トランプ大統領の施政方針演説
(写真=Evan El-Amin/Shutterstock.com)

20日の東京株式市場は、小幅反発。日経平均は前週末比16円46銭(0.09%)高の1万9251円08銭で引けた。朝方の円高進行を嫌気した売りが一巡すると、主力株には反発狙いの押し目買いが入り始めたが、米国がプレジデントデーで連休中のため、市場参加者が少なく積極的に上値を追う動きも限定的だった。

東証1部の売買代金は1兆7127億円と今年最低で昨年の大納会以来の低水準。ソフトバンクの米携帯子会社のスプリントがドイツテレコムに身売りの可能性があるとの海外報道で、ソフトバンク <9984> は3.2%高と買われた。日経平均への寄与度が大きいソフトバンクの株高は、1銘柄で日経平均を約30円押し上げた。

大型株の上値が重いため個人の物色対象は新興市場が中心となり、ジャスダック平均は7日続伸で史上最高値を更新、東証マザーズ指数もしっかりだった。

21日の東京株式市場は、円安を好感して続伸。日経平均は前日比130円36銭(0.68%)高の1万9381円44銭で終えた。米国が連休中であり、午前中は模様眺め気分が強かったが、ドル円が午後に113円台後半と円安に振れると薄商いの中、日経平均は先物主導で上昇した。

東証1部の売買代金は1兆6540億円と連日で今年最低を更新した。個人の物色は引き続き新興市場で、ジャスダック平均は8連騰で史上最高値を更新。東証マザーズ指数も続伸となった。

22日の東京株式市場は、小幅ながら反落。日経平均は前日比1円57銭(0.01%)安の1万9379円87銭で引けた。前日の連休明けの米国市場はトランプ大統領の景気刺激策、大型減税への期待感が強くNYダウは8連騰、8日連続で最高値を更新した。

海外株式市場はリスクオンで連日賑わっているものの、東京市場では国内機関投資家とみられる小口の売りで上値が重い展開が増えてきた。東証1部の売買代金は概算で2兆1068億円と活況の目安となる2兆円台を3営業日ぶりに回復したが、方向感には乏しい状況が続いた。

23日の東京株式市場は、円高を嫌気して小幅に2日続落。日経平均は前日比8円41銭(0.04%)安の1万9371円46銭で取引を引けた。前日のNY市場で1月のFOMCの議事録が発表され、メンバーの大半がかなり早期の利上げが適切だと考えていたことがわかると米長期債利回りは低下、株も売られ、円は海外では一時112円台まで買われた。ただ株式の押し目買い意欲は強く、NYダウは引けではプラスに転じ9日騰。

東京為替市場でも円は113円近くまで強含んだ。株式市場は円高を警戒して、トヨタ <7203> 、ホンダ <7267> など輸出関連株を中心に売られた。

海外でも今までトランプトレードの上げを主導してきた金融セクターは高値警戒感から小動き。日本でも三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> や野村ホールディングス <8604> 、第一生命 <8750> などの大手金融株が売りに押された。ジャスダックが10日続伸、マザーズは4日続伸と新興市場優位は続いている。

24日の東京株式市場は、3日続落。日経平均は前日比87円92銭安の1万9283円54銭で引けた。前日のNY市場は、NYダウが10日連続の上昇。10連騰はなんと1987年以来30年ぶり。

ただし日本株は、円が113円どころでもみ合う展開が続いるため、海外の株高にも関わらず薄い反応を見せている。

朝方、一時前日比でプラスまで戻す局面もあったが、ドル円が112円台に強含むと午後には週末のポジション整理もあって下げ幅を拡大した。為替や金利などの外部要因の影響を受けにくい新興市場の小型株への物色は継続、ジャスダック平均は11連騰で史上最高値更新、マザーズは5連騰だった。

「2/27~3/3」の株式展望

24日の海外株式市場では、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)が最終赤字決算を発表して大幅安となった。銀行株安が主導して英、独、仏の株式市場が下げるなか、米株式市場でもゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェースといった金融株が下げ、NYダウはマイナス圏で推移していた。

ただし押し目での買い意欲は強く、NYダウは引け値ではプラスに転じ11連騰となった。為替動向は、リスク通貨である円に買いが集中し、ドル円は一時2週間ぶりとなる111円台まで円高が進んだ。円高を受け、CMEの日経平均先物は1万9140円と先週末の大阪先物引け比で130円安と下げている。

そもそも先週の日経平均は、CMEの先物など夜間の海外市場では上げるが、昼間の東京市場では機関投資家の売りなどで伸び悩む展開が目立っていた。米国のトランプ大統領のリフレ政策による景気拡大期待は大きいが、具体案が出てこないと、上値追いは難しい局面だった。

国内機関投資家が期末を控えて買いに動かない以上、日本の株が上がるかどうかは現状では海外投資家が買うかどうかにかかっている。11月以降のトランプラリーで、3兆円程度の日本株を買い越し、日経平均の1万9500円までの上昇相場を主導したのは海外勢の買いだった。

その海外勢も、1月3週以降3週連続の売り越しとなり3週間で約5000億円の売り越しに転じた。2月2週は4週間ぶりに1372億円の買い越しになったが、23日に発表された2月3週の外人は再び763億円の売り越しとなり買いの勢いは感じられない。

東京市場の今週のメインシナリオは、1万9000円と1万9500円のボックス圏での動きだ。週末の円高トライの動きは懸念材料だが、NYダウが下げ渋ったこと、28日にトランプ大統領の施政演説を控えていることから、ポジションを一方的に傾けにくい展開だろう。

1万9000円は押し目買い意欲が強く、1万9500円から2万円は価格帯別の累積出来高も厚いゾーンであり、売買代金ががある程度膨らまないと抜けないゾーンだ。

ボックス抜けのトリガーとなるのは、海外の外部要因だ。トランプ大統領の施政方針演説には注目が集まる。

予想を上回る景気刺激策でもでてくれば、円安が進行し、日本株にも買いが入る可能性が高いだろう。一方で、大型減税の金額と財源に関して共和党内でも意見統一に苦労しているとの声が聞こえてきており、減税額が予想を下回ったり公表時期が大幅に遅れるようだと市場は失望感から、いったん利益確定売りとなる可能性が高いだろう。

トランプ大統領以外でも、3月15日のオランダ総選挙を皮切りに、欧州ではフランス大統領選、ドイツ総選挙と国民選挙がはじまる。BREXIT、米大統領線と続いたポピュリズムの流れが欧州でも吹きあれるのか懸念材料は多い。アジアでは北朝鮮のミサイル発射、金正男暗殺など地政学リスクも高まってきている。こういった海外要因次第で相場はボックス圏を下に離れる可能性もある。

1月5日の年初来高値以来1ヶ月以上ボックス圏での膠着する動きが続いており、値幅も日柄も調整は十分だろう。個人的には、外部要因で円安が進行し、ボックス圏を上に向ける可能性が高いとみている。抜ければ年初来高値の1万9615円。心理的抵抗線の2万円が次のターゲットになる。一方下抜けた場合は、25日移動平均線の1万9182円、心理的抵抗レベルの1万9000円、次は16週移動平均線の1万8158円がサポートになる。

今週の重要イベントでは、28日の米トランプ大統領施政演説、3月3日のイエレンFRB議長のシカゴでの講演が注目される。経済指標では、日本では28日の1月の鉱工業生産、3月1日の法人企業統計、3日の1月のCPIが注目。海外では、27日の米1月の耐久財受注、1日の米第4四半期のGDP改定値、12月のケーズシラー住宅価格、1日のベージュブックなどが注目されよう。(ZUU online 編集部)

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