前週(5/8~5/12)は、フランス大統領選通過による欧州政治懸念の低下や北朝鮮の地政学リスクの低下などにより、世界の金融市場ではリスクオンが継続した。

外国人投資家は、欧米株に比べて出遅れている日本株に積極的な買いを入れ、日経平均は4週連続高。トランプラリーが始まった16年11月2週以降の7週連続高以来となる連騰記録となった。外国人がポジションを日本株にシフトした時に起きる急激なラリー現象だ。

日経平均先物(6月限)は、11日午後の場中に1年5カ月ぶりとなる2万円を付けた。日経平均もあと10円程度で2万円をつけるところまで迫った。

12日の日経平均は1万9883円90銭で引け、週間で438円20銭(2.3%)の上昇だった。週間安値は1万9705円13銭(5/8)、高値は1万9989円94銭(5/11)。4月14日に付けた直近の安値(1万8335円63銭)からの上げ幅は1600円を超えた。

前週(5/8~5/12)の振り返り

株式見通し
(写真=Thinkstock/Getty Images)

8日の日経平均はGWをはさんで3日続伸。終値は前週末比450円(2.3%)高の1万9895円70銭となり、2カ月ぶりに年初来高値を更新した。400円以上上げるのは今年3回目。大発会の1月5日に今年の上げを期待した479円高、2月10日にトランプ大統領が減税を発表すると示唆した471円高となって以来のこと。

ドル円は112円後半とGW谷間の112円台前半から円安となった。円安による企業業績の改善期待から主力株に外人投資家の買いが入り、東証1部の売買代金は3兆4434億円の大商いとなった。新高値銘柄数は366銘柄超える記録的な上げだった。

9日の日経平均株価は小幅ながら4日ぶりに反落。前日比52円70銭(0.3%)安の1万9843円ちょうどで引けた。

午後の取引時間中に自動車メーカーSUBARU <7270> が発表した決算で、18年3月期の予想が市場のコンセンサスを下回ったことから自動車株や他の主力株にも利益確定の売りが拡がった。日経平均も心理的な節目である2万円を前に高値警戒感も台頭している。

10日の東京株式市場で日経平均は反発、前日比57円09銭(0.3%)高の1万9900円09銭で終えた。2日ぶりに年初来高値更新で、15年12月3日以来の高値となった。

ドル円が113円台後半で始まり、一時114円台をつける局面があった。企業業績の拡大期待から、電気機器などのハイテクや鉄鋼などの景気敏感株に買いが入った。同時に、ファーストリテーリング <9983> やソフトバンク <9984> といった日経平均の寄与度の高い値がさ株が日経平均の上げを主導した。

11日の東京株式市場で日経平均株価は2日続伸。前日比61円46銭(0.3%)高の1万9961円55銭で終え、2日連続で年初来高値を更新した。 ドル円が114円台前半の円安で推移し市場心理はさらに好転、日経平均先物は1年5カ月ぶりとなる2万円をつけた。日経平均も2万円をまであと10円程度まで迫った。

ソフトバンクが前日引け後に発表した好決算から2%高となり、他の好業績銘柄の買いを牽引した。

12日の東京株式市場で日経平均は3日ぶりに反落。終値は前日比77円65銭(0.4%)安の1万9883円90銭だった。

日経平均は、4月14日の安値からの上げ幅が1600円を超え、心理的抵抗線である2万円直前であることから、週末を控えポジション整理の売りが先行した。ただ、押し目買い意欲も強く、下値も限定的だった。

先週の海外動向を振り返る

12日の海外市場では、米国の弱い経済指標からドルの利食い売りが先行した。4月小売売上高が市場予想を下回り、消費者物価指数も力強さに欠けた。ドル円は一時113円20銭まで売られたが、113円40銭台まで戻して引け、押し目買いの意欲も強い。

この2週間は、欧州の政治懸念がフランス大統領選無事通過で解消傾向に向かったこと、朝鮮半島の地政学リスクが北朝鮮と米国の対話で改善に向かったことからリスクオンの展開で始まった。加えて、5月5日の米4月雇用統計が予想を上回り、6月14日のFOMCでの利上げがコンセンサスとなったことも円安を加速させた。

