為替展望
(写真=PIXTA ※画像はイメージです)

6日の東京為替市場は、早朝に北朝鮮がミサイルを発射したことでドル円は114円を割り込み、113円後半の有事の円高となった。東京時間17時には、先週末比47銭円高の113円80銭で引け、5営業日ぶりの円高となった。

前週末のイエレン議長講演で3月のFOMCでの利上げはほぼ確定的となった。しかし、イエレン発言後、完全に材料の出尽くしとなり、アジアの地政学リスクが高まったこともあって円安は一服した。

7日の東京為替市場は、来週に重要イベントを控え膠着感が強くなっており、円は小幅反落。東京時間17時では、113円85銭と前日比5銭の円安。日中のレンジは30銭と小動きだった。

3月のFOMCでの利上げが確実視されており、米10年債利回りは2.51%まで上昇に転じているが、ドル円は114円付近で上値の重さが意識された。

8日の東京為替市場は、円は小幅続落。東京時間17時では、113円89銭と前日比4銭の円安だった。

前日、前々日とドル円の上値は114円10銭前後で押さえられたことで、円は逆に高値にトライする展開となった。午後1時過ぎには、113円61銭まで円高となり、3日の高値113円56銭に接近した。ただ、サポートとなっている113円50銭を一気に抜くような勢いもなく結局113円台後半に戻した。

9日の東京為替市場は、前日のNY市場でADP雇用レポートが上振れし円安が進んだことで円は3日続落。東京時間17時では、114円53銭と前日比64銭の円安だった。

米2月のADP雇用レポートで、非農業部門の雇用者数が前月比29万8000人増とコンセンサスの19万人を大きく上回ったことで、米国市場では米国長期債利回りが2.55%と12月20日以来のレベルまで上昇した。CMEのFF金利先物による3月FOMCでの利上げの確率は9割を超えた。日米金利差の拡大観測からNY市場でドル円は一時114円75銭と、3月3日に付けた2月15日以来の円安水準に顔合せした。

東京市場では、NY市場での円安を受けて114円40銭どころで始まったものの、国内機関投資家と思われる期末のドル売りでドルの上値は重く、日中は114円37銭から114円60銭の狭いレンジでの商いだった。

10日の東京為替市場は、海外で115円台という一段の円安を受けて、円は3日続落。東京時間17時では115円41銭だった。円の安値は115円46銭まであった。

NY市場では、ECB理事会で予想通り金融政策の変更がなかったこともあって、前日の円安トレンドが継続した。米国長期債利回りが2.60%と3ヶ月ぶりでトランプラリー後のほぼ高値となる水準まで上昇、3月FOMCでの利上げは確実視され、日米金利差拡大期待から円は一時115円ちょうどまで続落した。

「3/13~3/17」の為替展望

10日に発表された注目の米2月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数は前月比23万5000人増となりコンセンサスの20万人を上回った。NYダウは44ドル高と雇用統計を好感したものの、NY為替市場では材料出尽くしの利益確定売りでドル円は114円台後半になった。

今週のメインシナリオは、もう一段の円安の進行だ。14-15日のFOMCでの利上げは確実視されている。CMEのFF金利先物では、FRBが3月に利上げする確率はすでに93%。さらに6月利上げの確率も55%まで高まってきた。あらためて日米金利差の拡大が意識される展開で、米国長期金利もトランプラリー後意識されてきた2.6%を抜けて上昇してくる可能性が高い。

チャート的には2月7日と2月28日の111円60銭台がダブルボトムとなり、2月15日のダブルトップの山114.95円を一時抜いた。次の節目は12月15日のドル円の高値118円66銭だ。日柄的には12月高値から2月安値まで約7週間下落しているため、7週間かけて上げるとすると4月3週ころがターゲットとなる。

テイルリスクとして気を付けたいのは、アジアの地政学リスクと米国予算教書の遅れ。13日に予定されていた米予算教書は、トランプ政権の人事が遅れているため、3月中に出せるかどうかも危ぶまれてきている。

今週の重要イベントは、利上げが確実視される米FOMCが14-15日、日銀金融政策決定会合が15-16日、オランダ総選挙が15日。

オランダ総選挙は、極右政党である自由党(PVV)が支持率で首位を走ってきたが、最近の世論調査によると、PVVの人気は失速している。ポピュリズムの流れはあるのだが、米トランプ政権の混迷から人気が下降してきているとの見方がでている。PVV一党で過半数をとることは無理そうで、5-6党での連立政権となり、PVVの影響は限定的だろう。

経済指標は、日本では13日に1月の機械受注がある。海外では、15日に米2月小売売上高、3月NY連銀製造業景況指数、16日に米2月住宅着工、17日に米2月鉱工業生産、3月ミシガン大学消費者信頼感指数がある。(ZUU online 編集部)

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