韓国・現代自動車グループが2月21日、同国最大の経済団体、全国経済人連合会(全経連)を正式に脱退した(聯合ニュース)。現代自動車に続き、起亜自動車、現代モービス、現代グロービス、現代カード、現代製鉄など系列企業11社が脱退する意向という。2016年12月のLGに続いて、サムスンとSKもすでに脱退しており、4大財閥グループが脱退したことになる。
日本でいえば「経団連」
全国経済人連合会は、日本経済団体連合会(経団連)に相当する団体で、1961年8月の発足以来、輸出主導や外資導入を柱にした経済開発戦略を政府に助言し実行に全力を傾けるなど韓国経済を支えてきた。初代会長はサムスン創業者の李秉喆(イ・ビョンチョル)氏で、現代、LG、SK、大宇といった韓国経済を支える企業のトップが代表を務めてきた。
全経連は加入企業600社の会費で運営されており、サムスン、現代自動車、SK、LGの4大グループが、2015年度基準で全年会費492億ウォン(約48億8000万円)のうち約380億ウォンと約77%を負担している。サムスン、SK、LGの脱退を受けた2017年2月17日の理事会で社会貢献予算の削減などにより、対前年比40%予算減の235億ウォンとする策定を行ったが、現代自動車グループの脱退で様子見をしていた企業の脱退も加速するとみられ、存続自体が難しくなった。
全経連からの相次ぐ脱退は、朴槿恵大統領と親友の崔順実被告をめぐる事件が発端だ。全経連は政府に提言を行う一方で、政経癒着もはやくから指摘されていた。朴槿恵大統領と親友の崔順実被告をめぐる一連の事件では、崔被告が設立した文化支援財団「ミル財団」とスポーツ支援財団「Kスポーツ財団」に韓国の複数企業が資金を拠出したとされているが、全経連が主導したとみられているのだ。
全経連解散のシナリオ
朴槿恵大統領の弾劾決議に先立つ2016年12月6日、韓国国会は事件の真相に向けた聴聞会を開いた。聴聞会に出席したサムスン電子の李在鎔副会長は、全経連に寄付金を払わない宣言をするよう求められ、これに応じたという。与党セヌリ党の河泰慶議員が全経連の解散を勧め、李在鎔副会長は「私は解散を提案する立場にない。脱退する」と答えた。
聴聞会には李副会長のほか、SKグループの崔泰源会長、ハンファグループの金升淵会長、ロッテグループの辛東彬(日本名:重光昭夫)会長、現代自動車の鄭夢九会長、韓進グループの趙亮鎬会長、LGグループの具本茂会長らが出席しており、SKグループの崔会長とLGグループ具会長も全経連から脱退することに同意したが、現代自動車グループの鄭会長は脱退を表明せず、全経連の解散にも反対の立場を表明したという。
全経連の会長を務めるGSグループの許昌秀会長は、解散は自分が進めることではないとし、全経連も改革案を準備すると述べたが、サムスンをはじめとする4大企業グループが抜けると、予算のみならず全経連が財界を代弁するという意味合いも薄れるという指摘があり、全経連の目的そのものが問われている。(佐々木和義、韓国在住CFP)
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