妊娠して離職する場合でも、状況によっては失業保険(失業給付)を受け取ることができる。どのようにすれば失業保険の受給対象になるのか、失業保険の受給期間を延長することができるのかについて解説する。
(2020年11月27日編集部一部加筆)

目次

  1. 失業保険とは
  2. 失業保険がもらえる人は
    1. 失業保険がもらえる条件
    2. ハローワークの定める失業状態とは
  3. 妊娠した場合の失業保険との関係
  4. 失業保険の延長措置とは
    1. 病気やけがのときの延長措置
    2. 妊娠・出産・育児のときの延長措置
  5. 出産後失業保険を受給するには
    1. 求職申し込みに必要な物
  6. 受給期間延長の申請期間と手続きの流れ
    1. 傷病や妊娠・出産・育児などで延長する場合
    2. 退職で延長する場合
  7. 期限内に手続きをすることが肝要

失業保険とは

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(写真=Thinkstock/GettyImages)

失業保険とは、雇用保険の被保険者であった人が一定の条件を満たす場合に受け取れる手当である。基本的には、離職日から逆算して2年以内に雇用保険の被保険者であった期間が12カ月以上ある場合に受け取ることができる。

ただし、会社の倒産や突然の解雇、心身の問題や結婚・引っ越しなどのやむを得ないと判断される理由で離職する場合は、離職日から逆算して1年以内に雇用保険の被保険者であった期間が6カ月以上あれば受け取ることができる。

失業保険の給付総額は、離職に至った理由や雇用保険の被保険者であった期間の長さ、離職時の年齢、離職前にどの程度の給与を受け取っていたかで決定される。他の条件は同じでも、離職の理由がやむを得ないと判断される場合は給付期間が長くなり、その分、受け取ることができる総額が増えることになる。

失業保険がもらえる人は

次に失業保険がもらえる人の条件やハローワークの定める失業状態について、解説していこう。

失業保険がもらえる条件

失業保険がもらえる条件は以下のとおりだ。

  • 離職日以前の2年間で雇用保険に加入していた期間が満12カ月以上である
  • 離職日からさかのぼり1カ月ごとに区切った期間において、賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上ある月が12カ月以上ある

そして、上記2つの条件に該当しなければ失業保険は受給できない。

なお、以下の条件にあてはまる場合は、離職日以前の1年以内に雇用保険に加入していた期間が6カ月以上あれば、例外的に失業保険の受給対象となることをおさえておきたい。

  • 勤めていた会社が倒産、または突然の解雇があった
  • 心身の問題や結婚、または引っ越しなどのやむを得ない理由で離職した

ハローワークの定める失業状態とは

ハローワークの定める失業状態とは「ハローワークに訪れて求職の申し込みを行い、就職しようとする積極的な意思がある。さらに、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても職業に就けない状態」である。

よって、定年退職により年金生活をしたいと考えている方や、就職活動をまったく行っていない方は失業状態とは言えないのだ。

妊娠した場合の失業保険との関係

失業保険は、基本的にすぐに就業可能な状態で求職活動できる人が受け取ることができるものであるので、妊娠して離職する場合は受け取ることができない。だが、妊娠のために30日間以上就職できないことを申請すると、失業保険の受け取りを最大3年間延長することができる。

例えば、妊娠して離職し、2年間は出産と育児に専念した場合、就職活動を再開する2年後から所定給付日数分の失業保険を受け取ることができるのだ。所定給付日数が終了する前に再就職した場合に、その時点で失業保険の受給が打ち切られるのは、延期しない場合と同じだ。

失業保険の延長措置とは

前述のとおり、離職後に妊娠や出産、病気、けがなどで一時的に仕事ができない状況にあり、失業保険を受け取ることができない場合は、受け取る期間を先延ばしにすることができる。

病気やけがのときの延長措置

傷病で15日以上就業できない状況にあるときは、ハローワークに申請することで「傷病手当」を受け取ることができ、30日以上続いた場合は失業保険の受給期間を最大4年間延長することが可能だ。病気やけがから回復して求職活動を再開したら、傷病手当の受給から失業保険の受給に切り替える。

妊娠・出産・育児のときの延長措置

妊娠・出産・育児のために離職して30日以上就業できない場合も、失業保険の受給期間を最大3年間延長することが可能だ。出産・育児がひと段落して再び就職できる状況になったら、失業保険の受給手続きを実施しよう。

出産後失業保険を受給するには

続いて、出産後に失業保険を受給するために必要な手続きや書類について解説していく。

妊娠が理由で失業保険の受給延長をした場合、離職日から4年以内であれば受給資格がある。出産後に、失業保険を受給するためにはハローワークに訪れて求職活動をしたり、説明会に参加したりして、失業認定を受けなければならない。

求職申し込みに必要な物

出産後に失業保険を受給するために必要な書類などは以下のとおりだ。

  • 雇用保険被保険者離職票(-1、-2)
  • マイナンバーカード、通知カード、個人番号が記載している住民票のいずれか
  • 運転免許証、マイナンバーカードなど身元確認書類
  • 縦3.0cm×横2.5cmの写真2枚(最近の写真で正面上半身のもの)
  • 印鑑
  • 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード

なお、不安な方はハローワークに問い合わせて、必要な書類を確認するとよいだろう。

次に、書類をすべて用意してハローワークで求職の申し込みをしなければならない。そして7日間の待機期間があり雇用保険受給説明会に参加する。この際に雇用保険受給資格証と失業認定申告書が発行される。

その後、求職活動を定期的に行い失業認定日にハローワークに訪れて認定を受けよう。そうすると、口座に失業保険が振り込まれるのだ。ただし、失業認定を受けるためには4週間ごとにハローワークに訪れて報告をしなければならないことに注意が必要である。

受給期間延長の申請期間と手続きの流れ

失業保険の受給期間を延長するためには、いつ、どのように手続きすればいいのだろうか。

傷病や妊娠・出産・育児などで延長する場合

就業できない状況になって31日目から1カ月以内に、管轄のハローワークに届け出ることで延長措置を受けることができる。

必要となる書類は、「受給期間延長申請書」と離職票‐1、離職票‐2、本人の印鑑、各種証明書である。各種証明書として何が必要になるかは状況によって異なるので、ハローワークに出かける前に電話で確認しておこう。

本人がハローワークに行くことができなくても、代理人や郵送による申請も可能である。忘れずに期間内に手続きしよう。

退職で延長する場合

60歳以上になり定年退職を迎えたが、一度仕事を離れてリフレッシュしてからまた再就職しようと考える人もいるだろう。そのような場合も、失業保険の受給期間を最大1年間延長することができる。

離職の翌日から2カ月以内にハローワークに行き、受給期間延長申請書と離職票‐1と離職票‐2、本人の印鑑、本人確認書類を提出して受給期間延長の手続きを行おう。

期限内に手続きをすることが肝要

妊娠や退職後のリフレッシュなど、一定期間就業から離れるケースは少なからず存在する。期限内に失業保険の受給期間延長手続きを行い、最適なタイミングで失業保険を受給できるようにしておこう。