前週(4/10~4/14)の日経平均は、地政学リスクの高まりから週間で329円(1.8%)下げ、1万8335円63銭で引けた。5週連続の下落で、4月14日には1万8285円73銭と年初来安値を更新した。5週連続安は14年1月1週から2月2週まで6週連続以来。13年末にアベノミクスで大きく上げた反動と米国のテーパリング懸念による調整だった。

10日の東京株式市場は続伸、日経平均は前週末比133円25銭(0.7%)高の1万8797円88銭で取引を終えた。週明けの東京市場は、雇用統計後の円高の一服からギャップアップして始まり、地政学リスクで売られていた先物に買い戻しが入った。東証1部の売買代金は1兆9299億円と3月15日以来の2兆円割れ。欧米のイースター連休を週末に控え模様眺め気分が強まった。

11日の東京株式市場は3営業日ぶりに反落、日経平均は、前日比50円01銭(0.3%)安の1万8747円87銭で終えた。米国が原子力空母を朝鮮半島に派遣しており、15日には朝鮮半島周辺の海上に到着すると伝わった。地政学リスクの再燃でドル円が110円台半ばの円高に振れたことで投資家心理が悪化した。東証1部の売買代金は1兆8634億円と連日で2兆円を下回った。

12日の東京株式市場は続落、日経平均は前日比195円26銭(1.0%)安の1万8552円61銭と4月6日以来となる年初来安値を更新した。米トランプ大統領が「北朝鮮が面倒を起こそうとしている」とツイッターしたことで、ドル円は今までのサポートであった110円をついにブレーク、11月18日以来5ヶ月ぶりの109円台をつけた。日本株にもリスク回避の売りが先行した。新興市場の下げはさらに厳しく、マザーズ指数が3.5%安、ジャスダック平均が1.7%安と大きく売られた。

13日の東京株式市場は3日続落、日経平均は前日比125円77銭(0.7%)安の1万8426円84銭と連日で年初来安値を更新した。

トランプ大統領がWSJのインタビューで、久しぶりにドル高をけん制したと報じられた。 ドル円は108円台後半と5カ月ぶりの円高となり、株式には円高を懸念する売りが継続した。ティラーソン米国務長官がロシアでラブロフ外相と会談し、シリア問題について根本的な打開策は出なかったこともあって、 日経平均は一時247円安まで売られた。ただ、その後円が伸び悩むと、日経平均は下げ幅を縮小して終えている。日経平均が下げ幅を縮小するにつれて、売られていた新興市場には打診買いが入り始め、マザーズ指数は1.4%高と3日ぶりに反騰した。

14日の東京株式市場は4日続落、日経平均は前日比91円21銭(0.5%)安の1万8335円63銭と3日連続で年初来安値を更新した。

米軍がアフガニスタンのイスラム国(IS)の拠点を空爆したと伝えられた。翌日に北朝鮮で金日成生誕105周年を控え、過去イベント時にミサイルを発射実績があるとの懸念で、韓国株は午後から一段安で0.6%安となった。欧米ではイースターの連休を控えていることもあって、東京株式市場は薄商いの中、小口の売りで下げた。新興市場の下げも厳しくマザーズ指数は2.1%安となった。

「4/17~4/21」の株式展望

株式展望
(写真=PIXTA)

今週の東京株式市場のメインシナリオは、有事がないとの前提で、1万8000円~1万8500円のレンジで模様眺めとなる可能性が高そうだ。

日経平均の先週の週間の下げ率は1.8%。韓国総合株価指数の下げ率は0.8%。韓国株式よりも下げており、地政学リスクを織り込むにしてもオーバーシュートだとの指摘もでている。

懸念された15日の北朝鮮の金日成生誕105周年では何も起きなかった。14日の東京株式市場で株が下げた割には、ドル円は109円周辺で落ち着いた商いだった。14日の海外市場でも円高が進行したわりには、CMEの日経平均先物は下げに反応しなくなった。地政学リスクに対する市場の耐性はついてきているように見える。中国が米国との会話で方針を転換し始めたため、アジアの地政学リスクは改善に向かうのではとの指摘も増えてきている。

バリュエーション面でも割安感がでてきた。今週から17年3月期の決算発表が増えてくる。決算発表後に個別企業の予想EPSは17年3月期から18年3月期になるため、決算が出揃うと日経平均のEPSは1300円程度になると見られている。

だとすると、現在の日経平均の予想PERは14倍程度となり、過去のレンジからみて割安感がでてくる。リーマンショック後の予想PERの平均は約15倍であり、バリュエーションからみたフェアバリューは19500円程度になる。日経平均のPERが14倍なら、国内外の年金など長期資金が日本株を買い始めてもおかしくない水準だ。

ただ、先週末に安川情報 <2354> 17年3月期の先陣をきって決算発表したが、今期の経常利益を49%減益で出してきた。再び円高に振れていること、地政学リスクの高まりで、他社の決算発表でも18年3月期の会社予想は保守的な予想が出てくる可能性が高くなるなら、決算への期待感がいちど剥げる懸念がある。

テクニカル的にも、騰落レシオ(25日移動平均)が4月14日で69%と売られすぎを示す70%を割り込んだ。大きなトレンドの反転を示すことの多いRSIも21.9%と30%割れの買いシグナルをだしている。25日移動平均との乖離もマイナス3.8%と短期的に反発することの多いマイナス4%に近づいている。

もっとも、いくらバリュエーションやテクニカルで割安でも相手が地政学リスクでは、投資家はリスクを大きく取るわけにはいかない。反発したとしても上値も限定的にならざるを得ないだろう。

想定レンジの1万8000円を割り込んだ場合は、200日移動平均の17848円が次のサポートとなる。レジスタンスは、5日移動平均の1万8572円、26週移動平均の1万8790円となろう。

今週のイベントは、17日に信託大会で黒田日銀総裁の挨拶、18日から日米経済会話初会合、19日に米ベージュブック、23日にフランス第1回大統領選挙がある。25日の朝鮮人民軍創設記念日にも注目が集まるかもしれない。

今週の経済指標は、日本では20日に1月の貿易統計、20日にロイター短観、21日は日経製造業PMI速報値がある。 海外では、17日に米NY連銀製造業景況指数、中国の1?3月のGDP、20日に米フィラデルフィア連銀製造業景況指数が注目されよう。(ZUU online 編集部)

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