米金融安定理事会(FSB)による「システム上最も重要な銀行番付(G-SIB)」の最新版が11月21日に発表され、シティグループがHSBCに代わり、JPモルガンとともにトップの座を獲得した。これにより求められる自己資本比率の上乗せ幅が、2.5%(0.5ポイント増)まで引きあげられることになる。

HSBCはバンク・オブ・アメリカ、BNPパリバ銀行、ドイツ銀行と並ぶ二番手に降格。上乗せ幅は2%に引きさげられた(0.5ポイント減)。

モルガン・スタンレー、ウェルズ・ファーゴも入れ替え

G-SIBは国際大手銀行30社の「世界経済におよぼす影響度」を測定したもので、順位があがればあがるほど、万が一破綻した場合のリスクが大きいということになる。

各銀行にはそのリスクを最小限に抑える目的で、目安となる自己資本比率が提示される。それと同時に、健全性の基準となる総損失吸収能力(TLAC)を満たすことも要求される。
口座不正開設問題で信用が一気に地に落ちたウェルズ・ファーゴの上乗せ幅は、1.5%(0.5ポイント増)に引きあげられ3番手。昨年と同順位のクレディ・スイス、ゴールドマン・サックス、バークレイズ、そして日本の三菱UFJファイナンシャルグループ、中国工商銀行と並んだ。

リーグ末端となる4番手にも大きな変動はなし。ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)、サンタンデール、ソシエテ・ジェネラル、スタンダード・チャータード、UBSなどの欧州大手のほか、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ、中国銀行、中国農業銀行、中国建設銀行といったアジアの大手も、上乗せ幅が1.0%とされている。モルガン・スタンレーが3番手から加わったのが、唯一の変動だろう。

国際的に高く評価されているG-SIBリスト30社だが、巨大化しすぎたゆえに収益の効率性が頭うちし、近年大型リストラを余儀なくされているという点が皮肉でもある。デジタル改革などに巨額を投じた「組織再編」が、今後狙いどおりのプラス効果をもたらすのだろうか。

現在イングランド中央銀行のマーク・カーニー総裁が統率するFSBは、2009年に発足。基盤となったのは1999年に設立された金融化安定フォーラムで、国際金融規制、監督といった役割をとおして世界経済の安定化を図っている。(ZUU online 編集部)

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