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(写真=Thinkstock/Getty Images)

独り暮らしで年金生活の母が訪問販売を受け、呉服などを1000万円以上を買わされていた。複数の信販会社から請求を受け、貯金も底を尽きている。母は判断力が低下しており、買った着物もほとんどが未開封であった。

判断力が低下した高齢者の姉妹が複数の業者から総額約5000万円のリフォーム工事を訪問販売で売りつけられた。最終的に信販会社が被害者の自宅を競売にかけた――。

こうしたトラブルが続出している中、「割賦販売法の一部を改正する法律案」が閣議決定され、臨時国会に提出された。

近年、クレジットカード番号等の漏えい事件や不正使用被害が増えるとともに、消費者トラブルも深刻化している現状を踏まえ、安全・安心なクレジットカードの利用環境の整備に向けて、所要の措置を講じるものとされているようだ。

高齢者保護も主目的の一つ

消費者トラブルが増えている現状を踏まえ、また革新的な金融サービス事業を行うFinTech(フィンテック、FinanceとTechnologyを合わせた言葉)企業の決済代行業への参入を見据えつつ、安全・安心なクレジットカード利用環境を実現するための必要な措置を講じる必要性が出てきた。

今回の改正は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、インバウンド需要を取り込むことにも資するものとされている。

主目的は、オリンピックに向けて今後のFinTech時代に向けての措置であるが、同時に高齢社会対策、高齢者を守るものでもある。

改正によりどうかわるかというと、まず販売業者に対しては、クレジットカード情報の適切な管理が求められる。具体的には、クレジットカード番号などの適切な管理及び不正使用の防止(決済端末のIC対応化など)を義務付けられた。

次に販売業者に対する管理強化も含まれる。クレジットカード番号などの取扱いを認める契約を締結する事業者に登録制度を創設。その契約を締結した販売業者に対する調査及び調査結果に基づいた必要な措置を行うこと等を義務付けられた。

FinTech企業のさらなる参入も見据えている。十分な体制を有するFinTech企業も事業者登録を受け、法的位置付けを獲得することを可能とした。カード利用時の販売業者の書面交付義務について、電磁的方法による情報提供も可能としている。

消費者にとってどう便利になるのか

消費者にとっては何が変わるのだろうか。どう便利になるのだろうか。

期待できるのは、規制の抜け穴が解消され、被害が抑えられそうという点だ。原則すべての商品・役務を扱う取引(訪問販売、電話勧誘販売、通信販売)が規制対象になった。しかし、クーリング・オフになじまない商品・役務(例として生鮮食料品、葬儀)などは、該当規制から除外された。また割賦の定義を見直しがあり、現行は3回払い以上であったが、2カ月以上後の1回払い、2回払いも規制対象となった。

訪問販売業者に当該契約を締結しない旨の意思を示した消費者に対しては、契約の勧誘をすることが禁止されている。訪問販売によって、“通常必要とされる量を著しく超える”商品などを購入する契約を結んだ場合、契約後1年間は契約の解除などが可能となった。

個別クレジットを行う事業者を登録制の対象とし、行政による監督規定を導入される。訪問販売等を行う加盟店の行為について調査することを義務づけ、不適正な勧誘があれば、消費者へ与信することが禁止された。

訪問販売で結んだ売買契約が虚偽説明などで取り消される場合や、過量販売で解除される場合、個別クレジット契約も解約し、消費者が既に支払ったお金の返還も請求可能となった。

またクレジット業者に対し、指定信用情報機関を利用した支払能力調査を義務づけるとともに、支払能力を超える与信が禁止となった。

情報を不正入手した当事者も刑事罰の対象に

インターネット取引の規制も強化される。返品の可否・条件を広告に表示していない場合は8日間、送料消費者負担で返品及び契約の解除が可能となる。また消費者があらかじめ承諾しない限り、迷惑広告メールの送信を禁止することができる。

個人情報保護法でカバーされていないカード情報の漏えいや不正入手をした者を刑事罰の対象となる。違反事業者に対する罰則が強化される。

個人情報保護法で刑事罰の対象になるのは、漏えいや不正入手をした当事者本人ではない。個人情報取扱事業者や認定個人情報保護団体だ。だが今回の改正法では、当事者も刑事罰の対象となるのだ。

他には、クレジット取引の自主規制等を行う団体を認定する制度を導入、訪問販売協会(既存制度)による自主規制の強化が行われる。

FinTechでより便利になった反面、技術を使った犯罪が増える可能性は否めない。高齢者など弱者を狙った悪質な訪問販売なども規制する必要がある。今回の法改正は、消費者保護の観点からは朗報といえそうだ。

眞喜屋朱里(税理士、眞喜屋朱里税理士事務所代表) この筆者の記事一覧

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