信用取引、空売りの基本
今回【第3回】からはジョージ・ソロスの事例からは離れ、空売りについて解説する。結局のところ、いくらソロス氏のような偉大な投資家の成功事例を知っていても、実際の投資に役立てられなければあまり意味がない。
教養として知っておくのも良いのだが、投資家としては投資に役立ててこそ価値のある知識と言えるだろう。【第1回】【第2回】の内容を踏まえたうえで、信用取引、空売りについて再度確認してほしい。
信用取引とは?
手持ち資金の範囲内で取引をおこなう現物取引に対して、信用取引は手持ち資金を証拠金として差し入れることで、手持ち資金以上の取引ができるようになる証拠金取引である。信用取引では個人投資家が証券会社に一定の金銭等の担保(=証拠金)を差し入れることで、証拠金の約3倍の金額まで取引できる。
最低証拠金額は建玉総額の30%以上かつ30万円以上としている会社が一般的なため、30万円の資金があれば信用取引を活用することで3倍にあたる100万円程度まで株取引ができるようになる。
元手資金が30万円ある場合で考えてみよう。元手資金30万円を証拠金にすることで、投資資金30万円で30万円の株Aを3株、90万円(30万×3の90万円まで株を取引できるようになるのだ。現物取引では、30万円が40万円になれば10万円の利益だったが、信用取引では10万円の利益が3株分あるので、10万円×3の30万円が利益になる。信用取引を活用することで、投資資金が同じでも利益を3倍にすることができるようになる。
このように少ない資金で大きな金額を取引できるようになることを「レバレッジ効果(てこの原理)がある」と言う。株式投資では信用取引が、為替取引ではFX(外国為替証拠金取引)が証拠金取引にあたる。