前週(6/5~6/9)の日本株は、6月8日の「スーパー・サーズデー」懸念により週間で3週間ぶりの下落となったが、イベントを無事に通過し9日には2万円を回復して引け、地合の強さが確認された。

日経平均の週末の引け値は2万13円26銭と週間で164円2銭(0.8%)安。週間高値は2万224円54銭(6/2)、週間安値は1万9896円35銭(5/30)だった。

前週(6/5~6/9)の振り返り

週間株式展望
(写真=PIXTA)

5日の日経平均は小幅に反落、前週末比6円46銭(0.0%)安の2万170円82銭で引けた。

日経平均は6月1~2日の2日間で526円上げて年初来高値を更新しており、その地合を引き継ぎプラス圏で推移していた。後場にサウジアラビアなど中東諸国がカタールとの国交を断絶するとの報道で、リスク回避の円高が110円31銭まで進み、日経平均も利益確定売りが優勢となった。

日経が弱含む一方で個人投資家の買い意欲は旺盛。ジャスダック平均は6日続伸で91年6月21日以来26年ぶりの高値を更新。東証マザーズ指数は反発、16年6月10日以来1年ぶりの高値となった。

6日の日経平均は続落、前日比190円92銭(1.0%)安の1万9979円90銭で終えた。

東京為替市場で円が109円台後半に上昇し、取引終了間際には海外ヘッジファンドなど短期投資家の売りが出て6月1日以来3営業日ぶりに2万円を割り込んだ。8日は金融関係者には「スーパー・サーズデー」と言われ、コミー前FBI長官議会証言、イギリス総選挙、ECB理事会が控えている。イベント前に警戒感が高まるなか仕掛け的な円買いと株売りが入ったようだ。

新興市場も、ジャスダック平均は7営業日ぶりに反落、マザーズ指数も反落した。

7日の日経平均は3営業日ぶりに小反発、終値は前日比4円72銭(0.0%)高の1万9984円62銭だった。

ドル円が109円台半ばで下げ止まったため日本株には打診買いが入り、日経平均は一時2万円の節目を上回る場面があった。もっとも、スーパー・サーズデーの懸念から上値も限定的だった。

8日の日経平均株価は反落し、前日比75円36銭(0.4%)安の1万9909円26銭で引けた。

朝方発表のGDP改定値は、年率1.0%増と速報の2.2%増から大きく下方修正され、上方修正を見込んでいたコンセンサスの2.6%を大きく下回った。しかし、日本株の買い意欲は旺盛で午前中は2万円台をキープしていた。午後にブルームバーグが、日銀の出口戦略が「時期尚早から説明重視に姿勢を改めた」と報道した。長期金利は上昇し、日経平均が2万円を下抜けると下げ幅を拡大、一時1万9900円を割り込む局面もあった。

9日の日経平均は反発、前日比104円00銭(0.5%)高の2万0013円26銭と4日ぶりに引け値で2万円を回復して引けた。

スーパー・サーズデーを無事通過。コミー前FBI長官議会証言では、事前報道通りトランプ政権を揺るがすような発言はなかった。イギリス総選挙は保守党が勝利。ECB理事会は政策変更なし。リスクオンの円安でドル円は110円台を回復、日本株もメジャーSQ通過後に堅調な展開となり一時2万100円に迫った。場中にイギリス総選挙で保守党が過半数を確保できなかったことが確定し、メイ首相が退陣の可能性があるとのヘッドラインが流れると、日本株も上げ幅を縮小して引けた。

先週の海外動向を振り返る

先週のNY市場は、週間で65ドル68セントの上昇となり3週続伸した。スーパー・サーズデーを無事通過し、9日には過去最高値を更新している。 ただし、今まで相場を牽引してきたアップルなど大型ハイテク株には売りが膨らみナスダック指数は下げて終えていることは気懸かり。

退陣の可能性が報じられた英メイ首相は、北アイルランドの右派政党と連立政権とする方針を発表し、退陣しないことを表明した。

リスクオンから、ドル円は110円40銭台までの円安が進み、CMEの日経平均先物も2万40円と金曜日の大阪引け比90円ほど上げ2万円台でのしっかりした展開だった。

「6/11~6/15」の株式展望

今週の東京市場のメインシナリオは、日経平均で1万9800円から2万300円のレンジでの展開が想定される。抜けるとしたら上に抜ける可能性が高いだろう。

1~3月のGDPこそ下方修正されたが日本の景気回復のトレンドは変わっていない。7日にOECDが発表した世界経済見通しで、日本の17年のGDP成長率を11月時点での1.0%増から1.4%増に上方修正した。OECDの世界景気見通しはマクロ系のファンドが重視しているファクターであり、日本株上げのカタリストになり得る。

企業業績も好調で、日経平均のPERは14.2倍程度と過去の中心レンジの14~16倍の中では割安感が強い。6月から日経平均を2万円回復させたのは需給の改善だった。外国人の買い越しが続く中、売りに回っていた投信など国内機関投資家の売りが止まった。

東証が8日に発表した5月5週(5/29-6/2)の投資部門別売買状況でも、外国人は4282億円の買い越しと5月2週の5602億円以来今年2番目の週間買い越しとなった。日本株の上値を売っていた投信は、5月4週に買い越しに転じ5週も507億円の買い越しだった。売り向かったのは個人の3217億円。逆バリの個人投資家がやれやれの売りを出している模様だ。

東証が6月7日に発表した6月2日時点での信用売り残は1兆314億円と09年6月以来の1兆円超えとなっている。日経平均の累積出来高では2万円までは売り圧力が多いが、その後は出来高の薄い真空地帯となる。外国人が継続買い、機関投資家も買いにまわっている。信用売り残のショートカバーで市場の高値追いが継続する可能性があると見ている。

テクニカルなサポートは、心理的抵抗線の2万円、その下は25日移動平均線の1万9834円。レジスタンスが6月2日の今年最高値の2万239円。これを抜けば15年6月のITバブル崩壊後の2万952円だろう。

今週のイベントは、日本では15~16日日銀決定会合。コンセンサスは現状維持。世界では最大の注目が6月13~14日の米FOMC。25bps利上げがコンセンサス。焦点はFOMC後のイエレンの記者会見で年内の利上げ方針とバランスシート均衡への道筋。6月11日と18日にはフランス議会総選挙。15日にはユーロ圏財務相会合。13~15日はゲーム見本市(E3)@ロサンゼルス。

経済指標では、日本では12日に4月機械受注、13日に4-6月法人企業景気予測調査、16日に5月の百貨店売上高がある。海外では、14日に米5月の小売売上高、中国1~5月固定資産投資、中国5月小売売上高、中国5月鉱工業生産、15日に米5月鉱工業生産、米6月フィラデルフィア連銀景況指数、米6月NY連銀景況指数、16日に米5月住宅着工、米6月ミシガン大学消費者信頼感指数がある。(ZUU online 編集部)

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