(写真=PIXTA)
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日経平均株価は2016年に入り大きく下落した。1月4日の大発会の始値は1万8951円であり、2月12日の安値1万4865円まで、4086円(約22パーセント)の下落を見せた。2月下旬にかけて、為替市場において円高が急激に進行したことが一因だ。

この下落は、2015年6月から始まった。2015年6月24日に日経平均株価は2万952円という高値をつけて、その後2月12日まで下げ続けた。国内株式投資家の資産は、2015年6月の高値をピークとして、約8カ月減り続けたことになる。

日本の主要企業の多くは、輸出型の利益構造を有している。円高が進行することで、利益予想が下方修正されることを嫌気して売り圧力が働き、株価が下落するのである。円高の進行は、株式投資家にとって頭痛の種であり、連休中に105円台まで進行した円高で、今後さらに多くの株式投資家が苦しむことになるだろう。

下落期間は”積極的に休む”戦略を

円高が株価の下落要因だとして、株式投資家が為替市場を円安に動かすことなどできない。株式投資家は、円高という現実の中で、どう投資を組み立てていけばよいのか?

ここで、株式投資を行う上で、非常に有益な道具である株価チャートを見ていただきたい。より大局的に株価の流れを見極めるために、日経平均株価の月足を確認してみよう。前述のように、2015年6月高値から、2016年2月安値まで、約8カ月におよぶ下落を確認することができる。

この日経平均株価の過去の値動きの中で、他に長く大きく下落を見せた期間を確認してほしい。近いところでは、2013年12月高値から、2014年4月安値まで、約4カ月の下落を確認することができる。その前には、2010年4月高値から、2011年11月安値まで、約19カ月におよぶ下落を確認することができる。

このように、株価の変動の中には、一定期間の下落というものが必ず存在する。この期間は、国内株式市場の多くの銘柄が下落する傾向にあるので、株を買って利益を上げようとすることが自ずと困難になる。このような期間では、無理に買いの検討を行うのではなく、「買いを休む」という行動を取る。相場の格言にある「休むも相場」とは、このような積極的な休みを指す。もし高値までの上昇局面で、資金の大半を使って買い保有を行った場合には、買いを減らしていくことも1つの手段である。

「買いを休む」、あるいは「買い保有を減らす」という行動は、投資手法ではないと思う人もいるだろう。しかし消極的なように思えるこの行動は、株価の下落局面においては、積極的な行動だ。株式投資には、「買いに適した時間」と「買いに適さない時間」がある。しかし、個人投資家は、いつも「株を買おう」という面からしか見ていない。これでは下落局面で苦しむことになる。下落局面では、買いを減らす、つまり「売る」ことを考える必要がある。

より高度で積極的な投資手法を求めるならば、下落局面では信用取引を利用し、「空売り」を仕掛けることだ。しかし、買い保有の銘柄をうまく扱うことのできない投資家が、さらに難易度の高い空売りを行えば、余計に事態は混乱し、リスクの拡大を招いてしまう。この手法については、知識と技術を積んでからトライして欲しい。

利益を上げられない投資家の「チャートの使い方」

多くの投資家は、株価チャートを確認する時に、「いつまで下がるのか」という風に、株価の方向性を予想しようとする傾向がある。しかし、この予想は厳密な意味で不可能である。株価チャートを使う目的は予想ではなく、「株価が下落している」という事実の確認であり、その事実に対して、保有株式をどうするかという対処なのだ。利益を上げる投資家は、チャートで事実を確認し行動するが、利益を上げられない投資家はチャートを予想の道具として使い、いつまでも適切な対処ができずにいる。

いつまで株を持つのか、出口戦略を持っていますか?

株式投資を行う投資家は、株を買うときの障壁が低いように思う。「まだまだ株価が上がるんじゃないか」という思いがあれば、簡単に株を買ってしまうのだ。しかし、株を売るとなると悩んでしまう。いつ売ったらいいのか、いざその時になるとどう考えて行動すればよいのかが分からなくなり、結局売り時を逃がしてしまう例が多い。これが日本の株式個人投資家の根本的な問題である。明確な出口戦略を持っていないのだ。

2012年11月に始まった「アベノミクス」と呼ばれる株価上昇で、多くの株式投資家の資産が増えた。一部の投資家は、利益を生んだ株式を売却し、利益を得た。しかし、この利益確定は、単に利益が乗っているからという安易な理由によるものが多く、前述の出口戦略ではない。いわば偶然の利益である。偶然の利益に酔った投資家が、二匹目のドジョウを狙って株を保有すれば、この下落局面で苦しむことになる。その投資家に、明確な出口戦略が欠落しているからである。

一言に出口戦略といっても、個々の投資家の投資戦略に合わせて、無数に存在するので、画一的なものではない。今後、円高による株価下落で苦しむことがないように株を買う投資戦略と、それに合わせた出口戦略が準備できれば、円高による下落も一時的な資産の減少に留めることができるだろう。本章で解説した内容を参考に、自らの投資戦略をより具体的に決め、この局面を乗り越えて利益を目指して欲しい。

松下 誠(まつした まこと)
まこと投資スクール株式会社 代表取締役
2001年2月に株式投資と商品先物投資を開始。1年半で1,500万円の資金を失うも、諦めることなくトレードを学び、厳格な資金管理とトレードルールを作り上げた。直接指導した投資家は3万人以上に及ぶ。松下誠が運営する投資情報サイト「 インベスターズクリニック

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