前週(5/29~6/2)の日本株は2週連続の上昇で、2日にはサポートとなっていた2万円を突破、1年9ヶ月ぶりの2万円台となった。月替わりとともに機関投資家と思われる買いから日経平均は上値追いを見せた。

日経平均の週末の引け値は、2万177円28銭と週間で490円44銭(2.5%)高となり、週間高値は2万239円81銭(6/2)、週間安値は1万9570円13銭(5/30)だった。

前週(5/29~6/2)の振り返り

株式展望
(写真=PIXTA)

29日の日経平均は小幅続落、前週末比4円27銭(0.0%)安の1万9682円57銭で取引終了した。

米国など海外市場に休場が多く、市場参加者が少なく模様眺め気分が強かった。東証1部の売買代金は1兆7928億円と活況と言われる2兆円を1週間ぶりに割り込んだ。一方、個人投資家の物色意欲は強く、新興市場は堅調。日経ジャスダック平均は26年ぶりの高値更新。同市場の売買代金は859億円と16年3月以来1年2カ月ぶりの高水準だった。東証マザーズ指数は7連騰で年初来高値更新。

30日の日経平均は小幅ながら3日続落、前日比4円72銭(0.0%)安の1万9677円85銭で引けた。

欧州政治や財政に対する懸念から、リスクオフで110円台後半まで円高が進んだ。イタリアは新しい選挙法改正が合意に近づき総選挙前倒し案が浮上している。ギリシャ債務問題はまだ解決に至っておらず、6月のユーロ圏財務相会合で債務軽減が必用だとの報道があった。米市場が連休と言うこともあり、東証1部の売買代金は1兆8768億円と低迷している。ジャスダック平均が連騰、マザーズ指数が8連騰で年初来高値を更新した。

31日の日経平均は4日続落、前日比27円28銭(0.1%)安の1万9650円57銭。

米国で物価指標が軟化しFRBが目標とする2%を下回った。長期債利回りが低下し、原油相場も軟調に推移したことで、リスクオフの円高でドル円は一時110円49銭まで進んだ。日経平均は一時90円近く下げていたが、中国の5月製造業PMIが予想を上回ったことで中国景気への警戒感が和らぎ、下げ幅を縮小して引けた。

東証1部の売買代金は3兆176億円と5月8日のSQ以来の3兆円超えとなった。MSCI指数の月末の銘柄入れ替えのリバランスで引けの出来高が膨らんだため。MSCIは世界の機関投資家がベンチマークとして採用することが多く、機関投資家が指数の見直しに併せてポジションを大きく変えることも多い。ジャスダックは3連騰、マザーズは9連騰で連日の高値更新だった。

1日の日経平均は5日ぶりに反発、前日比209円46銭(1.1%)高の1万9860円03銭。

寄り前に発表された17年1~3月の法人企業統計で、設備投資は前年同期比で4.5%増とリーマン・ショック前の水準を回復した。銀行貸出残高など内需拡大を示す指標も改善していた。内需関連株、設備投資関連株などが牽引して市場はほぼ高値引け。売買代金は2兆4666億円まで膨らんだ。ジャスダックは4連騰、マザーズは10連騰で年初来高値更新。

2日の日経平均は大幅続伸、前日比317円25銭(1.6%)高の2万177円28銭で引けた。

日経平均は5月以降、3度目の挑戦でやっと2万円を超えた。雇用統計の前哨戦となる米ADP雇用レポートで非農業部門雇用者数(NFP)が予想を大きく上回り、米主要3指数すべて過去最高値更新し、ドル円は111円台40銭程度の円安となっていた。日経平均は1万9692円の42円高で寄り付いた後、まもなく2万円を突破した。その後も現物、先物の買いは継続して入り一時2万239円81銭まで上げた。15年8月19日以来約1年9ヵ月ぶりの高値更新となった。

