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(写真=Thinkstock/Getty Images)

米世帯のクレジットカード平均負債額は3600ドル(約37万円)といわれているが、60%以上の世帯がクレジットカードを所有していない、あるいは繰りあげをしない(つまり負債がない)事実を考慮すると、実際の負債額は平均値の4倍、1万6048ドル(約167万円)となる。

金利などが課されると返済完了に14年間を要する計算になるが、低所得層ほど負債が所得を占める割合が高いというデータがでており、「返済しても返済しても負債が減るどころか増えていく」といった悪循環におちいっている。

カード負債が過去3年で1割増 金利のみを支払っている世帯も多い

米国のクレジットカード負債は過去3年間で10%増と、年々深刻度が増している。賃金と生活コストのアンバランスさ、浪費傾向の強まり、教育ローンなどの返済といった事情が、負債地獄の要因として挙げられているが、高金利の存在も全体的な負債額の引きあげに貢献していることはいうまでもない。

一般的なクレジットカードの金利を16.1%と設定して1万6048ドル(約167万円)を返済した場合、金利だけで2600ドル(約27万円)支払うことになる。最低返済額(1.5%)だけを支払い続けると14年間を要する。

ここで見過ごされがちなのは、負債と所得の差だ。3万ドル(約313万円)のカード負債があっても年間所得が30万ドル(約3131万円)あれば、あまり経済的な負担にはならない。しかし負債額がその10分の1(3000ドル/約31万円)しかなくても所得が1万ドル(約104万円)であれば、負債の占める割合は3割にまで増え、経済的な圧迫も強くなる。

米消費者金融情報サイト、バリュー・ペンギンのデータによると最低所得層(1000ドルから4999ドル/約10万円から52万円円)の平均負債額は3946ドル(約41万円)。所得の4倍から8割をクレジットカードで借りいれていることになる。対する高所得層(50万ドル/約5213万円以上)の負債額は8139ドル(約85万円)で、所得の50分の1以下だ。最も懸念されるのは無収入層で、文字通り決まった収入源がないにも関わらず、平均1万307ドル(約107万円)を借りている。

「ないから借りる、借りるからない、借りてないからまた借りる」という、負のサイクルだ。こうした傾向が年々悪化していることもあり、一定の期間金利がゼロになるカード乗り換えなどを提供する銀行やカード会社が欧米では増えている。また「返済が滞って破産されるよりはまし」と、返済額の交渉にも柔軟な姿勢を示しているという。

しかし問題が根本から解決されるには、消費者側の経済観念が不可欠であることはいうまでもない。クレジットカードを始めとする融資商品は、賢く利用してこそ利用価値があるのだから。(ZUU online 編集部)

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