房」は、無料で利用できる助言型のロボアドバイザーです。8つの質問に答えることで、最適なポートフォリオを提案してくれます。このときに設定したポートフォリオをモデルポートフォリオとして、運用中には自動でリバランスを行ってくれます。
楽天証券の「らくらく投資」は、市場環境に応じて資産の配分比率を自動で調整するのに対して、松井証券の「投信工房」ではモデルポートフォリオを基準としたリバランスを行うだけというのが大きな違いです。
提案されるファンドはNISA口座・つみたてNISA口座どちらにも対応しています。
投資信託とロボアドはどっちがおすすめ?
投資の知識がある方には、投資信託がおすすめです。ロボアドバイザーの主な投資先は投資信託やETFです。自分で同じようなポートフォリオを組みメンテナンスを行えれば、手数料の分有利になります。その際に、無料の助言型ロボアドバイザーはツールとして活用できるでしょう。
一方、投資のことが全くわからない、何から始めていいかわからないという方には、投資一任型のロボアドバイザーをおすすめします。長期投資は少しでも早く始めて時間をかけることが重要です。投資のことがわからず始められないなら、全てお任せのロボアドバイザーで始めてみることをおすすめします。
慶應義塾大学商学部会計ゼミにて会計を学んだ後、東京海上日動火災保険株式会社に就職。企業が事業活動を行ううえでの自然災害や訴訟に対するリスク分析・保険提案を3年間行う。
1級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を活かし、取引先従業員に対するNISAやふるさと納税に関するセミナーの実施経験有。現在は、フリーランスとして保険や投資、税金などのお金に関する記事の執筆や個別相談・ライフプランニングの作成・実行支援を行っている。
その他の執筆記事・プロフィール一覧へ
SBI証券はSBIホールディングス傘下の主要なネット証券会社です。顧客預かり資産残高が20兆円を超え、ネット証券ではトップの額となるなど、日本国内トップクラスのネット証券会社です。
国内株式は業界内大手最安水準、投資信託取扱数2705本、外国株式は9か国に投資可能であり、その他にも、債券、FX、先物、CFD、金銀プラチナ、NISA口座、iDeCoなどなど、様々なサービスを展開する総合証券会社です。
つみたてNISAではクレジットカード決済の積立投資でポイントを得ることができます。iDeCoのセレクトプランは国内最安値水準のインデックスファンドに投資が可能です。
米国株式は最低取引手数料0円~と業界内最安水準です。また、住信SBIネット銀行では外貨購入の為替手数料が6銭、外貨積立では3銭の低コストであり、さらにSBI証券との外貨入出金が0円で可能です。米国株の取扱銘柄も多く、米国投資をする上では有力な候補となりうる証券会社です。
総合的にサービスの水準が高く、これから投資を始める人はまず最初に口座開設を検討したい証券会社の一つです。