前週(6/19〜6/23)の日本株は3週ぶりに反発。米6月FOMCでの利上げ後、海外金融市場ではイベントを無事に通過したことでリスクオンとなり、株も債券も買われる展開となった。日経平均も20日には年初来高値を更新し、2週間ぶりに2万円台での引けとなった。

週間の日経平均は、189円41銭(0.9%)高の2万132円67銭で終え、週間高値は2万318円11銭(6/20)、安値は1万9949円88銭(6/19)だった。

アセットクラスとして株と債券は逆相関に動くことが普通なのだが、今回の世界的なリスクオン相場では株も債券も同期して上げている。米ロシアゲート事件、米利上げ、欧州総選挙、世界テロ、北朝鮮問題など相場にインパクトのあるイベントが5−6月に相次いだため、世界の機関投資家はリスク回避のためにポジションを絞っていた。多くのイベントを想定の範囲内で通過し、機関投資家は待機していた資金を株と債券に戻しはじめているためこういった動きになっているようだ。

今の金融市場は「ゴルディロックス」に入ったとの指摘が増えている。ゴルディロックスは、英童話「ゴルディロックスと3匹のくま」の主人公の女の子の名前だ。ゴルディロックスが3匹のくまの家に迷い込みスープや椅子やベッドなど「ほどよい状態」の中で長居をしてしまったことから、「ゴルディロックス経済」「ゴルディロックス相場」とは、景気が過熱しすぎずスローダウンでもなく適温で拡大している状態で、株も債券も適温で上昇する状態のことをいう。

ゴルディロックスで株式市場は先高感が高く下値不安も少ないため、個別株の物色が賑わっている。世界的に次世代のIoTやAIに期待をこめてIT関連銘柄、半導体関連銘柄、バイオ株などが買われている。日本でもソフトバンクや任天堂といった主力のIT関連やバイオ銘柄に加え、新興市場のテーマ株が人気化している。今週は、ジャスダック平均が26年ぶり、マザーズ指数が1年ぶりの高値を更新した。

前週(6/19〜6/23)の振り返り

株式相場,ゴルディロックス相場
(写真=PIXTA)

19日の日経平均は続伸、前週末比124円49銭(0.6%)高の2万67円75銭で引けた。6月9日以来6営業日ぶりの2万円台回復。

前々週末のNY市場で米住宅指標が悪化し、米景気のピークアウト懸念からドルが売られ110円65銭まで円高が進む局面があった。東京市場でドル円は111円を中心に円高が進行しなかったことで、安心感から株に買いが広がった。

米国で大きく下げて懸念されていたハイテク株が戻り始めたことも相場上昇のきっかけとなった。もっとも、東証1部の売買代金は1兆9867億円と2兆円割れで盛り上がらない。個人投資家を中心とした物色対象は新興市場の材料株が中心となり、ジャスダック26年ぶり高値、マザーズは5連騰で1年1カ月ぶりの高値となった。

20日の日経平均は3日続伸し、前日比162円66銭(0.8%)高の2万230円41銭で引け、6月2日につけた年初来高値を更新した。15年8月18日以来およそ1年10カ月ぶりの高値だった。

ニューヨーク連銀のダドリー総裁が米景気の拡大について強い確信があると発言、ドル円は111円後半まで円安が進行し、輸出関連株を中心に幅広い銘柄に買いが入った。マザーズ指数は6営業日ぶりに下落したが、ジャスダック平均は26年ぶりの高値を連日で更新した。

21日の日経平均は4営業日ぶりに反落、前日比91円62銭(0.5%)安の2万138円79銭で引けた。

NYで原油先物が一時42.75ドルに下落、16年11月14日以来ほぼ7カ月ぶりの安値を付けた。1月の高値からの下げ幅は調整と言われる2割を超えた。原油安はデフレ懸念となるため今の株式市場にはマイナス要因としてとらえられ、利益確定売りが広まった。市場の物色対象は引き続いて新興市場。ジャスダック平均は4日続伸、26年ぶりの高値を連日で更新。マザーズ指数も反発した。

22日の日経平均は小幅ながらも続落、前日比28円28銭(0.1%)安の2万0110円51銭で引けた。

NYで原油先物は続落したがIT系の銘柄が大きく反発したことで、日本株も下げたものの押し目買い意欲が強かった。特に新興市場は人気が集中し、ジャスダック平均は5日続伸で26年ぶりの高値更新。マザーズ指数も高値を更新した。

23日の日経平均は3日ぶりに反騰、前日比22円16銭(0.1%)高の2万132円67銭で終えた。

ドル円が111円台前半と円安に振れたことを好感してしっかりしていたが、週末とあって上値は重かった。一日のレンジは63円と狭いレンジでの商いだった。日経平均や東証株価指数が堅調な一方で、週間の上げを主導した新興市場株は利益確定の売りが広まり大きな下げとなった。午後になるとマザーズ指数が一時4%安と急落する局面もあった。

先週の海外動向を振り返る

先週のNYダウは5月最終週から5週間連続の上げとなった。6月20日にはNYダウで2万1535ドルの過去最高値を更新した。ただ今週の週間の上げ幅は10ドルと過去5週の中で最低だった。米株のボラティリティも下がっているが、ゴルディロックス相場に入っているとの見方が強く下げない。ハイテク比率とバイオ比率の高いナスダックは6月9日に6341ドルの高値を付けた後に急落したが、その後の安値は15日の6107ドルで下値を切り上げつつある。

「6/26〜6/30」の株式展望

今週の東京市場のメインシナリオは、2万円から2万500円のレンジを想定している。マクロもミクロも日本株のファンダメンタルズは良好だ。2万円乗せでも日経平均のPERは14.3倍程度と過去のレンジの14から16倍の水準から見てもまだ割高感はない。

今週は3月決算の多くの会社が株主総会を予定している。株主総会で承認後、前期末の配当が支払われる。日経平均や東証株価指数連動型のパッシブタイプの投信やETFを運用するファンドは配当支払分を再投資する必要がある。その総額は3500億円に達すると言われている。すでに3月末に先物で手当てしているファンドも多いだろうが、6月最終週は過去7年間で6回上げており、株式の需給が締まりやすく週だと言えるだろう。

先々週に、アップルやアマゾンなど米国株式市場の上げを牽引していた米IT系ジャイアントが大きく下げたことで話題となったが、先週に底打ちし反発し始めた銘柄が多い。2000年のITバブル時にも、一時的にテクノロジー株が大きく調整することは何度かあったがそのたびに戻すことも多かった。今週のテクノロジー株順調に戻るなら、相場のセンチメントが好転するだろう。

テクニカルでは下値不安は少ない。日経平均は25日移動平均にサポートされ下値を切り上げ、上値も切り上げている。特別な悪材料でも出ない限り2万円を大きく割り込む状態ではなさそうだ。次のターゲットは、アベノミクス以降の高値である15年6月の2万952円になる。

今週は重要なイベントは少ない。日本では、26日に6月の日銀決定会合の主な意見公表、7月2日に東京都議会選挙がある。海外では重要なスケジュールはない。

経済指標は、日本では30日に5月の消費者物価指数、5月の失業率・有効求人倍率、5月の家計調査、5月の鉱工業生産が注目される。海外では、27日に米4月S&PコアロジックCS 住宅価格指数、米6月CB 消費者信頼感指数、29日に米1-3月期GDP 確定値、30日に米6月シカゴ購買部協会景気指数、中国6月製造業PMIが注目される。(ZUU online 編集部)

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