中国で国外への資金流出対策として様々な動きが活発化していることが、サウスチャイナ・モーニング・ポスト(南華早報)の報道から明らかになった。

加速する海外決済に圧力を加えることで自国通貨の急落に歯止めをかける戦略だが、今年6月新規制の導入とともに中国決済市場への参入準備を検討あるいは進めているVisaやMaster Cardといった海外企業にとっては、どうやら歓迎すべき雲行きではなさそうだ。

決済市場開放後も結局UnionPayの天下は続く?

仏ナティクシス銀行のデータによると、今年だけでも7280億ドル(約83兆8874億円)が中国から国外に流出。特に第3四半期には、人民元建て決済が大幅に増えている。中国側が大胆な策を投じたのも不思議ではないだろう。

中国当局は特に二重通貨決済が可能なクレジットカードの利用に敏感になっており、中国人民銀行(中央銀行)は先月、二重通貨決済カードの発行自体をとりやめるよう各銀行に要請した。これにより現在銀行経由で発行されているVisaおよびMaster Cardは、有効用期限後は完全にUnion Payの管轄に切り替わる。

こうした動きは海外企業への中国決済市場開放を促進するどころか、結果的にはUnion Payの市場独占を保証するものとなりかねない。国際カードブランドにとっては、進出後もUnion Payと同じ土俵で戦うことすらかなわないということになる。

強化の動きはこれだけではない。近日中に北京当局が、マカオのAMTからUnionPayのカードで引きだせる金額を半減させる具体案を実行に移すと報じられているほか、今年2月には香港の保険商品の購入限度額を一回の取引につき5000ドル(約58万円)に設定するなど、海外取引の制限が提案された。投資関連の保険商品に関しては10月以降、決済が禁止になっている。

また1月以降は本土以外での年間出金限度額が、10万人民元(約167万円)厳守と改定されていることなども、Union Payのウェブサイトで確認されている。(ZUU online 編集部)

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