2001年に対外債務の支払いを停止する債務不履行(デフォルト)に陥ったアルゼンチンだが、同国で初めてとなる100年債の発行計画が明らかになった。01年のデフォルトによる約1000億ドル(約11兆円)に上る債務を巡り、債権者との10年以上に及ぶ係争に終止符を打ち、デフォルトにより落ち込んだ投資家からの信頼の回復を狙う。

金融市場への復活を果たしたアルゼンチンだが、デフォルトは同国に限らず、世界各地で散見される。ここでは2000年代以降にデフォルトした国を取り上げる。

中南米諸国で頻発

デフォルト,国家破綻
(写真=PIXTA)

デフォルトに陥った国をピックアップするのに際し、大手格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)の定義を参考にする。同社によると、デフォルトは主に契約条件に定められた期日までに元本または利息の支払いが実施されない状態としている。

また、借り手が債務の一部について利払いや元本の返済を停止する「選択的デフォルト」と、利払いや元本返済が不可能となり、債権者への返済を拒否する「無条件デフォルト」に分類されることもある。

<ベリーズ>

90年代後半に安定した経済成長を果たした中米のベリーズは、政府が海外からの資金調達によって経済の刺激策を推し進めた結果、財政赤字がGDPの10%を超える水準にまで達した。赤字を削減すべく、増税や歳出カットなどに取り組み、財政赤字は3%にまで低下。より安定的な財政運営のために06年債務再編にも着手し、債務の総額は変更しなかったものの、満期の延長化、利息のカットを債権者との間で合意する事態となった。

<ドミニカ共和国>

カリブ海に浮かぶドミニカ共和国は、国際通貨基金(IMF)スタンドバイ協定に基づいて、税制改革、補助金カットなどの財政政策、インフレの抑制などで経済運営は安定していたが、04年に債務の支払い不能に陥った。この際は30日の猶予期間内に債務不履行を回避したが、05年には外貨建ての債務について満期の延長ととのに2年間の利息払いを先延ばしすることになった。

<エクアドル>

南米の産油国エクアドルでは、08年にコレア大統領(当時)が、過去の政権が発行した外貨建ての国債は違法であると一方的に宣言し、債務償還を拒否してデフォルト状態となった。17年5月まで大統領を務めたコレア氏は、「小さな政府」を目指した前政権の経済政策を転換し、社会政策を拡大させ。

富の再分配を進める「大きな政府」を政策の柱とした。08年はリーマンショックに端を発した世界的な金融危機が広まり、エクアドルでもコレア大統領が2012年債の利払い停止を決めるなど混乱が広がった。

<コートジボワール>

西アフリカのコートジボワールは、2000年に債務不履行となった後も、大統領選をめぐる事実上の内戦状態に陥ったことから、10年に満期を迎えたドル建ての国債もデフォルトとなったとされる。混乱が続いたコートジボワールに対し、日本政府は債務救済措置を実施し、同国が抱えていた円借款債権の約205億円を13年に免除した。

<ウクライナ>

独立以来、エネルギーの輸入と海外からの融資に頼っていたウクライナは、2000年に01年に満期を迎えるユーロ債のうち、全体の16%に対する利払いができなかった。また、15年にはロシア向けの債務30億ドルの支払いを停止し、政治的な対立によりデフォルト状態に陥った。

<ギリシャ>

09年の政権交代をきっかけにして、それまで公表していた統計において、財政赤字が隠ぺいされていた事実が明るみになり、実際の財政赤字が公表データと大きくかけ離れていたことから、ギリシャ国債が暴落。

その影響は、欧州連合(EU)の通貨ユーロにまで及び、為替相場でユーロが下落し、世界のマーケットを震撼させた。財政危機に瀕したギリシャは12年に債権者との間で債務減免の合意を取り付け、デフォルトとなった。EUとIMFによる支援と引き換えに、ギリシャ政府は、年金や公務員改革を通した緊縮財政政策、増税など痛みを伴う改革を余儀なくされたのは記憶に新しい。

金融政策は統一されたものの、財政政策が各国でばらばらというEUの脆弱性を露呈させたギリシャ危機は、いまなおデフォルトの不安がくすぶる。17年6月にはEUがギリシャに対する融資の再開を決め、ギリシャが7月に償還を予定する国債のデフォルトは回避された。

国が債務不履行を引き起こすのは想像にたやすくないが、2000年代以降で見てもデフォルトは世界各地の国で発生している。この間、リーマンショックによる世界的な金融危機のほか、各地で勃発する紛争や政治的な混乱もデフォルトの引き金となった。

さらに、足元の原油安も産油国の財政状況を悪化させ、南米のベネズエラは深刻な経済危機に瀕しており、デフォルトは時間の問題と指摘する声も出ている。一旦、デフォルトに陥ると、市場からの信頼を回復させるのはハードルが高く、アルゼンチンのように、市場から資金を調達できるようになるまでは、いばらの道が続くことになる。(ZUU online 編集部)

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