英歳入税関庁(HMRC)は1月30日、2020年までに大規模な確定申告のシステム改革を実施するとウェブサイト上で発表した。
最大の変化となるのは、これまで1年間分と決められていた確定申告が、改革後はリアルタイムで更新することが可能になる点だ。HMRCは確定申告のデジタル化で年間80億ポンド(約1兆1282億円)のコスト削減を見こんでいる。
申告ミスによる損害は年間1兆円以上
この改革案は「2015年3月政府予算報告書」で発表された、「税制度デジタル化計画」の一環だ。
リアルタイム確定申告は年間売上高1万ポンド(約141万円)以下の非法人企業や自営業者、家主などにかぎり課税期間が削除され、好きな時に所得税の申告が行えるというもの。申告の見直しは3カ月ごとに実施される。
申告方法も簡易化され、HMRCの無料ソフトウェアを利用してスプレッドシート記録した収入・支出を自動的に更新できる。あるいは所得、経費、利益を記入するだけの「3ライン・アカウント」というデジタル申告書を、3カ月ごとに更新することもできる。
HMRCは申告プロセスを最低限まで省略することで、損害金が年間80億ポンド(約1兆1282億円)を超えるといわれる納税者の申告ミスを未然に防ぐことを期待している。またサードパーティーのソフトウェアを使用しないため、情報漏洩などのサイバー・セキュリティー問題も解消される。
英シティAM紙が報じたところでは、HMRCの一般・消費者戦略・税制度設計部門のジム・ハラー氏は、デジタル社会となった近年、古典的な書面形式の申告方法にこだわるのは無意味である点を主張。既存の申告プロセスが、特に初めての申告をする納税者にとっては複雑であることなどを申告ミスの原因として挙げ、デジタル化がもたらす恩恵への思いを示している。(ZUU online 編集部)
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