NISA,トランプ相場,株式投資
(写真=PIXTA)

2016年も師走に入り、株式市場の営業日も残すところあとわずかとなった。本年は株式市場において様々なイベントが発生し、いつになく急な暴落が幾度となく発生する年だった。そのため資金を寝かせたままで、株の売り買いをあまりしなかった人も多いことだろう。

しかし米国の大統領選を無事通過し、株式市場にリスクオンの資金が再び流れ込んできたようだ。米国株式市場の代表指標であるNYダウ指数も連日最高値を更新しているうえ、日経平均株価も年初来を更新し、いわゆるトランプ相場なる大相場が誕生しつつある。

できれば、この流れに乗って寝かせていた口座を再び動かしてみようと考えている人も多いかもしれない。特に、今年残るところあとわずかとなり、NISA口座の枠を使い切るかどうかで迷っている人もいるかもしれない。そこで来年以降を見据えて、今無理してでもNISA口座を使い切るタイミングとしては適切かどうかを、直近の相場を分析しつつ見ていこう。

資金に余裕があるなら使い切りたいが

NISA口座とは、この口座で株を買えばその株式の譲渡に伴う利益、もしくは配当金などにかかる税金(20.315%)がかからなくなる口座のことだ。

例えばある株式を50万円分購入した後にその株式の株価がうまく値上がりしてくれて80万円になったとする。急に資金が必要となり株を売却した場合、NISA口座では30万円が丸々非課税となり利益となる。一方で通常の特定口座であれば30万円の利益のうち、6万945円が税金として取られてしまう。また配当にも同様に税金がかかるため、長期で株を持つ場合には、非課税なのか20%程度の税金を取られるかで資産運用の結果に多少なりとも違いが生じるといえる。

株を買ってもNISA口座で買うかどうかで、残る利益に違いが出るのだ。これから成長する企業や配当を継続して出してくれるような業績・財務が安定した企業を今の時点で選べるのであれば、NISA口座を活用し、残りの枠を使い切ってもよいだろう。ただし、その場合でも銘柄は選別すべきである。

個人投資家によるNISA買い付け株式ランキングなるものが存在するが、ランキングには大企業の名がずらっと並ぶことが多く筆者としては不思議に思う。しかし少なくともこれから仕込むのであればすでに大きく上昇している大手金融株などの大企業の株式(大型株)はあまりお勧めとはいえない。

トランプ相場で株を買っている主体(投資家)は誰?

なぜ大型株はお勧めでないのか。理由はこのトランプ相場の上昇を作った主体が誰なのかを知ることでみえてくる。

2016年11月第2週目からスタートしたトランプ相場。この相場で日経平均株価は大統領選当日の安値1万6111円から12月9日の高値1万9042円まで実に3000円近くも上昇したことになる。

これだけ市場が上昇したということは、ファンダメンタル(経済的の基礎的条件)が良好な状態なったことを示している。そしてファンダメンタルが良好になると市場に大きな資金が再び入ってくることになる。いったいこの相場で株を買っている主体はだれなのか、投資主体別売買動向(株を誰がどの程度売買しているかの資料)を確認してみよう。

投資主体別売買動向によると直近4週間連続で海外投資家は株を大きく買い越している。一方で個人投資家は、4週連続で株を売り越している。つまり個人投資家はまだ本格的にトランプ相場に乗れていない可能性が高い。

NISAで買うにしても、これから個人投資家が株を買うとしたら、海外投資家がすでに買ってしまっている株式(大型株)を後から買うのは少々気が引けるというものだ。そこで、まだ流れに乗れていない「出遅れ銘柄」として個人投資家好みの小型株などに注目したい。

NISA口座を活用するなら小型株?

さて海外投資家は大型株を買っている。これは彼らの資金力が大きいので、小型の株式は流動性が低すぎて買えないという事情があるからだ。

一方で、個人投資家好みの小型株は、ここ数週間で海外投資家も個人投資家も買っていないのだから、当然のことながら上がっているはずがないのである。巷で聞かれる全体相場があがっているのに個人投資家が儲かっていないという話はここに原因がありそうだ。

狙い目は小型株。配当を多く出す小型株を例に出すと、アイビー化粧品 <4918> 、インヴァスト証券 <8709> などがある。これらの企業は配当の利回りが現在でも5%以上あり、配当目的として投資をするのであれば魅力的な配当水準である銘柄と言える。

また、好業績でかつ配当を多く出すケイアイスター不動産 <3465> のような右肩上がりの株価上昇を見せる企業も存在する。

投資先としてはどうしても安定した経営を行っている大企業などを選別したくなりがちだが、NISA口座をフルで活用したいのであれば海外投資家などの大物投資家が入りにくい出遅れ株を狙ってみるのも投資戦略の一つなのだ。

谷山歩(たにやま あゆみ)
早稲田大学を卒業後、証券会社において証券ディーリング業務を経験。ヤフーファイナンスの「投資の達人」においてコラムニストとしても活動。2015年には年間で「ベストパフォーマー賞」「勝率賞」において同時受賞。個人ブログ「 インカムライフ.com 」を運営。著書に『 元証券ディーラーたにやんの超・優待投資 草食編 Kindle版 』(インカムライフ出版)がある。

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