前週(5/1~5/5)の東京為替市場は、ゴールデンウィーク(GW)の谷間で、市場がオープンしたのは1日と2日の2営業日のみ。

2日の銀行間のインターバンク市場の17時のレートは112円18銭で終え、週間では比89銭(0.8%)の円安となった。円安は3週連続。東京市場でのドル円の高値は112円18銭(5/2)、安値は111円21銭(5/1)だった。

3月から4月にかけてリスクオフの要因となったフランス大統領選、朝鮮半島での地政学リスク、米トランプ政権の執行リスクといった懸念材料が徐々に低下しつつあり、ヘッジ通貨である円の売り、ドルの買い戻しが先行した。

前週(5/1~5/5)の東京為替市場

週間為替見通し
(写真=PIXTA)

1日の東京為替市場はドル円が8連騰。17時のインターレートは、111円85円と前週末比56銭の円安で終えた。

午前中に米議会が歳出法案に暫定合意し、現行の暫定予算を9月末まで延期すると伝わった。米国の政治的空白リスクがなくなり、フランス大統領選、朝鮮半島の地政学リスクに次いで、懸念材料がまた一つ低下したことから、円安が進行した。

一時111円91銭まで円は売られ、112円をうかがう動きが見られていたが、レイバーデイで欧州勢が休日ということもあり、その手前で伸び悩んだ。日本株が堅調なのを見て、円安が進んだという局面もありそうだ。

2日の東京為替市場で、ドル円は9連騰。17時のインターレートは、112円18銭と前日比33銭の円安。円は安値引け。112円台を付けたのは3月31日以来。日経平均が堅調な値動きを続けており、3月21日以来の1万9400円台を回復。株の上昇を見ながら円売り傾向が強まった。

海外の為替動向 米連邦予算の成立を好感、ドルの買い戻し

日本が連休中にも、米連邦予算の成立などを好感してリスクオンによるドルの買い戻しが進んだ。ドル円は4日のNY市場では一時3月17日以来となる113円04銭まで円安が進んだ。

5日のNYダウは2ヶ月ぶりに2万1000円台を回復、ナスダック総合指数は6100ドル乗せで過去最高値を更新した。

米長期債利回りは4月中旬の2.1%台から2.3%台まで戻している。5日発表の米4月の雇用統計では、失業率は4.4%と10年ぶりの低水準となり、非農業部門雇用者数は21万1000人増と事前予想を上回った。CMEのFFレート先物によると、6月FOMC(13日~14日)での利上げの確率は先週の66%から78%まで高まってきている。

懸念材料は原油安。5月5日にWITの原油価格は一時43ドル台まで急落した。サウジアラビアのサルマン副皇太子が、同国の赤字が予想以上に縮小していると述べたことで、減産による原油高を誘導する必要がなくなったと市場は反応した。原油がさらに下げるようだと、リスクオンのムードを打ち消す可能性もあるだろう。

「5/8~5/12」の為替展望

今週のドル円のメインシナリオは、110円92銭から113円13銭のレンジを想定する。

先々週からのドルの上昇で10日と21日線移動平均線のゴールデンクロスが示現した。さらなるドルの上値も期待出来そうだが、5月4日のNY市場では113円からのドルの売り圧力の強さも見せつけられた。113円でロスカットオーダーがトリガーされたが、それに合わせるようにまとまったドルの利食い売りが出て頭を押さえた。その時のドル高値113円13銭をブレークするにはかなりのエネルギーが必要で次の材料待ちだろう。

113円13銭をブレークした場合は3月16日高値の113円55銭が次のレジスタンス。それも抜けた場合は3月10日の115円51銭がターゲットとなる。ドル円が5日移動平均の110円92銭を下抜けた場合は、21日移動平均の110円10銭が次のサポートとなろう。

今週のイベントは、7日にフランス大統領選決選投票、9日に韓国大統領選、10日~11日は英国銀行の金融政策委員会がある。フランス大統領選は直前のマスコミ調査では中道のマクロン氏が極右のルペン氏を上回っておりサプライズはなさそう。韓国についても予想通り最大野党「共に民主党」の文在寅氏が優位となっている。

今週の経済指標は、あまり重要な指標はない。日本では11日に3月の国際収支、4月の景気ウォッチャー調査。海外では、8日に中国4月の貿易収支、12日に米4月の小売売上高など。(ZUU online 編集部)

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