証拠金取引というと一般にFX(為替)のイメージが強いが、FinTech(フィンテック)の盛り上がりとともに選択肢が増えている。ここでは新たに登場した「証拠金取引」の資産運用について紹介しよう。

レバレッジをかけると投資額以上の投資ができる

「証拠金取引」とは、担保として預け入れた金額である「証拠金」の範囲内で取引ができるという仕組みだ。取引は代金の全額ではなく、取引で生じた損益分だけを精算する「差金決済」という方法が使われている。

FXや証拠金というと、投資額の何倍もの金額を動かす「レバレッジ」があるから怖いと思っている人も少なくないだろう。100万円を証拠金として用意したとして、レバレッジを何倍にするかで動かす金額は変わってくる。1倍なら100万円、5倍なら500万円まで取引ができことになるのだ。

FXに新たな選択肢 ビットコインが主軸通貨に

FX取引では常に2つの通貨がペアになっており、この2つの通貨が主軸通貨と決済通貨になる。主軸通貨と決済通貨を交換することで取引をするのだ。米ドルやユーロなど、国際為替市場で他国の通貨と交換がしやすい通貨が決済通貨と呼ばれ、例えば日本円と米ドルなどの組み合わせが基本となる。

FX取引の通貨の選択肢に新たに登場したのがビットコインだ。通常、信用取引には主軸通貨ではなく、決済通貨を証拠金に見立てているのだが、ビットコインを基軸通貨としながらも証拠金とするケースもできる。主軸通貨のビットコインを証拠金にした場合にも、評価額は米ドル建てになる。現在価格のレートで評価額が一旦米ドルに換算されるのだ。

ここで注意しないといけないのは特にレバレッジをかけなくても、損益がちょうど2倍のレバレッジをかけたのと同じようになることだ。ビットコインの価格が上がれば、現物ビットコインの価値が上がるのと同時に、保有ポジションと呼ばれるまだ決済していない約定の利益が膨らむ。逆にビットコインの価格が下がれば、現物ビットコインの価値が下がると同時に保有ポジションの約定前の損失も膨らんでしまう、いうわけだ。

たとえばbitFlyer(加納裕三社長)が提供しているサービス「bitFlyer FX」ならレバレッジ5倍、ビットバンク(廣末紀之社長)の「ビットバンクトレード」はレバレッジ20倍での取引が可能だ。

為替リスクなし? 世界のETFに投資できる新サービス

このほかに最近、「ETF」の証拠金取引も誕生した。2016年4月にインヴァスト証券 <8709> がリリースした「トライオートETF」だ。同社によると、世界初のETF特化型証拠金取引という。

ETFは株と同じように取引できる低コスト、投資できる種類の多さ、売買自由度の高さなどのメリットがあり、ETF先進国の米国では年金基金やファイナンシャルアドバイザーなどから注目を集めている。同社によると、ETFの世界での市場規模はこの10年間で7倍に拡大しており、純資産残高も約300兆円に上っているにもかかわらず、日本の投資家層の認知率は僅か6%程度と、きわめて低水準だそうだ。

「トライオートETF」を利用することで、海外のETFも一緒の口座で管理できる上、差金決済の仕組みによって元本の為替リスクをなくすことができるのが嬉しい。1万円から投資できる。当初はレバレッジなしだが、同社所定の基準を満たすと5倍までかけられるという。

ビットコインの導入は一番わかりやすい例だが、日本では馴染みの薄いETFがこの分野に入ってくることも投資家の選択肢が広がる良い傾向だ。今後こうしたトレンドは、さらに加速していくだけに、投資情報にはこれまで以上に敏感でありたいところだ。(ZUU online 編集部)

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