一方、今まで市場を牽引していた新興市場には、日経平均の上離れで利益確定の売りが目立ち始めた。ジャスダックはかろうじてプラスを維持し5連騰となったが、マザーズは11日ぶりの下落となった。

先週の海外動向を振り返る

先週のNY市場は、木金と連日でNYダウ、S&P500、ナスダック総合指数の主要3指数が過去最高値を更新した。米景気回復とFRBの利上げペースが理想的に進行していることを好感し、債券も株も買われる展開となっている。

もっとも、2日発表の米5月の米雇用統計では、NFPは13万8000人増と市場予想の18万5000人を下回った。統計発表後一時は、110円33銭と5月18日以来ほぼ2週ぶりの円高水準を付けた。株式市場も小幅安で始まったが、失業率は16年ぶりの低水準で6月のFOMCで追加利上げを見送るほどの低調さではないことから、上げに転じて最高値を更新している。

「6/5~6/9」の株式展望

今週の東京市場のメインシナリオは、日経平均で2万円から2万1000円レンジでの堅調な展開。

需給が大きく改善した。6月1日に東証が発表した5月4週の投資主体別売買動向では、外国人が220億円の買い越しと買越幅は減少したが8週連続の買い越しだった。一方、5月2週から3週にかけて2週間で3490億円売っていた売りの主体の投資信託の売りが止まり、4週ぶりに429億円買い越しとなっていた。

投信の売りは金融機関の私募投信の解約売りだと見られており、その売りが一巡したのだとすれば日本株の需給は改善する。先週時点で信用売り残はリーマン・ショック以来、約8年ぶりの1兆円超えとなっており、ショートカバーが継続する可能性もあるだろう。

6月にカレンダーが変わってからの日経平均の急騰は、MSCIのリバランスを5月末に終え、国内外の機関投資家が動き出した可能性が高い。6月以降、世界的にテクニカルアセットアロケーション(TAA)のファンドが債券売り/株買いに動いたのではないかという観測が浮上している。TAAは、マクロ指標などでリスクとリターンを測りながら、主要アセットである債券と株の比率を機動的に変更するファンド。リーマン・ショック後、大きな損失(ドローダウン)を防ぐために広まり世界的に残高を増やしている。

テクニカル的には、アイランドリバーサルの窓を埋めた後、2万円をブレークして上に走ったためかなり強いトレンドがでている。次のターゲットは、15年6月のアベノミクス高値でITバブル崩壊後の高値でもある2万952円くらいまで大きな節目はない。サポートは上値抵抗線となっていた2万円になるだろう。

2万円抜けとなった金曜日の日経平均の予想PERは14.4倍程度。過去平均レンジは14倍から16倍であり、平均15倍からした日経平均の理論値は2万1000円程度。日本は現在、マクロの経済指標もミクロ企業業績も好モメンタムにあり割高感は少ない。

日経平均とドル円の連動性が弱まっている

日経平均はドル円との連動性が弱まっている。とくに5月以降の乖離が顕著だ。長年、日本市場を席巻してきた円安時しか株が上がらない呪縛が解かれ、「ドル円レート離れ」の時期が来ているのかもしれない。

今週のイベントは、日本では6月9日が指数先物、オプションの決済日が重なるメジャーSQ。7~9日にAI、セキュリティ、IoT、フィンテック、5G等の次世代テクノロジー関連のイベンインターロップTokyo2017が開催される。海外では、5日に米国でアップルの世界開発者会議(~9日)、7日にOECD経済見通し発表、8日に英国総選挙、ECB定例理事会がある。注目の米FOMCは6月13~14日。6月11日と18日にはフランス議会総選挙。

経済指標では、日本では7日に4月景気動向指数、8日に5月景気ウォッチャー指数がある。海外では、5日に米5月ISM非製造業PMI、8日に中国5月貿易収支、9日に中国5月CPIとPPIなどがある。(ZUU online 編集部)

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