信用取引と聞くと怖い印象をもつかもしれないが、株主優待を無料でゲットできる「つなぎ売り(クロス取引)」は、個人投資家からの認知度が高まり、利用者も増えているように感じる。

株式投資で収益チャンスを増やすためにも、株価の下落局面で活用できる「空売り(からうり)」はおさえておきたい取引方法だ。

信用取引とは?

信用取引
(写真=PIXTA)

手持ち資金の範囲内で取引をおこなう現物取引に対して、信用取引は手持ち資金を証拠金として差し入れることで、手持ち資金以上の取引ができるようになる証拠金取引である。信用取引では個人投資家が証券会社に一定の金銭等の担保(=証拠金)を差し入れることで、証拠金の約3倍の金額まで取引できる。

最低証拠金額は建玉総額の30%以上かつ30万円以上としている会社が一般的なため、30万円の資金があれば信用取引を活用することで3倍にあたる100万円程度まで株取引ができるようになる。

元手資金が30万円ある場合で考えてみよう。元手資金30万円を証拠金にすることで、投資資金30万円で30万円の株Aを3株、90万円(30万×3の90万円まで株を取引できるようになるのだ。現物取引では、30万円が40万円になれば10万円の利益だったが、信用取引では10万円の利益が3株分あるので、10万円×3の30万円が利益になる。信用取引を活用することで、投資資金が同じでも利益を3倍にすることができるようになる。

このように少ない資金で大きな金額を取引できるようになることを「レバレッジ効果(てこの原理)がある」と言う。株式投資では信用取引が、為替取引ではFX(外国為替証拠金取引)が証拠金取引にあたる。

信用取引の取引手法

株価が下落する先行き見通しを持つ場合、信用取引を活用すれば利益を狙うことも可能だ。信用取引には、現物取引のように安い時に株を買って高くなったら売る「信用買い」と、株価が高い時に株を借りて売却、安くなったら買い戻す「空売り(信用売り)」取引方法がある。この空売りの取引手法を活用すれば、株価が値下がりすることで利益を生み出せるようになる。

例えば株価が1000円の時に100株(=10万円)を空売り、株価が800円まで値下がりした所で100株買い戻せば、差額の200円×100株の2万円を儲けることができる。株価が今後下落すると考える場合に、活用できる取引手法になる。

株主優待で信用取引を活用する方法と注意点

株主優待狙いで購入される銘柄の中には、権利が取得されると売り需要が多くなり、想像以上に株価が値下がりすることもある。このような時に、現物買いポジションだけで損失を発生させるのではなく、株価の値下がりを見越して空売りを活用する手もある。

株主優待の獲得後に生じやすい株価の値下がりリスクを低減する方法が「つなぎ売り」。信用取引でその株式を売り、現物で株式を買う投資テクニックだ。株主優待の獲得を考える場合も、信用取引を活用することで損失発生を低減できるメリットがある。

一方で注意点として、信用取引の空売りには売買手数料のほか、貸株料や配当調整金、逆日歩と呼ばれるコストが掛かる。特に、人気の銘柄は逆日歩が高額になることも多く、無料でゲットできるどころか手痛い出費となる可能性には注意が必要だ。

信用取引を行う際の注意点

レバレッジを効かせた信用取引は、収益チャンスが広がりリターンが高くなる反面、リスクも高くなるので注意が必要だ。現物取引であれば、投資資金の範囲内でしか取引ができないため、投資資金以上に損失が発生することはない。信用取引の魅力はレバレッジをきかせることで取引金額を3倍に増やすことだが、利益だけだけでなく損失についてもレバレッジ効果が発揮される。

前述した投資資金が30万円あった場合で考えてみよう。投資資金を証拠金にすることで、投資資金30万円で30万円の株Aを3株取引できるようになる。90万円(30万×3の90万円まで株を取引できるようになるのだ。現物取引では、30万円が20万円になれば10万円の損失で済むが、信用取引では10万円の損失が3株分あるので、計算上は10万円×3の30万円が損失になり、投資資金すべてが吹き飛ぶ。レバレッジを利用した信用取引はハイリスク・ハイリターンの取引になる。

そもそもレバレッジは自分でコントロールできる。証拠金100万円を入金したとしても、100万円しか取引しなければレバレッジは1倍だ。投資効率としてのメリットはないが、現物取引ではできない投資手法を活用するための取引手段として活用するという考えに立てば、それでもよいはずだ。

また、下落局面で利益を上げるというと簡単に聞こえるが、多くの人が歓喜している中、わざわざ空売りすることは想像以上に難しい取引ではある。さらに、株価がいったん底を打ってしまえば、逆に値上がりするリバウンド上昇もかなりの早さになる。まずはレバレッジを自分で調整しつつ少額の取引から始めてみるのがよいだろう。

横山利香(よこやまりか)
国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。ファイナンシャル・プランナー。相続士。WAFP関東理事。「会社四季報オンライン」や「All About株式戦略マル秘レポート」での連載や、ヤフーファイナンスの「株価予想」でもマーケットコメントを執筆する等、株式投資や不動産投資といった投資や資産運用をテーマに執筆、 メルマガ発行 、講演活動、株塾を行う。

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