生命保険,加入,見直し
(写真=PIXTA)

人生の中で一番高い買い物は住宅、その次が生命保険とよく言われる。実際、保険という目に見えないものに対して毎月保険料を支払い、結果的に10年、20年後の掛け金の総トータルは驚くほど高額になるケースが非常に多い。

そして総トータルの掛け金に対して、万が一の時におりる保険金額を把握されているだろうか。保険という商品は、病気や死亡といった万が一の時に、治療代としての補てんや残された家族にお金を渡すことが目的となるが、保険だけでなく預貯金や他の金融商品という形で残すこともできるので、対費用効果においては、その点も考慮する必要がある。

クルマと保険の選び方から学ぶべきこと

クルマの購入を検討する際には、いろいろな比較をした上で購入の決断を下されるだろう。例えば、車種はセダンタイプか、ワンボックスタイプか、軽自動車でよいのか、その使用用途が判断基準の一つになるかもしれない。さらにクルマの性能や内外装のデザインも重要な選択肢の一つとなりうる。さらに購入後の維持費や税金の面からは、ハイブリッド車が良いのか、軽自動車が良いのかを考えるだろう。

一方、生命保険を選択する時はどうだろうか。「保険の種類、加入した目的、万が一の場合に支払われる保険金額」を聞かれた時にすぐに答えられるだろうか。この質問にすらすらと答えることのできる方は少ないと思う。保険は目に見えない商品なので、具体的なイメージを思い浮かべることが難しいのもその原因の一つなのだろう。

クルマを購入した後、それをどのように使うかイメージすることは容易にできるが、保険に関しては、必要とする時がいつ来るかわからないので、その有用性が実感としてわかないところにあるようだ。

保険を考える際に必要な2つのプラン

そこで、自分が加入すべき生命保険のイメージをより具体化する方法が、「ライフプラン」と「アフターライフプラン」の作成だ。

ライフプランとは、自分が送りたい人生設計をもう一度描いてみて、それに必要な保障額を算出すること。アフターライフプランとは、自分が死亡後残された家族が不自由なく生きていくために一体いくら必要なのかを算出することだ。特に後者のアフターライフプランは、終身保険などの死亡保険に入る際に必要となるものだ。

この2つのプランをたてず、生命保険に新規加入したり、見直しをすることは、数字的な裏付けなくおおよそこれくらい必要かな、といった入り方になってしまう。特に配偶者やお子様がいらっしゃるご家庭では、残りの教育期間やどのような進路を考えているのか、住む家の心配はないか、などのきちんとしたアフターライフプランが必須である。

生命保険は、家族ごとのオーダーメードであるべきだ。なぜなら、生活パターンは、それぞれの家族で全く異なるからであり、それを考慮に入れず加入した生命保険は、いざというときに役に立たないものとなってしまう可能性が高いからである。

自分にとって良い保険とは、悪い保険とは

皆さんがこれから新規で加入しようと考えている保険、もしくは見直そうとしている保険が何かしっくりこないな、と感じる理由の一つが、ご自身で生命保険の内容をしっかり理解していないところに起因しているケースである。

わかりやすい例として、医療保険を使って考えてみよう。

身体を壊し、入院を余儀なくされた会社員のAさんが、トータルで10日入院することになったとしよう。この場合、高額療養費制度により、医療費がある一定金額(自己負担額)を越えた分に関しては、決められた要件を満たせばあとで払い戻される(年齢や標準報酬月額によって自己負担額は変わる)。蓄えた預貯金がある場合、高額療養費給付制度により医療保険が不要のケースもある。

保険に入れば安心、というイメージがあるが、医療保険は治療費として保険金を給付してくれるだけのもの。もしそれをもらわなくても困らない、つまり十分な預貯金があれば、保険に頼る必要性は低いのだ。つまり、貯蓄だけでは対応し切れない分を保険で補うのが、正しい医療保険の入り方だといえる。また、いろいろな特約を付けると保障内容が把握できず、請求漏れすることもありうる。

医療保険は、シンプルにし、低い掛け金で、万が一のリスクヘッジに備えるために加入する、という保険の原点に戻り、考えることが大切だ。

決して生命保険すべてが不要だといっているのではない。まずは、生命保険に何を求めるか、そして万が一の場合いくら必要になるのかを明確にすることによって、コストパフォーマンスの良い生命保険を買うことが出来るのだ。

マネーデザイン 代表取締役社長 中村伸一
学習院大学卒業後、KPMG、スタンダードチャータード銀行、日興シティグループ証券、メリルリンチ証券など外資系金融機関で勤務後、2014年独立し、FP会社を設立。不動産、生命保険、資産運用(IFA)を中心に個人、法人顧客に対して事業展開している。日本人の金融リテラシーの向上が日本経済の発展につながると信じ、マネーに関する情報を積極的に発信。

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