前週(5/29~6/2)の東京為替市場は、3週間ぶりの円安となった。

週末の東京銀行間のインターバンク市場の17時のレートは111円58銭で終え、週間で33銭(0.3%)の円安で、ドル円の高値は111円71銭(5/24)、安値は110円49銭(5/23)だった。

週末にかけてNYダウなど米主要3指数がすべて過去最高値を更新するなど、世界的な株高となった。今までは、リスクオンになるとドル高が進み、円安で日本株が買われるパターンで、ドル円と日経平均の相関度が高かった。

5月以降は、相関関係が明らかに低下してきている。日経平均が3月1万9668円だった時のドル円は115円台。5月の1万9998円だった時は114円台だった。今回は日経が2万円を達成したが、ドル円は111円台と円安になっていないことに注目したい。

前週(5/29~6/2)の振り返り

為替展望
(写真=PIXTA)

29日の東京為替市場で円は反落、東京銀行間のインターバンク市場の17時のドル円のレートは前週末比6銭円安の111円31銭だった。

米国など海外市場に休場が多く、市場参加者が少なく模様眺め気分が強くドル円の日中のレンジは29銭だった。

30日の東京為替市場で円は反発、17時時点ではドル円は22銭円高の111円09銭だった。

欧州政治や財政に対する懸念から、リスクオフで海外市場では110円台後半まで円高が進んだ。イタリアは新しい選挙法改正が合意に近づき総選挙前倒し案が浮上している。ギリシャ債務問題はまだ解決に至っておらず、6月のユーロ圏財務相会合で債務軽減が必用だとの報道があった。日本時間でも一時110円77銭まで円高となったが、レンジを抜けるまでは行かなかった。

31日の東京為替市場で円は続伸、17時時点ではドル円は13銭円高の110円96銭だった。

米国で物価指標が軟化しFRBが目標とする2%を下回った。長期債利回りが低下し、原油相場も軟調に推移したことで、リスクオフの円高でドル円は海外では一時110円49銭まで進んだ。東京時間でも110円76銭までの円高があったが、午後に発表された中国5月製造業PMIが市場予想を上回り、米長期金利が時間外取引で上昇に転じたことで円は上げ幅を縮小した。

1日の東京為替市場で円は反落、17時時点ではドル円は6銭円安の111円02銭だった。

寄り前に発表された17年1~3月の法人企業統計で、設備投資は前年同期比で4.5%増とリーマン・ショック前の水準を回復した。銀行貸出残高など内需拡大を示す指標も改善していた。内需関連株、設備投資関連株などが牽引して日経平均株価が209円高となる中、円売りが膨らんだ。

2日の東京為替市場で円は続落、17時時点ではドル円は56銭円安の111円58銭だった。

雇用統計の前哨戦となる米ADP雇用レポートで非農業部門雇用者数(NFP)が予想を大きく上回り、米主要3指数すべて過去最高値更新し、ドル円は海外で111円台40銭程度の円安となっていた。日経平均は1万9692円の42円高で寄り付いた後、まもなく節目の2万円を突破した。その後も継続的に、先物・現物に買いが広まり日経平均の引け値は317円高の2万177円と15年8月19日以来約1年9ヵ月ぶりの高値更新となった。日経平均高を見ながら円は一時111円71銭まで売られた。

先週の海外動向を振り返る

先週のNY市場は、木金と連日でNYダウ、S&P500、ナスダック総合指数の主要3指数が過去最高値を更新した。米景気回復とFRBの利上げペースが理想的に進行していることを好感し、債券も株も買われる展開となっている。

もっとも、2日発表の米5月の米雇用統計では、NFPは13万8000人増と市場予想の18万5000人を下回った。ADP統計で期待感が高かっただけに、統計発表後一時110円31銭と5月18日以来ほぼ2週ぶりの円高水準を付けた。

株式市場も小幅安で始まったが、失業率は16年ぶりの低水準で6月のFOMCで追加利上げを見送るほどの低調さではないことから、NYダウはすぐに上げに転じて過去最高値を更新した。もっとも株の上伸に対して、ドル円の動きは限定的で111円60銭程度と東京の17時比では96銭の円高水準で大きく戻すことなく引けている。

「6/5~6/9」の為替展望

今週のドル円のメインシナリオは110円25銭から113円13銭レンジでの展開。日本は、直近発表のGDP、法人企業統計などでマクロ面での景気拡大局面は確認されている。17年3月期の企業業績も好調でミクロ面でも問題はなさそうだ。

雇用統計で円高が進んだが、日経平均が2万円を奪回したことで、大きく円高になる局面ではなさそうだ。内外機関投資家の日本株買いが確認されている。

13~14日の米FOMCではFRBの利上げが確実視されている。 ただ、日本の景気指標のモメンタムが上がっているのに対し、米国経済指標が一進一退の展開になりはじめた。米景気の腰折れ懸念に加えてFRBは金融緩和(QE)で膨らんだ債券のポジションを縮小する動きが年後半には進展し始めると予想するむきも増えて来ている。

したがって日米金利差拡大の思惑は縮小方向にあり、リスクオンでも円安になりづらくなってきていることには注意が必要だ。

テクニカルでは、5月18日安値の110円25銭がサポートになっている。レジスタンスは5月17日高値の113円13銭だろう。

今週のイベントは、日本では6月9日が指数先物、オプションの決済日が重なるメジャーSQ。海外では、7日にOECD経済見通し発表、8日に英国総選挙、ECB定例理事会がある。注目の米FOMCは6月13~14日。6月11日と18日にはフランス議会総選挙。

経済指標では、日本では7日に4月景気動向指数、8日に5月景気ウォッチャー指数がある。海外では、5日に米5月ISM非製造業PMI、8日に中国5月貿易収支、9日に中国5月CPIとPPIなどがある。(ZUU online 編集部)

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