コンピューターがハッキングされることは広く知られているが、実は自動車もハッキングされる危険性がある。あらゆる機能がコンピューターによって制御されており、ある意味で「走るコンピューター」だからだ。そうしたハッキングによる自動車の「乗っ取り」を防止するセキュリティー・システムが開発された。開発したのは世界的に名高いセキュリティー・ソフト会社、チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーの子会社、カランバ(Karamba)。

ハッキングなどによって異常が検知されると自動的に電子制御ユニット(ECU)を制御し、CAN-BUS(車内LAN)の環境を正常に保つことで、ドライバーの安全を強力に保護する。

「2020年までには販売乗用車数の73%(約2億5000万台)が車載ネットワークへのアクセス機能を搭載するようになる」と予想されていることから、今後自動車のサイバー・セキュリティー対策への需要が本格的な伸びを見せるだろう。

2020年には7割以上の車がハッキングの対象に

カランバの新ソフト開発に向け250万ドル(約2億7038万円)を投じたのは米大手、YLベンチャーズとグレンロック。「乗っ取り」がいかに簡単に実行可能か立証されているにも関わらず、大手自動車メーカーは決定的な防止策を打ち出すに至っていないという現状を打破する狙いだ。

AppleやGoogleによる自動運転カーの開発が進む中、昨年から今年にかけてFBIや米ソフトウェア会社、シマンテックが「リモート・エクスプロイト(リモート端末に不正にアクセスするコード)」に関する警告を発するレポートを発表するなど、自動車のセキュリティー強化を呼びかける声が高まっている。

外部データへのアクセス機能は自動運転カーに限らず、電動パワー・ステアリイグや変速機などの連動、リモコンキーとウィンカーによる連動といった今や常識となりつつある操作から、サテナビに代表されるGPS製品などにも搭載されている。そのため標準的な車でも十分にハッキングの対象となる可能性があるのだ。FBIの報告ではこうした車載ネットワーク搭載車の販売数が昨年既に2割に達しており、今後4年間で7割を超えるといわれている。

現時点でカランバのセキュリティー・ソフトに関心を示している主要関連メーカーとして、米ハーマン・インターナショナル・インダストリーズ、ボーズ(Bose)、フランスのアルピーヌなどの名が挙がっている。

カランバの共同設立者、デビッド・バージライ氏は「自動車のセキュリティーについての懸念が持ち上がったのは比較的最近ではあるが、緊急を要する問題でもある」と、自動車メーカーは勿論、消費者意識の向上を求めている。(ZUU online 編集部)

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