「ある企業の株価が2倍になった!」という話を聞いたことはないだろうか。アベノミクスが一服した昨今でも株式が急激な上昇とともに株価が2倍、3倍とする上昇するケースが見られる。

中でも株価が上昇前の10倍になった株式のことをテンバガーといい、多くの投資家が手持ち資金を短期間で増やそうとテンバガー探しに躍起となっている。しかし、「テンバガー化」しそうな株式にうかつに手を出してしまい、その後の暴落に巻き込まれて損失を受ける事例も多いと聞く。

投資で大やけどをしないためにも、暴騰株の値動きの仕組みをあらかじめ把握しておきたい。何も知らない初心者向けとして実例を交えて、株の暴騰が起きる流れを紹介していきたい。

暴騰株の過去の例

テンバガー,暴騰株
(写真=PIXTA)

まずは実際に株価が暴騰した例を見てみよう。

(1)ガーラ<4777>  2017年8月3日現在の株価 405円

2014年12月にスマートフォン用のアプリを英語圏に向けてサービス提供すると発表したことが材料視され暴騰(198円から3475円へ17倍以上の上昇)

(2)日本コンピュータダイナミクス<4783>  2017年8月3日現在の株価 679円

データ検索の高速化を発表したことから材料視され、2015年5月から株価が暴騰(336円から4280円へ12倍以上の上昇)

(3)リーバイス<9836> 2017年8月3日現在の株価 300円

Google社と提携し、スマートジーンズを作ることを発表したことが材料視され、2015年6月から株価が暴騰(232円から1052円へ4倍以上の上昇)

他にも、最近の例で言えば、トレイダーズHLDGS<8704>、アンジェスMG<4563>などが似たような暴騰をしている。

このような暴騰株は、数億円から数十億円程度の資金があれば株価が大きく動いてしまう小型の株式が多く、材料がないときにはそれほど活発に取引される銘柄ではないという点をまずは知っておいて欲しい。

株価急上昇のメカニズム

では、なぜ上記のような暴騰が起きるのかを確認しておこう。上昇が起きる流れとしては、以下3つの要因が複合的に混ざり合って起こるものだと考える。

  1. 急な話題性の出現
  2. 短期の投機資金の流入と空売りの増加
  3. 株価再上昇と損失覚悟の空売りの買戻し

業績不振で株価が低迷していた小型の株式になんらかの大きな話題(材料ともいう)が生じていきなり株価が高騰する(大抵の場合、ストップ高を連発する)。

それを見て、これからまだまだ上がりそうだと考える投資家が資金を投じる。上がりそうな株に一斉に群がることから株式市場では「イナゴ」とも呼ばれる。それと同時に、上がりすぎの株が下がることを見越して空売りを仕掛ける投資家も急増する。空売りは株価が下がると儲かる投資法、逆に株価が上がると損が出る。

さらに投機資金の流入が止まらずさらに株価が上がり、損失を出したくない空売りを仕掛けた投資家が損失覚悟の買い戻しを行い始め、ますます株価が上がる。この一連の流れが繰り返され、出来高(取引高)が急増し、株価が異常に高騰していくことになる。

簡単に言えば一つの銘柄の中で、短期的なバブルが生じているわけである。

ハジけると怖い小型株のバブル

このような短期的なバブルははじけることも多い。業績を伴うことのない短期急騰型の株式の値動きは上がり始めた時点まで下落することが多いのだ。

先ほど紹介した3銘柄も現在は株価が暴騰前の水準、もしくはそれに近い位置まで戻ってきてしまっている。

結局の所、暴騰直後に大量に株を仕込み天井付近で売り抜けをした人が利益の多くを手にして、それ以外の投資家は損を出すか、それほど儲からないというケースが大半だ。

暴騰株の下落の特徴としては、下落のスピードが非常に早いという特徴がある。これは株価が上昇する際には、多くの投資家が恐る恐る株を買うが、売却つまり利益確定に関しては躊躇せずに行う人間心理が影響している。また、上記のような暴騰株の場合、短期で資産を増やしたい投資家の割合が多いため、資金の引き上げがさらに早くなる(詳しく知りたい方は「信用取引の追証投げ」で調べてほしい)。

結局は、最後はババ抜きのような状態となり、遅れて株を買った投資家がババを掴まされ、「大損」して幕引きとなる。

10倍株を見つける投資は夢もあるが危険性もはらむ

また話題性で大幅上昇株は、携帯ゲーム、バイオといったジャンルに多く見られる。

もちろん急騰のきっかけとなった話題が業績に結びつき、その後業績が好転すれば株価も高値で落ち着くこともある。しかし、話題性のみで株価が上がった場合には、打ち上げ花火のように株価が上昇前まで戻ることもあることを覚えておくとよいだろう。暴騰株には資産を短期で増やすことができるという夢があるが、思わぬリスクもまた付き物なのである。

谷山歩(たにやま あゆみ)
早稲田大学法学部を卒業後、証券会社にてディーリング業務に従事。Yahoo!ファイナンスにてコラムニストとしても活動。日経BP社の「日本の億万投資家名鑑」などでも掲載されるなど個人投資家としても活動中。個人ブログ「インカムライフ.com」。著書に「超優待投資・草食編」がある

【編集部のオススメ記事】
2017年も勝率9割、株価好調の中でもパフォーマンス突出の「IPO投資」(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
株・債券・不動産など 効率よく情報収集できる資産運用の総合イベント、1月末に初開催(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)