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資産運用において重要なことが投資のタイミング。2014年からNISAも始まりますが、非課税枠を意識しすぎて1回の取引でまとめて投資をしてしまうと思わぬ損失を被る可能性もあります。

なお、NISA・少額投資非課税制度という言葉は、最近、テレビや新聞などで、見聞きする機会があるかと思います。NISAは、新たに時限的に実施される投資優遇税制制度です。イギリスのISAを手本としており、日本版ISAとも呼ばれています。

今回はを通して分散投資の重要性を再確認しておきましょう。


NISA(ニーサ/日本版ISA)で考える資産運用〜何を分散するべきなのか〜

分散投資をする際に考えるべきことは投資資金をどのように分散するかということです。
分散は2つのことを心掛けます。1つは投資機会(時間)の分散であり、もう1つは投資対象(投資先、投資商品)の分散です。
投資機会と投資対象を分散することで、取得単価の平準化をすることができたり、ある企業の破綻による株価暴落や投資先海外通貨の暴落が起きても、投資割合が少なければ、致命傷を避けたりすることができます。

資産運用の最終的な目的は投資した先、投資商品において全勝することではありません。10勝0敗でも1勝9敗でも、最終的にトータルで運用利回りがプラスになっていればよいのです。
個人戦ではなく、チーム戦という意識を持つと良いでしょう。そのためには投資先、運用商品を複数持ち、さらに取得単価を下げておくことで損をしても小さく抑えられるようにしておくことが重要です。つまり、投資機会と投資対象を分散して、結果、投資金額の分散につなげておくことが大切なのです。

但し、NISAを利用する際には注意が必要です。NISAのメリットを受けられる状況とは、運用においてプラスになっている時だからです。NISA口座では、一か八かの投資商品よりも、価格の変動は地味だが高い確率でインカムゲインを得られ全体としてプラスになりそうな投資商品を優先的に保有することを意識することも重要です。


NISA(ニーサ/日本版ISA)で考える投資機会

株式でも不動産でも貴金属でも、1回の取引で大量に購入することはとても大きなリスクを伴います。自分に先見の目があって、今が買い時と自信をもって購入できるのであれば別ですが、買ってまもなくしたら塩漬け候補になってしまった、さらに上がると思って買ったらそこが高値だった、という話は少なからず聞きます。
特に投資経験が浅い人から聞くことが多いです。相場が低迷しているときには様子見をしていて、相場が盛り上がってきたら手を出す、このようなタイミングで投資をしている人を見かけるときもあります。

投資では安いときに買い、高くなったら売るということが基本ですが、「高くなり始めたら慌てて買い、安くなったら塩漬けにする」ということを実践してしまっているのです。このような状況を避けるために有効な方法が投資機会の分散、つまり時間を分散して購入するということです。毎月一定額ずつ購入すれば、高値で買う時もありますが安値で買うことができるときもあります。いわゆるドルコスト平均法です。
この方法は取得価格を平準化するという意味でとても有効です。


NISA(ニーサ/日本版ISA)で考える投資対象

資産運用において、投資対象を分散しておくことも重要です。インフレーションに強い資産とデフレーションに強い資産、高リスク高リターンの投資商品と低リスク低リターンの投資商品、円貨と外貨、等など分散対象は様々です。
これから特に意識しなければならないことはインフレーションに対応する資産をどれだけ持つかということです。

日本はバブル崩壊後、長らくデフレーションの時期が続きました。そのため、インフレーションという状況を意識していない人もいます。
「元本が割れない預貯金で保有することが一番安全」という声を聞くこともありますが、インフレーションの状況になった場合、預貯金のみで資産を保有することは大きなリスクと言えます。
株式や不動産、外貨、貴金属などといった投資商品は利殖を求めるもの、と考え避ける人もいますが、インフレーション時において物価と共に価格が上がっていってくれるインフレーション防衛資産でもあるのです。預貯金を持ってはいけないということではありません。
経済環境の変化に耐えられるよう、投資のバランスを考えることが重要なのです。


NISA(ニーサ/日本版ISA)で考える投資金額

投資機会や投資対象の分散を図ることが投資金額の分散につながります。投資金額の分散はあらかじめ意識をしておくとよいです。つまり、ポートフォリオの予想図を描いておくということです。
例えば日本株に5割、海外債券に3割、預貯金に2割と決めたら、このバランスになるように時間と投資商品を分けて、少しずつ投資をしていくということです。そして、半年に1度、もしくは1年に1度のペースでこのポートフォリオが機能しているかどうかを検証することが大切です。

ある分野の投資成果が予想以上に高かった場合、その分野で得られた資金を他に回すかどうかということを考える機会でもあり、逆にある分野の投資資金が含み損を抱えているときには、さらに積極的に追加投資をするかということを検討する機会でもあるのです。
見直しの時点までに入手した情報や自分の投資に対する考え方の変化をポートフォリオに反映させ、投資金額を再配分するという作業を行っていきましょう。投資割合の目安があることで、一つの分野に投資資金が偏ってしまうことを防ぐことができます。


時にはぐっとこらえることも大切

長いこと投資を続けていると、異常なほど市場が盛り上がっているように見える時期があります。直近ではリーマンブラザーズの破綻に端を発したアメリカ金融危機が発生した後の日本の不動産市況がそのような状況でした。
新興のディベロッパーや不動産ファンドが外資系金融機関からの資金調達を背景に、都市部の大型物件を高値で次々と買い漁って、しばしば新聞を賑わせていました。当該プレイヤーは「バブルではない」と言っていましたが、多くの人が「おかしい」と感じていたのではないでしょうか。

株価や不動産価格もぐんぐん上がり、今投資をしなければ買い遅れる、と焦る気持ちが生じていた人もいるかもしれません。しかし、不動産ミニバブル崩壊の直前のような少し異常な雰囲気の時には、一旦、投資をやめてみるということも大切です。長い目で見れば、下がったり上がったりの繰り返しです。上がっている時ではなく、下がった時に積極的に投資を再開できるよう、投資資金を貯めておくという時期も必要です。

また、こういう時期は無理してNISAを使うこともありません。NISAは損益通算ができません。含み損を抱え、その含み損を確定させても、他で得た利益とは相殺できないのです。異常な相場の時には、じっとしている、ということも立派な投資戦略なのです。

photo credit: danielfoster437 via photopin cc

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