米電気自動車メーカーのテスラが3月に入り、韓国で直営店をオープンさせた。テスラ・コリアが店舗をオープンしたのは3月15日に京畿道河南(ハナム)市、3月17日にはソウル市清潭洞(チョンダンドン)。韓国聯合ニュースが報じた。

2016年9月、京畿道河南市にオープンした新世界グループが運営する大型商業施設のスターフィールドには、テスラのほか、BMWと現代自動車もショールームを兼ねた販売店を開設。欧米韓の環境対応車が激突と聯合ニュースは伝えている。ソウル市清潭洞は欧米などの高級ブランドショップが軒を連ね、高級自動車メーカーも店を構えているエリアである。

テスラ,電気自動車,韓国,現代,EV
(写真= VanderWolf Images /Shutterstock.com)

テスラを迎え撃つ韓国メーカー

中央日報によると、テスラ・モーターズの韓国進出に加え、外資系自動車メーカーも相次いで電気自動車を投入する。韓国でシボレーを製造販売する韓国GMはボルトEVを、ルノーサムスン自動車も2017年度上半期にトゥイジーを発売すると発表した。

中央日報はテスラと韓国で販売されている電気自動車を比較・分析しているが、性能面ではグローバル電気車販売台数1位のテスラの「モデルS90D」が最も優れているという。バッテリー容量は韓国メーカーの電気自動車の2~3倍水準に達し、馬力と最高速度、加速など韓国メーカーを圧倒している。

テスラの販売価格は1億1000万ウォン(約1093万円)~1億4367万ウォンで、韓国メーカー初の電気自動車専用モデルである現代自動車アイオニック・エレクトリック(3840万ウォン)の約3倍。2016年度に韓国の電気自動車でベストセラーとなった起亜自動車のソウルEVも3840万からで価格、性能とも現代車と大差はない。

韓国GMのシボレー・ボルトEVはS90Dのおよそ半額の4779万ウォンからで、韓国環境部は1回の充電で走行可能な距離は、ボルトEVがテスラSを上回り韓国最長と認証した。ルノーサムスンが発表したトゥイジーは、性能は他メーカーに及ばないが、予定価格は1550万ウォンからと圧倒的に安い。

中央日報はBMWのi3と日産リーフも比較対象としているが、現代自動車のアイオニック・エレクトリックと起亜自動車のソウルEVが、コストパフォーマンスが高いと分析している。

市場を考慮しない韓国環境部

韓国の自動車メーカー各社が電気自動車を投入するのは、韓国環境部の施策による。中央日報によると環境部は早ければ2018年度から「電気自動車義務販売制」の導入を検討しているという。最大2%を電気自動車として、及ばなかった分に課徴金を賦課する内容だ。

環境部は深刻な問題となっているPM2.5を減らすためディーゼル車を減らし、2020年までに電気自動車を25万台とする目標を立てたが、2016年9月時点での電気自動車の登録台数は8168台で達成は事実上不可能な状況にある。韓国内の年間販売台数は約155万台で、年2%だと年3万1000台だが、メーカーの担当者も義務販売量に及ばない可能性が高いとみている。キム・ピルス韓国電気自動車協会会長は、環境部の方針を市場状況・需要を綿密に考慮しない無理な電気自動車普及対策と指摘する。

韓国で電気自動車の販売が伸びない最大の理由は充電所の圧倒的な不足にあるという。2016年9月時点で韓国内の電気自動車急速充電器は606台しかない。米国3万6000台強、日本2万2000台、中国4万9000台と比較すると少なさが際立つ。環境部は2017年中に550台を増やす計画というが、消費者が電気自動車を安心して買うには程遠い。

ブランドイメージがカギ

2017年3月18日から3月24日まで済州道西帰浦(ソギッポ)市で開催された第4回国際電気自動車エキスポにテスラ・モーターズは出展していない。3月31日からは京畿道高陽市でソウルモーターショーが開催されるが、テスラの出展予定はない。

ソウルモーターショーは国際自動車工業連合会(OICA)公認の国際自動車ショーで、2年に1度開催されている韓国最大のモーターショーだ。現代自動車、起亜自動車、韓国GM、ルノーサムスン自動車、双竜自動車などの韓国メーカーやメルセデス・ベンツ、BMW、トヨタ、日産など、韓国で自動車を販売している海外メーカー18社が出展する。

韓国の自動車分野は国内メーカーが高いシェアをもっている。国外メーカーはサムスン自動車を買収したルノー(ルノーサムスン自動車)と大宇を買収したGM(シボレー)を除くと、メルセデス・ベンツやBMWといった高級車に集中している。三菱自動車は2008年に韓国に進出したが、販売不振で2012年に撤退、2009年に販売を開始したスバルも同じく2012年に撤退している。自動車以外では、米Yahoo!が2012年に韓国から撤退し、2013年にはモトローラも撤退した。いずれも韓国企業の圧倒的なシェアに押されたという。

韓国では高級イメージが定着しているブランドは高くても売れるが、韓国内で名前が知られていない海外ブランドよりは、韓国の独自ブランドを好む傾向が強い。テスラが韓国で生き残るには充電インフラの整備と併せ、高級ブランドイメージを生み出せるかどうかが鍵になるだろう。(佐々木和義、韓国在住CFP)

【編集部のオススメ記事】
2017年も勝率9割、株価好調の中でもパフォーマンス突出の「IPO投資」(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
株・債券・不動産など 効率よく情報収集できる資産運用の総合イベント、1月末に初開催(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)