Googleとバイドゥ
(写真=Thinkstock/Getty Images)

次世代自動車の中核は「自動運転」

次世代自動車技術の開発として、電気自動車(EV)と並んで、自動運転技術が注目を集めている。ガソリンから、リチウムイオン電池や水素へと向かうエネルギー源の転換だけではなく、先行車両や道路の周辺環境を検知して、円滑な走行を支援する技術も、実用化・商品化が進んでいる。その究極的なカタチになるとみられるのが、完全な自律走行自動車で、開発競争も熾烈化してきているのだ。

特に、日本では、政府と民間企業が協力しながら、運転手なしで走行できる自動運転車を開発すべく取り組みが進んでいる。もちろん、海外でも自動運転技術の開発は進んでおり、実証実験などの実用化に向けた動きが大きく進展。例えば、4月7日にはスウェーデンのボルボが、100台規模の自動運転車の公道走行試験を実施すると発表するなど、各社の自動運転に関するニュースが活発で、開発競争がアツくなっているのだ。

GoogleやAppleが先行する自動運転車の開発競争

ただし、実は自動運転車の開発競争を牽引しているのは、自動車メーカーではない。Google を始めとした、大手IT企業なのだ。Googleは特に2009年から開発に取り組んでおり、すでにかなりの長距離の走行試験を繰り返しているという。そのため、開発競争でも一歩先行していると見られる。

さらに、Apple は「Titan(タイタン)」という名の下で、自動運転車の開発プロジェクトを進めており、2019年に車のデザインを完成させ、2020年には一般発売する見通しで、自動車メーカー各社の先を、開発競争で走っているとみられている。

両社が優位に自動運転車の開発を進められる理由ももちろん、ある。端的には、自動運転車の場合、AI(人工知能)や交通関連インフラとのITによって連携するための知見が自動車そのものの性能開発や製造能力よりも、重要になる。そのため、車載ソフトウェアの開発やITによる制御技術で、一日の長のあるIT勢が主導的な役割を果たしつつあるのだ。

実際、GoogleとAppleはすでに、自動運転車に不可欠な車載OS(基本ソフト)の開発を進めており、それぞれ「Android Auto」、「CarPlay」として展開を進めているのだ。どの企業が車載OSの覇権を獲れるかで、自動運転車市場での力関係も決まってしまうとみられることから、IT企業も、自動車メーカーも、神経質にもなっている様子だ。

それだけではない。自動運転は社会の仕組みそのものを変える可能性があり、ビジネスチャンスを見出している企業も多い。ベンチャー企業であるZMPもそのひとつだ。乗務員なしで人を目的地に送り届ける無人全自動の「ロボットタクシー」の開発をディー・エヌ・エー(DeNA)と取り組んでおり、地方のタクシー会社や公共交通機関のあり方を変え得る事業として注目されている。

今年に入り、ZMPらは実際に公道での実証実験も行っていることから、完全自動走行技術では、国内企業の中で一番先行していると言えるかもしれない。GoogleやApple、トヨタなど大手自動車メーカーに加えて、ZMPなどのベンチャー企業も加わり、自動運転車の開発競争はますます激化していると言えそうだ。

百度など中国勢が自動運転車開発でも猛追

先進的な技術で、日本や欧米が先行しているとみられる自動運転車だが、新興国の動きも無視できない。というのも、もはや、自動運転車の市場に打って出ているのは、先進国だけではなく、技術開発競争でも、中国も必死に追いすがっているからだ。

中国勢による自動運転車開発の象徴ともいえるのが、中国のネット検索会社大手である百度(バイドゥ)だ。同社は、将来的に汎用AIの実現を支えるともみられる「ディープラーニング」を、Googleと同様に、応用して、自動運転車の開発を進めているのだ。2014年ごろから開発をスタートさせたにもかかわらず、百度は昨年末に、BMWと共同開発した自動運転車の公道走行試験を北京市内で行い、成功させるまでに至った。

ほかにも、百度による自動運転車の開発では、Uターンや車線変更、高速道路での合流など複雑な運転のテストや、時速100kmの自動運転のテストも行っているという。3年以内には中国初の自動運転車を投入する計画だという。

米国を中心に技術開発を猛烈に進めるGoogleと比較しても、「中国のGoogle」とも言われる百度は地図サービスの技術も備えており、自動運転技術でもGoogleを猛追している様相だ。

さらに、一部では技術はGoogleが先行しているが、実用車の開発では百度が有利という声も聞かれる。法規制が厳しいアメリカでは公道試験の実施のハードルが高く、逆に中国では自動運転の技術開発を強力サポートしたい中国当局の思惑もあり、公道試験や法改正などがスムーズに行われるのではないかという見方からだ。

また、Googleが先日行った公道試験でバスと接触する事故をおこしたことも波紋をよんでおり、百度には追い風の現状なのかもしれない。

いずれにせよ、米中のIT企業が開発市場を牽引している現状であり、技術力に定評のある日本も油断できない。ともすれば、自動運転車の市場導入を機に自動車市場が再編され、世界でも屈指の企業であるはずの国内自動車メーカー各社が、自動運転として新ビジネスに懸けているIT企業の下請けになってしまうという悪夢のようなシナリオもあながち無視できない。

特に今年は各企業から、車両発表や実証試験など実用化に向け大きな動きがある1年になりそうで、その動向に注目したい。(ZUU online 編集部)

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