3月16日、イングランド銀行(BoE)金融政策委員会が「利上げ投票」を実施し、ポンドが対ドル0.6%増(1.235ポンド/約172.22円)、対ユーロ0.7%増(1.152ポンド/約160.65円)と大幅に上昇した。
直前までは8週間連続で低迷していたポンドだが、委員会で早期利上げ方向に傾く動きが見え始めたことから、引き締め期待が高まったものと推測される。
カーニー総裁「インフレのオーバーシュートは一時的現象」
インフレが加速する英国。1月には2年半ぶりの高水準となる1.8%を記録し、今後数か月以内に目標の2%を上回ると予想されている。対照的に賃金上昇率は鈍化しており、消費者にかかる経済的圧力への懸念が委員会内でも徐々に広がり始めた。
英エクスプレス紙などの報道によると、今回の投票では9人中8人の政策委員が「現状維持」に票を投じた。しかしこのままインフレが加速し続けた場合、利上げ派が勢力を増す可能性は高いとされている。
米エコノミスト者兼MPCの外部委員、クリスティン・フォーブス氏は、「以前の予想に反しインフレが成長率や雇用率より早く上昇している」とし、このままでは「耐久しうる限界水準を超える」ため、速やかな利上げに踏みきるべき時期だと主張している。
しかしマーク・カーニー総裁を含む一部の委員は「インフレのオーバーシュートは一時的なもの」と英経済の今後の不透明さを理由に低金利維持を唱えており、意見は真っ向から対立している。市場では2019年以降の利上げという見方が強い。
また今月末までにBrexit交渉開始が予定されていることから、ポンドの大幅な変動は避けられないだろう。これについても交渉開始後は「さらに急落する」という予想と、「見とおしがよくなるため上昇する」という両極端な意見にわかれている。
4月に開催される仏大統領選の結果がおよぼ影響も懸念できない。金融政策に関して委員会の意見が分断したのは、2016年6月のBrexit国民投票以来初となる。(ZUU online 編集部)
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