もし予想通りに1円動いたら、いくら儲かるかな――。投資家はこんな皮算用をしたくなるものですが、失敗した時の損失額を想像する方がはるかに重要です。
(本記事は、羊飼い氏の著書『超ど素人が極めるFX』(翔泳社)の中から一部を抜粋・編集しています)
FXの損益は取引する数量で決まる 損失額を想像しよう
FXの損益はレバレッジに関わらず取引する数量で決まります。レバレッジが何倍であろうと1万ドル取引して思惑と反対にレートが1円動けば、損失は1万円です。レバレッジをかけずに100万円の資金で運用している人にはさほど痛手ではありませんが、レバレッジをかけて10万円の資金で投資する人には、同じ損失額でもよりダメージが大きくなります。
どこまで耐えられるか基準は自分自身 他人を参考にしない
レバレッジは資金を増やすことでも調節できますが、難しいなら取引量を増減して調節しましょう。どれだけのポジションを持って、どれだけの値動きをしたら損益がいくらになるかをシュミレーションし、自分がその損失に耐えられるかどうかを具体的にイメージするのです。
どこまで許容できるかは元手額や収入、他の資産、性格などで異なるので、他人の取引を参考にするのではなく自分で考えるのが重要です。
どうしても高いレバレッジで利益を狙いたいなら、損切りまでの値幅を小さくして損失が大きくなりすぎないようにする必要があります。1万ドルを取引して1円思惑と反対に動くと1万円を失いますが、0.1円動いた時点で諦めて損切りすれば1000円の損失で住むのです。
利益をイメージしすぎてはいけない
レバレッジを一定の範囲内に収めたい場合は、FX口座で10倍あるいは5倍などと上限を設定できるFX会社もあります。この場合、設定した上限を超える取引をすることはできなくなります。
利益の目標を立てるのもいいですが、利益額だけをイメージするとリスクを取り過ぎてしまいます。むしろ「ここまでは減らさない」という目標を立てて、そのための投資シナリオを描いていくことが重要です。
FXではさまざまな国の通貨を取引できる
ここまで、アメリカの米ドルと日本円で説明してきましたが、FXにはさまざまな通貨の組み合わせが用意されています。この組み合わせのことを「通貨ペア」といいます。
最もオーソドックスな米ドルと日本円の組み合わせは「ドル円」といわれます。先に表示される通貨を基準として、後に来る通貨の価値を示すので、ドル円の場合は1ドルの交換価値が日本円でいくらになるかを表しています。
ドル円の次にメジャーなのは、ユーロ円あるいはユーロドルです。ユーロは欧州連合(EU)の共通通貨で、ドルに次いで流通量の多い通貨です。円、米ドル、ユーロの3通貨は基本の3通貨として値動きを抑えておく必要があります。
値動きが大きいポンド スワップ金利が高い資源国
ユーロを導入しないイギリスの通貨ポンドは、1通貨当たりの単位が大きく値動きが激しいという特徴があります。資源国であるオーストラリアやニュージーランドの通貨、豪ドルやNZドルは資源価格にも影響を受けます。先進国の中では比較的金利が高く、スワップポイント狙いの投資家にも好まれます。
そのほか、南アフリカの通貨ランド、トルコの通貨リラもスワップ狙いの投資家に人気がありますが、これらのマイナーな通貨はリスクが高く、初心者向きではありません。米ドル以外の通貨と日本円の組み合わせは「クロス円」と呼ばれます。
羊飼い(ひつじかい) FXトレーダー&ブロガー
「
羊飼いのFXブログ
」の管理人。2001年からFXを開始。ブログで毎日注目材料や戦略を執筆配信中。トレードはスキャルがメインで超短期の相場観には自信あり。
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