前週(5/22〜5/26)の東京為替市場は、小幅ながら2週間連続の円高となった。26日の東京銀行間のインターバンク市場の17時のレートは111円25銭で終え、週間では23銭(0.2%)の円高だった。ドル円の高値は112円12銭(5/24)、安値は110円87銭(5/23)。

トランプ大統領の外遊で米ロシアゲート事件の追及が一旦落ち着いたため、世界の株式市場はリスクオンで戻し相場となった。一方で、為替市場には方向感がでてこない。むしろ、仮想通貨が急騰し、ビットコインが一時前週末比で5割程度上昇したことの方が話題になっている。日本の個人投資家「ミセス・ワタナベ」のFX資金が仮想通貨に向かったのではとの観測記事まであった。

週後半は、25日のOPEC総会で市場の予想通りOPECは減産継続を決めたが、材料出尽くしで原油が5%近い急落で50ドル割れとなったことで、リスクオンとなり円高傾向となった。

前週(5/22〜5/26)の振り返り

週間為替見通し
(写真=PIXTA)

22日の東京為替市場で円は反騰、ドル円の17時のインターレートは111円31銭と前日末比17銭の円高となった。

NY市場で、ダウはロシアゲート事件からの戻り相場となり、原油も50ドル台を回復するリスクオンとなった。一方で、為替は膠着。日本株高もあって9時50分頃にはドル円は111円50円を回復、10時過ぎには111円61銭まで円安が進んだものの、午後には111円30銭台と往って来いとなった。

23日の東京為替市場で円は続伸、ドル円の17時インターレートは111円22銭と前日比9銭の円高だった。

英マンチェスターでテロ事件が発生、有事の円高となり朝方のドル円は110円台後半で始まった。日本株が下げたこともあって、一時110円86銭まで円高が進んだが、全般的に様子見気分が強くポジションを傾ける動きは限定的で居心地のいい111円前半まで戻った。

24日の東京為替市場で円は3日ぶりに反落、ドル円の17時のインターレートは111円94銭と前日比63銭の円安となった。

NY市場で株が4日連続高とロシアゲートの下げをほとんど埋め、原油はOPECでの減産を期待して51ドル台を回復し、リスクオンが鮮明になった。ドル円も14時40分頃に112円05銭まで上昇、一時5月17日以来1週間ぶりの112円台を回復となった。

25日の東京為替市場は円が反騰、ドル円の17時のインターレートは111円84銭と前日比10銭の円高となった。

米5月の米FOMCの議事録が公開され、想定よりハト派的だったため、NY市場では一時円高が進みドル円は111円40銭をつけていた。日本株は25日も続伸し戻りが鮮明になる中、ドル円は膠着し一日のレンジは38銭と小動きだった。

26日の東京為替市場は円が続騰、ドル円の17時のインターレートは111円25銭と前日比59銭の円高となった。

25日のOPEC総会で、想定通り減産が継続されたが材料出尽くしとなり、原油が5%近い急落で50ドルを割った。リスクオンから円高がジリジリと進み一時111円20銭まで進んだ。週末にG7と米国のベテランズデーによる3連休を控えポジション整理で午後から株が一段安となったことも、円高の要因となった。

先週の海外動向を振り返る

株式市場がリスクオンの展開となる一方で、為替市場の膠着感が強まった。NY株式市場はダウが2万1000ドルを回復し4−5月の高値抜き3月の史上最高値に接近した。機関投資家のベンチマークとなるS&P500やハイテク比率の高いナスダック総合指数は史上最高値を更新している。一方で、ドル円は3月10日が115円50銭、5月11日が114円37銭だったのに対し週末のレートは111円30銭台と大きく円高に放置されたままになっている。

26日も、原油がOPEC総会後2日続落、リスクオフからドル円が一時110円98銭まで売られる局面もあったが、結局は往って来いで111円30銭台まで戻して引けている。

26日に発表された米1−3月GDP改定値は1.2%増と速報値の0.7%増から上方修正されコンセンサスの0.8%増を上回り米国景気の強さが確認されたがボックス圏を抜け出すことはなかった。

「5/29〜6/2」の為替展望

今週のドル円のメインシナリオは110円25銭から112円38銭レンジでの展開が想定される。米国がベテランズデーで月曜日が休み。英国や中国なども休場だ。今週は金曜日の米5月の雇用統計まで大きなイベントは少ない。 今週も111円中頃を中心とした膠着相場となる可能性が強そうだ。

焦点は、6月2日の雇用統計。コンセンサスは非農業部門雇用者数(NFP)で18万5000人増。4月は21万1000人と市場予想を上回り、利上げ確率が一気に高まった。現在、CMEのFFレート先物による6月FOMCでの利上げの確率は83%まで高まっている。雇用統計が大きく下離れない限り、6月13−14日のFOMCでの利上げのコンセンサスは変わらないだろう。

CMEのFFレート先物では、もう一段の利上げの確率は9月で27%、12月で47%程度となっている。すなわちあと2回利上げか3回利上げかでちょうど見方がほぼ半分に分かれている。今後は2回なら円高、3回なら円安を織り込みに行く展開が予想される。

ロシアゲート事件の再追求が米国で強まる懸念や英国やフランスでの総選挙の懸念が浮上する可能性は想定しておいたほうがいいかもしれない。

テクニカルでは、110円25銭が5月18日の110円25銭がサポートになっている。レジスタンスは21日移動平均の112円38銭。レジスタンスを抜けた場合は5月17日高値の113円13銭が次のレジスタンス。

今週のイベントは、22日が米国はベテランズデーで休場、31日に米ベージュブック発表程度。6月13−14日の米FOMCまで大きなイベントは少ない。欧州の政治の季節に入る。6月8日には英国総選挙、6月11日と18日にはフランス議会総選挙が控えているが、大きな波乱はないとの見方が根強い。

今週の経済指標では、日本では30日に4月の労働力調査・有効求人倍率、31日に4月の鉱工業生産、6月1日に1−3月期の法人企業統計がある。海外では、30日に米5月の消費者信頼感指数、31日に中国の5月の製造業PMI、米4月の中古住宅販売仮契約、1日に米5月のADP雇用統計、米5月のISM製造業景況指数、米5月の新車販売、2日に米5月の雇用統計がある。(ZUU online 編集部)

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