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(写真=Thinkstock/Getty Images)

G3諸国の中央銀行(日銀、ECB、FED)への失望感が証券専門家間で高まっていることが、米ヘッジファンド、ツーシグマ・インベストメントのサーベイから判明した。

回答者125人のうち65%が「G3中央銀行が信頼を失ったことに不安を感じる」と回答。「経済成長や市場価格に影響を与える能力の低下」に対する懸念は、中国経済や市場変動といったリスク要因を大幅に上回った。

米引き締め、EUと日本は量的緩和継続

G3中央銀行の評価が前年から10%低くなった主な原因のひとつは、各国の対立する金利政策だ。2015年12月に利上げ方向に切り替えたFED(連邦準備制度)とは対照的に、ECB(欧州中央銀行)は2014年6月以降低金利を継続。2016年1月には日本銀行も後に続いた。

景気浮揚を意図する政策という点は3カ国に共通しているが、導入時期や背景は著しく異なる。金融危機直後の緊急策としてゼロ金利に踏みきったFEDにとって、最優先事項は速やかに銀行の安定を図り、財政を立て直すことだった。

対する欧州は財政の立て直しに重点を置き、瀕死の銀行を小だしに救出し続けた結果、経済成長を鈍化させることとなった。デフレ脱却によるインフレ上昇に焦点を絞った日本のマイナス金利は、ネガティブな評価に傾きがちだが比較的歴史が浅い。

米国は7年間にもおよぶ異例の緩和政策をひと足先に切りあげたが、欧州、日本がそれに続く気配は今のところうかがえない。可能性をめぐる様々な報道に関しても、あくまで「米国に続くのではないか」という憶測の範囲でしかない。180度異なる政策に市場が戸惑いをかくせないのも当然だろう。

「最大の懸念」が中国経済破たんからG3に移行

不安感は「市場の変動(49%)」「資産バブル崩壊(46%)」「中国経済破たん(27%)」「EU崩壊(25%)」「新興市場のソブリン債破たん(11%)」「米企業倒産(11%)」にも広がっている。

金融市場危機の可能性に対する懸念はわずか6%。しかし47%が「9カ月以内に起こる可能性が高い」と先行きに不安をいだいている。

またこうしたリスクで最も影響をうける通貨として、米ドルと日本円が挙げられている。特に市場が破綻した場合、あるいは米企業倒産が相次いだ場合、日本円は20%から30%弱下落するとの見方が強い。

1月に実施されたサーベイ結果では中国経済たんが「最大の懸念」だった。しかし起こりうる時期については今後1年から2年後との見方が強く、金融市場危機や市場変動の方がより緊迫しているとの意見が多い。

トランプ政権は経済成長にプラス、マイナス要素あり

世界中が関心をよせているトランプ政策の影響に関しては、エネルギー・コモディティーと貴金属の伸びが1.32%から10.85%期待されている反面、米ドル、米エクイティー、米国債はマイナス0.73%からマイナス6.58%程度落ちこむと予想されている。

総体的には対立候補者だったヒラリー・クリントン氏が当選していた方が、下落リスクが低くなったと見られている。

2008年の世界金融危機以降強化されてきた中央銀行の権限が、不透明な方向へ流れかねないとの指摘が挙がり始めた今、G3中央銀行が対処すべき真の課題を問う声は、今後ますます高まっていくのではないだろうか。(アレン琴子、英国在住フリーランスライター)

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