前週(5/22〜5/26)の日本株は、米トランプ大統領とロシアとの関係をめぐる「ロシアゲート事件」によるリスクオフの下げが一服し、戻りを試す展開となった。大きくギャップダウンして下げた5月18日のチャート上の窓を埋め、5月16日の年初来高値からの直近の下げ幅548円76銭の3分2戻しを一時達成した。
日経平均の週間引け値は、1万9686円84銭と週間で96円08銭(0.5%)高となった。週間高値は1万9850円93銭(5/25)、週間安値は1万9585円54銭(5/23)だった。
前週(5/22〜5/26)の振り返り
22日の日経平均は週末をはさんで連騰、前週末比87円(0.45%)高の1万9678円28銭で取引終了した。
19日のNYダウは、トランプ大統領が外遊中でロシアゲート事件の追求がいったん和らぐと見た買い戻しで、141ドル高と続騰。週明けの日本市場も朝方から買いが先行した。25日のOPEC総会での減産合意への期待から原油価格が50ドルを回復したことも相場をサポートした。もっとも、様子見ムードは強く、売買代金は1兆9224億円と4月17日以来の2兆円割れとなった。
23日の日経平均は3日ぶりに反落、前日比65円00銭(0.33%)安の1万9613円28銭で引けた。
英マンチェスターでテロ事件が発生、ドル円が一時110円台後半の円高となり投資家心理が後退した。日経平均が伸び悩む中で、個人投資家の物色意欲は強く、個人投資家主体の新興市場のジャスダック平均とマザーズ指数は3日続伸。ジャスダックは1991年7月以来25年ぶりの高値を連日で更新した。
24日の日経平均は反発、前日比129円70銭(0.66%)高の1万9742円98銭で引けた。
NY市場が4日続伸、ロシアゲート事件での下げをほとんど戻した。原油は51ドル台を回復しリスクオンとなり、ドル円は111円後半までの円安が進んだ。東京市場も海外株高からギャップアップして始まり、外国人と見られる買いが市場の上げを牽引した。
25日の日経平均株価は続伸、前日比70円15銭(0.36%)高の1万9813円13銭で終えた。
NY市場は、5月米FOMCの議事録が公開され6月利上げ期待が高まった。ダウは5日続伸で2万1000ドル回復、ドル円は111円台半ばで推移した。投資家心理の改善が続き日経平均は続伸、一時107円高と週間高値である1万9850円をつけた。しかし、高値では国内機関投資家からと思われる売り圧力も強く上げ幅を縮小して引けた。
26日の日経平均は3日ぶりに反落、終値は前日比126円29銭(0.64%)安の1万9686円84銭で引けた。
NYダウは6連騰したが、原油が大幅安で50ドル割れ。25日のOPEC総会でコンセンサス通り減産が継続となったものの、材料出尽くしで5%近い下げとなった。原油安からリスクオフで111円前半まで円高が進んだ。
日経平均も円高を嫌気し、週末のG7や米国の3連休を控えてポジション調整の利益確定売りが先行した。
先週の海外動向を振り返る
先週のNY市場は、1−3月期の好決算と6月14日のFOMCでの利上げを期待して、ロシアゲート事件の下げから回復。木曜日までNYダウは6連騰し、過去最高値に迫っていた。
26日こそ、ベテランズデーの3連休を控え利益確定やポジション調整の売りが入り2ドル安と7連騰はならなかったが、1−3月のGDPが上方修正されて予想を上回るなど米景気の底堅さが確認されNYダウは下げ渋った。
原油がOPEC総会後2日続落、リスクオフからドル円が一時110円98銭まで売られる局面もあったが111円30銭台まで戻して引けており、CMEの日経平均先物も大阪比変わらずで引けている。
「5/29〜6/2」の株式展望
今週の東京市場のメインシナリオは、日経平均で1万9500円から2万円レンジでの展開が想定される。先週の日経平均の戻りで、チャート上に出来たアイランド・リバーサル(5月8日から17日までの高値の前後)の窓を埋めた。これは市場のセンチメントが強いことを示している。
トランプ大統領のロシアゲート追求が再燃する、イギリス総選挙を6月8日に控え市場のリスク許容度が低下するなどで円高になる可能性があるが、為替さえ落ち着いていれば、日経平均も上値トライとなる可能性が高い。
そもそも、日経平均が調整したのはロシアゲート事件など海外要因であり、日本のファンダメンタルズはGDPも企業業績も予想を上回り、マクロ、ミクロとも両面で市場をサポートしている。日経平均のPERも14倍程度と過去のレンジからは割安感が強い。
手口を見る限り、日経平均の2万円を阻止しているのは国内機関投資家の売りだった。先週発表された5月3週(15〜19日)の投資部門別売買動向では、外国人は日本株(現物)を301億円買い越した。前週の5602億円から減少したが7週連続の買い越し。
一方、2万円を前に売りを出したのは投信だった。投信の売越額は1774億円と2014年11月第1週の2066億円以来2年半ぶりの大きさだった。5月の3週間では3660億円の売り越しとなり3週間としては過去最大だった。投信の解約といえば、個人売りがイメージされる。ただ、今回の投信の解約売りは金融機関が保有している私募投信だと指摘されている。
日経平均の2万円手前で利益確定の大口の売りを出したようだ。年金などの手口が表れる信託銀行は17億円と小幅だが7週ぶりに買い越していた。GPIFや日銀は下値では買っても上値では動いていないようだ。私募投信の売りが一巡すれば日経平均の意外高も期待出来よう。
テクニカルでは、下値は18日安値1万9449円と25日移動平均線の1万9468円といった1万9500円どころで強くサポートされている。上値は5日移動平均の1万9706円、ボリンジャーバンドの2αの1万9937円あたりがレジスタンス。これを抜くなら5月16日高値の1万9998円で3度目の2万円トライとなろう。
今週のイベントは、29日は米国がベテランズデーで休場、英国、中国(30日まで)も休場。31日に米ベージュブック発表がある程度。6月13−14日の米FOMCまで大きなイベントは少ない。欧州は政治の季節に入る。6月8日には英国総選挙、6月11日と18日にはフランス議会総選挙が控えているが大きな波乱はないとの見方が根強い。
経済指標では、日本では30日に4月の労働力調査・有効求人倍率、31日に4月の鉱工業生産、6月1日に1−3月期の法人企業統計がある。海外では30日に米5月の消費者信頼感指数、31日に中国の5月の製造業PMI、米4月の中古住宅販売仮契約、1日に米5月のADP雇用統計、米5月のISM製造業景況指数、米5月の新車販売、2日に米5月の雇用統計がある。
雇用統計が悪くなければ6月のFOMCでの利上げは確実視されよう。現在のFFレート先物による利上げの確率は83%。利上げはほぼ確実視されており、残り年内2回か3回かが焦点。(ZUU online 編集部)
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