プリウス,トヨタ,ハイブリッド,エコカー
(写真=HUANG Zheng/Shutterstock.com)

トヨタのハイブリッド車プリウスが2015年にフルモデルチェンジを行い、4代目となった。アグレッシブなデザインと、世界最高燃費40.8㎞/Lを達成したことで、発売後1カ月で国内販売10万台を突破するなど、好調ぶりが続いている。業界を変えたハイブリッドカーの代名詞的存在プリウスが20周年を迎える。

1997年、ハイブリッドの扉が開かれた

初代プリウスが登場したのは1997年。「21世紀に間に合いました」のキャッチコピーを携えて彗星のごとく現れた、世界初の量産ハイブリッド車だったが、販売面では年間2万台を超えることがめったになく、苦戦した。

小型5ナンバーの4ドアセダンで、燃費は28.0㎞/Lと抜群に良かったものの、215万円という価格を見ると、同クラスのカローラに流れてしまうということもあっただろう。

2003年には2代目が登場し、5ドアハッチバックスタイルとなり、空気抵抗係数0.26と、とくに高速時の燃費が向上し、35.5㎞/Lとなる。可変電圧システムを採用することで、太いトルクを生み出すことが可能となり、ドライビングのダイナミズムが生まれた。

初代プリウスが合計で12.3万台しか売れず、また、そのうち半分が日本国内であったのに対し、2代目では119.2万台と大きく数字を伸ばし、海外が70%となったことも特徴だった。

3代目を生み出すに当たって、大きな出来事があった。2008年のリーマン・ショックである。ZUUを読んでいる方ならよくご存知だろう。このリーマン・ショックがきっかけで、トヨタは赤字に転落してしまったのだ。そしてそれを救うべく、政府が打ち出したのがエコカー減税とスクラップインセンティブの補助金だった。この恩恵を受けたのが、2009年に発売された3代目プリウスだ。

主に欧州からのリクエストである高速時の燃費向上を図り、1.8Lへと排気量を拡大し、燃費は38.0㎞/Lとなった。3代目は、日本市場ではエコカー減税の影響もあり、年間22万台を販売する大ヒットとなった。2013年には累計で300万台を突破し、ハイブリッド車として不動の地位を築いたといえよう。

4代目で新境地へ

2015年12月に、待望の4代目が発売された。とても重要なのはこのプリウスがToyota New Global Architecture(TNGA)の第1号車として投入されたことである。TNGAと はトヨタ自動車が全社を挙げて取り組む、クルマづくりの構造改革のことである。

パワートレーンユニットとプラットフォームを刷新し、一体的に新開発することにより、クルマの基本性能や商品力を飛躍的に向上させることを目指すという。これにより、「低燃費」の実現とともにカッコよさを際立たせる「低重心スタイル」や「走りの楽しさ・乗り心地のよさ・静かさ」といった様々な基本性能を大幅に向上している。

これだけグローバルで販売台数の多いプリウスだがこの4代目は先進的でエモーショナルなデザインだ。フロントはしっかりと前を見つめる野獣をイメージし、リアはよりワイドに広がり感や踏ん張り感を強調し、とくに夜間ランプをつけると、英語のZを左右対称に連想させるリアランプで、すぐにプリウスだということが分かるようになっている。サイドから見るとかなり前傾姿勢を取っており、キャラクターラインが深く入れられ、全体的に押し出しの強いデザインだ。

実は先代モデルまでのプリウスオーナーの中には、プリウスの走りに関して不満があった人もいたようだ。アクセルを踏んだ時にエンジンの始動するタイミングや加速する感覚に、ハイブリッド車特有の少し遅れが生じるという声があったが、4代目プリウスでは走りの良さを重視しているおかげで、この点が見直されている。加速のリニア感が大幅に向上していて、人馬一体感が高まった。

また高張力鋼板をさらに広い面積で使用しているほか、レーザースクリューウェルディングという新しい接合技術の採用を行い、ボディ剛性を上げているので安心して峠や高速道路でも走行できるクルマに仕上がった。

そして、プリウスといえば一番の注目点である燃費だが、最大熱効率40%を実現したエンジンの搭載をはじめ、モーター、トランスアクスル、パワーコントロールユニット、駆動用バッテリーといったシステム全体で小型・軽量化を実現。さらに約20%の低損失化を図り、グレード「E」においては40.8km/Lの低燃費となったのである。

歩行者を検知する機能を備えた衝突回避支援型プリクラッシュセーフティシステムなど4つの先進安全機能をセットにした衝突回避支援パッケージ Toyota Safety Sense P など先進の安全装備を充実も図り、走るだけでなく、止まることにも注力している。
このように完成度の高い4代目プリウスだが、あえて苦言を呈するとすれば、アグレッシブなデザインは好みがはっきりと別れてしまうこと、またデザインやパッケージが最初から完成度が高すぎて、先代モデルのように自分仕様のプリウスに仕上げる楽しさの余白めいた部分がない。

だが逆に言えば、最初から完璧に完成された物を欲しがる人の方が圧倒的に多いこのご時世には、このスタイルは受け入れられるのではないかと思われる。スキのないプリウスが、どこまで席けんできるのか、今後を楽しみにしていきたい。(モータージャーナリスト 高橋大介)

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