前週(6/5~6/9)の東京為替市場で円は反騰した。6月8日の「スーパー・サーズデー」に対する懸念で週央には109円前半まで円高が進んだ。もっとも、イベントを無事通過したことで週末には110円台を回復して引けている。

9日の東京銀行間のインターバンク市場の17時のレートは110円33銭で終え、週間で1円25銭(1.1%)の円高だった。ドル円の高値は109円22銭(6/7)、安値は110円73銭(6/5)だった。

前週(6/5~6/9)の振り返り

週間為替展望
(写真=PIXTA)

5日の東京為替市場で円は急反騰、東京銀行間のインターバンク市場の17時のドル円のレートは前週末比1円4銭円高の110円54銭だった。

週末に英国ロンドン・ブリッジでテロが発生。朝方のドル円は110円半ばで始まった。8日には、金融関係者には「スーパー・サーズデー」と言われる、コミー前FBI長官議会証言、イギリス総選挙、ECB理事会の大イベントが控えており、110円50銭前後の狭いレンジでの取引が続いていた。後場にサウジアラビアなど中東諸国がカタールとの国交を断絶するとの報道で、リスク回避の円高となり一時110円31銭をつけた。

6日の東京為替市場で円は続騰し109円台に突入、インターバンク市場17時のドル円のレートは前日比90銭円高の109円64銭だった。

英国総選挙で労働党が保守党を追い上げているとの報道があり、ポンドが売られ、リスク回避の円高が進むことになった。午前10時頃から仕掛け的な円高が進行し、テクニカル上の重要なポイントとなっていた一目均衡表の雲の下限110円10銭を割り込むと一気に円高が進んだ。110円割れは4月25日以来1カ月半ぶり。円高と同時に日経平均先物にも売りがはいり、日経平均は2万円の大台を割り込んだ。

7日の東京為替市場で円は3日続騰、インターバンクの17時のドル円レートは前日比33銭円高の109円31銭だった。

米長期金利は一段と低下。海外で10年債利回りは一時2.13%と昨年11月以来、約7カ月ぶりの低水準をつけ、リスクオンの円高が進んだ。欧州市場では109円12銭と1カ月半ぶりの円高水準を付けた。東京市場では8日のビッグ・イベントを控え膠着感が強く、109円50銭を中心に1日のレンジは41銭と狭かった。日経平均も一時2万円回復したものの狭いレンジでの商いだった。

8日の東京為替市場で円は4日ぶりに反落、17時のドル円レートは前日比27銭円安の109円77銭となった。

8日のコミー元FBI長官の議会証言の草稿が公表され、内容が市場の想定内にとどまるとの見方で円高トレンドが反転した。朝方発表の日本の1~3月のGDP改定値は、年率1.0%増と速報の2.2%増から大きく下方修正され、上方修正を見込んでいたコンセンサスの2.6%を大きく下回った。

もっとも、スーパー・サーズデーを控え日経平均もドル円も反応は限定的。日経平均は押し目買い意欲が強く午前中は2万円台をキープしており、ドル円も一時110円台を回復していた。午後にブルームバーグが、日銀の出口戦略が「時期尚早から説明重視に姿勢を改めた」と報道。長期金利は上昇し、日経平均が2万円を下抜けると下げ幅を拡大、一時1万9900円を割り込んだ。円は下げ幅を縮小し109円台後半のクローズとなった。

9日の東京為替市場で円は続落、17時のドル円レートは前日比60銭円安の110円33銭となった。

スーパー・サーズデーを無事通過。コミー前FBI長官議会証言では、事前報道通りトランプ政権を揺るがすような発言はなかった。イギリス総選挙は保守党が勝利。ECB理事会は政策変更なし。ポイントとなる10年債利回りは一時2.2%台を回復した。リスクオンの円安でドル円は110円台を回復、日本株もメジャーSQ通過後に堅調な展開となり一時2万100円に迫った。場中に、イギリス総選挙で保守党が過半数を確保できなかったことが確定しメイ首相が退陣の可能性があるとのヘッドラインが流れると、日本株も上げ幅を縮小しドル円も一時109円まで買われる場面もあったが、一時的な動き隣110円30銭台で取引を終えた。

先週の海外動向を振り返る

先週のNY市場は、イベント通過で金曜日にはNYダウは史上最高値を更新した。円もリスクオンでNY為替市場では朝方110円81銭まで円安が進んだ。しかし、米株式市場でアップルなど大型ハイテク株の一角に売りが膨らみ、ナスダック総合指数が大きく下げると円は下げ幅を縮め110円30銭台での引けとなっている。

「6/11~6/15」~の為替展望

今週のドル円のメインシナリオは109円12銭から110円98銭レンジでの展開が想定される。最大のイベントである13~14日の米FOMCを控え狭いレンジでの商いとなる可能性が高い。

1~3月のGDPこそ下方修正されたが日本の景気回復のトレンドは変わっていない。7日にOECDが発表した世界経済見通しで、日本の17年のGDP成長率を11月時点での1.0%増から1.4%増に上方修正した。OECDの世界景気見通しはマクロ系のファンドが重視しているファクターであり、日本株上げのカタリストになり得る。日本株がしっかりしていれば、大きく円高になる局面ではなさそうだ。

注目の13~14日の米FOMCではFRBの利上げが確実視されている。焦点は、6月利上げ後のFRBの金融政策だ。あと年内2回になるのか? 1回なのか? 量的金融緩和(QE)で膨らんだFRBのバランスシート4.5兆ドルの縮小への行程を示すのかに注目が集まる。年2回なら日米金利差拡大の思惑で円安が続く可能性が高い。1回なら日米金利差縮小の思惑から円高になる可能性がある。

テクニカルでは、ドル円で6月7日安値の109円12銭がサポートになるだろう。これをブレークすれば4月17日の108円14銭がターゲット。レジスタンスは、5/24~6/7下落幅の61.8%戻しである110円98銭。これを抜けば5月17日高値の113円13銭だろう。

今週のイベントは、日本では15~16日日銀決定会合。コンセンサスは現状維持。世界では最大の注目が6月13~14日の米FOMC。25bps利上げがコンセンサス。焦点はFOMC後のイエレンの記者会見で年内の利上げ方針とバランスシート均衡への道筋。6月11日と18日にはフランス議会総選挙。15日にはユーロ圏財務相会合。

経済指標では、日本では12日に4月機械受注、13日に4-6月法人企業景気予測調査、16日に5月の百貨店売上高がある。海外では、14日に米5月の小売売上高、中国1~5月固定資産投資、中国5月小売売上高、中国5月鉱工業生産、15日に米5月鉱工業生産、米6月フィラデルフィア連銀景況指数、米6月NY連銀景況指数、16日に米5月住宅着工、米6月ミシガン大学消費者信頼感指数がある。(ZUU online 編集部)

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