人材の過不足感が「不足している」と答えた企業が75.7%と過去最多となり、選考基準を「前年より甘くした」企業が大きく増加していることが分かった。
「マイナビ転職2015年中途採用状況調査」によるもので、調査対象は1年間に中途採用活動実績のある全国の企業652社。
中途採用の理由の変化
2012年時点では「不足している」と答えた企業は69.4%だったが、人材不足は年々進み、2015年は過去最多の75.7%という結果となった。余剰感を感じていると答えた企業は、ほんの数%に満たない結果となった。
これまでの中途採用は、人材流出による穴埋め採用として行われることが多かった。しかしながら、ここ最近の中途採用の理由の変化がうかがえる。
中途採用の理由(複数回答可)で最も多かったのが、「経済状態の好転・既存事業の拡大」で43.1%。続いて「組織の存続と強化(活性化)」の42.0%、「年齢など人員構成の適正化」の31.4%だった。以下、「将来の幹部候補・コア人材の確保」は25.0%、「新規事業への進出」は16.3%、「技術革新への対応・研究開発体制の充実」は4.8%という結果だった。
調査開始の2012年15年にかけて、「退職者の増加」は32.7%から28.5%と減少。一方、「労働時間短縮への対応」は12年の5.6%から15年の11.2%、「年齢など人員構成の適正化」にいたっては12年の18.0%から15年の31.4%と大幅に増えている。中途採用の理由が労働環境の改善・整備構築へ変わっていることが分かる。
経験者採用の選考基準を見ると、人材を確保するために基準を緩和している企業が増えている。内訳をみると、前年より厳しくした企業」は12年の15.6%から15年の8.3%に減少。「前年並み」と答えた企業は、12年が70.9%、15年が68.4%とほぼ横ばい。「前年より甘くした」と答えた企業は、12年の13.6%から15年の23.3%と大きく増加している。これは企業が人材確保の必要に迫られているということだろう。
女性活躍推進の施策「何もしていない」が41.6%
女性の採用・活躍促進について実施している施策は、「時短・時差勤務」が27.5%、「女性採用比率の拡大」が18.9%などだった。
「男性の育児休暇取得を奨励する制度」はわずか5.1%、「在宅勤務」が3.1%、「保育施設の確保・設置」が2.8%。珍しいところでは「家事代行支援・補助」を行っている企業が0.8%あった。
しかし最も多かったのは、「特に何も実施していない」で何と41.6%という結果だった。マイナビでは、この結果について、「今回の調査対象企業のうちの約8割が従業員数300人未満であることが影響している」と分析しているが、それにしてもひどい結果といえそうだ。
企業は選考基準を甘くしてでも、人材確保に急いでいる。量も質も追いついていない中途採用。企業の人材難はまだ続くのだろうか。(ZUU online 編集部)
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