円安とともに、地政学リスク等で日本株が欧米株に比べて割安感が強くなっていたことから、海外勢が米国株の一部売って日本株にシフトする動きが日本株上昇につながった。

12日のNYダウは4日続落、前日比22ドル(0.1%)安と3週ぶりの安値をつけた。米17年第1四半期の企業業績発表が後半戦となり、前半は銀行やIT系の企業を中心に市場予想を上回るものが多かったが、後半は小売企業などで低調な決算が相次いでいるためだ。

円高、NYダウ安で、12日のCMEの日経平均先物は1万9795円と、先週末の大阪引け比85円安と続落している。

「5/15~5/19」の株式展望

外国人投資家は4月最終週に2850億円と週間ベースで今年最大の買い越しとなり、GWの谷間である5月1週の2営業日でも1583億円の買い越しをしていた。これで4月1週以来5週連続の買い越しで累計9000億円を越す買い越しとなっている。過去の例でも外国人は4月に買い越すことが多く、アノマリー通りの展開だった。5月も外人は買いを継続することが多い。

今週は1万9500円から2万100円の展開が想定される。月曜日は、円高、NY株安から日経平均はギャップダウンして始まる可能性が高いが、押し目には外国人、国内機関投資家の買いが期待される。5月12日の下げでは、日銀が739億円のETF買いを入れた。これは4月17日以来で話題となった。

国内機関投資家も、日経平均が年初のレンジの上限であった1万9500円まで押すなら、バリュエーション面から買いを入れてくると見られている。

一方で、日経平均が2万円を超えると早期償還される日経リンク債の残高が1兆円を超えていると言われており、2万円手前での証券会社等のヘッジでの売り圧力もかなり強いことが確認されている。

週末に日本郵政が野村不動産の買収検討との報道があった。先週は、ソフトバンクの米携帯子会社スプリントがTモバイルを買収との報道もあった。先週末にピークを迎えた1Qの決算発表は総じて予想を上回っている。KDDIやトヨタなど、主力企業自社株買いの発表も相次いでいる。大型買収、好業績、自社株買いは、市場にはフォローとなることが多い。

今回のラリーは4月14日の安値1万8335円を起点とする戻り相場だ。5月11日高値までの戻りの値幅は1626円(8.9%)で、日柄は16営業日となっている。

13年以降で、日経平均が安値から大きく切り返した局面は5回ある。昨年だと、2月の原油安による急落後の戻り、6月のBREXIT後の戻りなどだ。過去5回の平均で、値幅は2597円、日柄は28日。最短のBREXET後の戻りでも、値幅で1858円、日柄で18日だった。今回の戻りにはまだ余力があるとの見方が主流だ。

市場エネルギーが増加しており、5月8日には売買代金が3兆円を超え、新高値銘柄が366銘柄に達した。売買代金3兆円超、新高値300以上の局面は、14年以降で4回、年に1回あるかないかの現象だ。各回ともその日がピークとなることは無く、その後10日程度後で日経平均は高値をつけている。過去のパターンだと今週か来週に高値をつける可能性が一番高いだろう。

テクニカル的には、2万円を上回った場合の次のターゲットは、15年12月高値の2万12円、16年6月高値の2万952円となる。レジスタンスとして意識されるのは2万120円にあるボリンジャーバンド2α線だ。下値は5日移動平均線が1万9809円にあり、それを下回った場合は、1万9563円にあるボリンジャーバンド1α線や今年前半レンジの上値だった19500円がサポートとなろう。

今週のイベントは、18日に欧州中央銀行(ECB)の4月理事会議事録が発表される。ユーロ圏のテーパリングの動向が注目される。6月8日には英国総選挙が控えており、6月11日と18日はフランス議会総選挙、6月13~14日には米FOMCがある。5月後半には、再び欧州政治リスクがフォーカスされるようになるかもしれない。

今週の経済指標では、日本では17日に3月の機械受注、18日に1?3月期のGDP速報がある。海外では、15日に米5月NY連銀製造業景況指数、中国4月固定資産投資、小売売上高、鉱工業生産、16日米4月住宅着工、鉱工業生産、ユーロ1~3月GDP改定値、17日に米5月フィラデルフィア連銀製造業景況指数が注目される。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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