国際健康基準の向上に働きかけることを目標とする世界保健機関(WHO)から、191カ国の保健医療制度パフォーマンスを評価したレポートが発表された。

保健医療システムの効率性や公平性などが様々な角度から測定された結果、8位のオーマンを除いては首位のフランスを筆頭に先進国がトップ20を独占。アジアからはシンガポール(6位)と日本(10位)が上位にランクインしたが、韓国(58位)、インド(112位)、中国(114位)など軒並み評価が低く、理想的な保健システムが確立された環境とは程遠いようだ。

評価は5つの指針(国民の健康、保健医療システムの不平等性、責任レベル、保健医療サービスの提供、公平な資金供給)に基づいて、各国の達成度を点数で表したものだ。システムの重要構成要素となる「人材育成」という観点から、「保健、医学教育へのアクセス度」も評価基準になっている。

日本の医療保健システムは好バランス 小さな国の方が制度が充実?

上位国は政府が保健医療や教育セクターへに十分な予算を配分し、サービス、技術、育成といったシステムの強化に役立てている点が特徴だ。

また税金を財源とする国営医療型の英国(18位)やカナダ(30位)、民間機関による市場医療型の米国(37位)などよりも、フランス(1位)や日本(10位)のように国民に課した社会保険を財源とする社会医療型を採用している国の方が、効率的に機能しているようだ。

日本は公的機関と民間機関の両方から高水準な医療保健サービスを提供しているという点で、非常にバランスのとれたシステムが整っているといえるだろう。

興味深いのはイタリア半島中東部にある世界で5番目に小さな国、サンマリノや、同じくイタリアのシチリア島南部のマルタ共和国、スペインとフランスの国境に位置する小国家、アンドラ公国など、首位のフランス以下上位4カ国がマイクロ国家である点だ。小規模であるがゆえに、システムの充実が図りやすいといったところだろうか。

発展途上国で唯一トップ10にランク入りしたオマーンは、絶対君主制を維持する一方で国民を最優先事項に置いた政策をとっていることで有名だ。政権基盤も安定しており、医療保健システムに投資する余裕があることを示している。

保健医療制度が効率的な20カ国

20位 スイス(指数 0.916)
19位 アイルランド(0.924)
18位 英国(0.925)
17位 オランダ(0.928)
16位 ルクセンブルグ(0.928)
15位 アイスランド(0.932)
14位 ギリシャ(0.933)
13位 モナコ(0.943)
12位 ポルトガル(0.945)
11位 ノルウェー(0.955)

10位 日本(0.957)
9位 オーストリア(0.959)
8位 オマーン(0.961)
7位 スペイン(0.972)
6位 シンガポール(0.973)
5位 マルタ(0.978)
4位 アンドーラ(0.982)
3位 サン・マリノ共和国(0.988)
2位 イタリア(0.991)
1位 フランス(0.994)
(ZUU online 編集部)

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